ヴィーガンはベジタリアンの中でも最も厳格で、一切の動物性タンパク質を摂らない、つまり乳製品も卵も魚もダメな「絶対菜食主義」の名称です。
この夏息子に会うことを兼ねて、サンフランシスコとその周辺を旅しましたが、その中で最も印象に残ったことは「ヴィーガニズム(Veganism)が大トレンドになっている」ということです。
以前ヴィーガンは少数の極端な嗜好者と見なされていた時代もありました。
「多種の良質なタンパク質をバランスよく食べることが大切。野菜一辺倒はお勧めしない」という私の講演内容に「納得出来ないので、その根拠を示してください」というメールを、聴講したヴィーガンの方から事務所に頂いたのは15年以上前のことです。
元来ヒンズー教などの「不殺生」という宗教的発想からスタートしたといわれていますが、近年の健康ブームと脂肪制限をブームにベジタリアンが流行りました。その後はアトキンス氏が提唱する低糖質ダイエットが世界を席巻。日本でも今や「肉ブーム」です。熟成肉ならぬ熟成魚まで登場し、タンパク質主流が食事のトレンドです。パスタの代わりにこんにゃく、ご飯の代わりにカリフラワーと、とにかく炭水化物が敬遠されています。
ところが新トレンド「ヴィーガニズム」はありとあらゆる動物性タンパク質が「NO」そして炭水化物はWelcomeです。
今回のヴィーガニズムは「体に良い食事」という問題意識を超えて、地球の気候変動(食肉を作るのに大量の植物飼料を消費するため地球のバランスを積極的に崩すことになる)への懸念や肉食となる動物への処遇の問題等に及んでいます。
新たなタンパク質源として植物肉など科学的に合成された代替品が確保できるようになったこともブームが続く要素です。
息子曰く「ヴィーガニズムはサステナブルな地球のために人間の食欲は規制すべきであると考えているんだ。極論を言えば食事は錠剤でも良いと」
え〜、美味しいものを食べる喜びがなくなるの〜!!
アメリカやイギリスでは有名人が次々とヴィーガニズム支持を表明し、一大トレンドになったことで、大企業も対応に乗りだしています。
米マクドナルドはベジタリアン向けのメニューを追加
ユニリーバは植物性肉を販売する会社を買収
米バーガーキングは植物性肉を使ったハンバーガーの販売を近々開始
英国の大手ベーカリーチェーン「グレッグス」もヴィーガン向けの「ソーセージロール」を販売などなど。
今回私が泊まったホテルのレストランのメニューも1/3がヴィーガンかベジタリアン用、しかも卵料理の横には必ずCage free と書かれていて「ケージにぎゅうぎゅう詰にされている鳥の卵ではない」と注釈してあります(本当かなあ???)
和食は基本となる出汁が鰹を使用しているので、野菜の煮物などもヴィーガンにはNOのものがとても多いのです。意外でしょう。
もちろんこの風は日本にも到達していますが、果たして今の「肉ブーム」を一転させる動きになるのでしょうか。
皆様も意識して見てくださいませ。