「刺繍をする姿がしっくり来る人は誰か?」と問われたら、食い気味で「(有閑倶楽部の)白鹿野梨子さん」と答えます。が、そのイメージにまったくそぐわない私自身、今年になって何故か針と糸と格闘しています。
きっかけはこの構図。
新春にふさわしい富士山と太陽。この構図を見て「やってみたい!」と思い、「初心者でも大丈夫」とのことで挑戦いたしました。
「糸とおし」と呼ばれる刺繍で、台紙に開いた穴に針を使って糸を通していくもの。通し方や糸の色または台紙によってもかなり印象が変わります。
今回は構図がありますが、曼荼羅などはその人によって、できあがりはかなり異なるようです。
無心の世界は何をもたらすのか
チクッ! 痛い。
(ふー)おおきなため息をつきつつ、とにかく台紙に針で糸を通し、ひと穴ひと穴を繋いでいく作業の連続。
正直なところあまり器用な方でありません。
母は洋裁や和裁を仕事にしたり、絵を描き、手芸のようなものはひと通りするような、とにかく手先の器用な人でした。
そのため私が持って帰る家庭科の宿題には、いたたまれない気持ちがあったようで、毎度ケンカのタネになっていたことをチクチクしながら思い出したくらいです。
講習の当日は先生もそばにいらっしゃって安心でしたが、当然その日だけでは終わらず、とにかく家で空き時間になるとチクチクをスタート。
その時間がなんとも心地よいのです。
ひとつのブロックに初心者ゆえ約1時間くらいかかっていますが、それがあっという間に過ぎていきます。夜の時間は目がかすんで見えづらくても、指先が乾燥して上手く玉結びができなくても、とにかく楽しい。
ひとつのことに集中して没頭する時間。
数時間経って時計を見て驚くほどです。
これは、まさしくマインドフルネス
「今この時だけに集中することが大事」といつもマインドフルネス講習でお伝えしていても、なかなか現代には誘惑が多く、なんとなく手が空けばすぐにスマホに手を伸ばしがち。それが何時間も集中してひとつのことを進める、この心地よさ。
脳の疲れが取れていくようです。
普段からあれもこれもマルチタスクで動かす脳の働きに比べて、至ってシンプルな脳の使い方に気持ちが整うことを実感します。
今回この経験で、スマホから離れ、自分の内なる声に耳を傾け、さらに没頭できる贅沢な時間の使い方を教えてもらいました。
まだ未完成ですが、なんとなく終わらせたくない気持ちさえあります。ただ、もうすぐ母の十三回忌。なんとかそれまでに終えて見せたいなぁとも。
没頭できること、頭を空にすること、していますか?
スッキリとした脳は良き眠りへと誘います。
どうぞ今宵も良い眠りを。
眠りの力があなたを変えるネムリノチカラ代表、快眠コンシェルジュのヨシダヨウコでした!
そして今回教えてくださったのは
糸とおし作家 そまくみこ さんです。