つらい、苦しい、不安。だけど、どうしたらいいのかわからない…。普段の生活で感じることのある「ストレス」ですが、そもそもストレスって何なのでしょうか? 臨床心理師の伊藤絵美さんにお話を伺いました。
教えていただいたのは
伊藤絵美さん
Emi Ito
1967年生まれ。公認心理師、臨床心理士、精神保健福祉士。カウンセリングの専門機関「洗足ストレスコーピング・サポートオフィス」所長。クライアントへのカウンセリングのほか、企業研修やセミナー、ワークショップを積極的に開催。『セルフケアの道具箱 ストレスと上手につきあう100のワーク』(晶文社)など著書も多数。
「ストレス」ってそもそも何?
医学的、心理学的には、外からの刺激に対する心や体の反応のことを「ストレス反応」と呼びます。一方、その反応を生じさせている刺激や変化(つまりストレス反応の原因)は「ストレッサー」といいます。
私たちが日頃何気なく使っている「ストレス」という言葉は、実はこの両方の意味を含んでいるのです。
例えば、よく「介護に忙しくてストレスがたまっている」などといいますが、「介護が忙しい」はストレッサーです。それによって自分の心身に起こるさまざまな反応(憂うつになる、イライラする、眠れない、頭が痛い、など)は「ストレス反応」です。
まず、「ストレス」を「ストレッサー」と「ストレス反応」に分けて考えることで、自分自身がストレスだと感じている状況と、それによる反応を、客観的、具体的にとらえられるようになります。
また、ストレスというと悪いことばかりをイメージしがちですが、日常の変化や刺激は、よいことやうれしいこともストレッサーになり得ます。
入学や就職、結婚、収入の増加などという出来事も、知らず知らずストレス反応を引き起こしているかもしれません。
ストレッサーとは?
大小にかかわらず、よいことも悪いことも、自分に降りかかる刺激や変化はすべて「ストレッサー」といいます。ストレッサーを受けて自分に起こるのが「ストレス反応」。落ち込むなど心理的な反応と、動悸がするなどの身体的反応があります。
イラスト/雨月 衣 指導・監修/伊藤絵美(洗足ストレスコーピング・サポートオフィス) 構成・原文/蓮見則子