できる位置や症状によって、大きく3つに分類される子宮筋腫。それぞれの特徴を詳しくみていきます。
症状や進行も違う! 子宮筋腫の分類
子宮筋腫は子宮の壁(平滑筋の層)にできる良性腫瘍です。できる位置によって症状が異なるため、大きく3つに分類されます。また、筋腫は多発性であることが多く、これらの2〜3種類の筋腫が混在することも少なくありません。
- ●漿膜(しょうまく)
筋層の外側の粘膜のこと - ●筋層
子宮を形作っている筋肉の層 - ●粘膜
筋層の内側、子宮内膜のこと
筋層内筋腫
子宮筋層の中にできて発育する筋腫。子宮筋腫の中で最も多く、約70%がこれ。小さいうちは症状はなく、大きくなると内腔にせり出します。多発しやすいのも特徴。
●筋腫が多発しやすく痛みや経血も倍増
子宮が大きく変形して子宮筋の収縮が妨げられ、月経痛、腰痛、月経期間が長引くなどの症状も出ます
粘膜下筋腫
筋腫が子宮の内側の粘膜(内膜)から内腔へ向けて発育するタイプ。筋腫のうち5~10%と発生頻度は低いのですが、小さくても、最も激しい症状が出る筋腫。
●腟内に飛び出す筋腫分娩に!
茎を持つ有茎性筋腫に成長すると、異物を押し出そうとする働きにより、腟の中へ飛び出すことも
●内側を圧迫し月経が長く重く
子宮内膜が圧迫され続けると、うっ血して筋腫が潰瘍のように。大量に出血することもあるので注意
漿膜下筋腫
子宮の外側へ向かって発育する筋腫。子宮筋腫全体の10~20%程度。内部を圧迫することがないため無症状のまま巨大化し、下腹部のしこりで見つかるケースも。
●周辺の臓器を圧迫、有茎筋腫では激痛も
有茎性の根元が長くなってねじれ、激しい痛みが起こったり他の臓器を圧迫して多様な症状が出ることも
お話を伺ったのは
対馬ルリ子さん
Ruriko Tsushima
1958年生まれ。対馬ルリ子女性ライフクリニック銀座・新宿理事長。産婦人科医、医学博士。女性の生涯にわたる健康推進活動に積極的。『「閉経」のホントがわかる本 更年期の体と心がラクになる!』(集英社)が大好評。
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八田真理子さん
Mariko Hatta
産婦人科医。1998年、千葉県松戸市で女性のためのクリニック「ジュノ・ヴェスタクリニック八田」を開業。著書に『産婦人科医が教えるオトナ女子に知っておいてほしい大切なからだの話』 (アスコム) など。
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イラスト/かくたりかこ 構成・原文/蓮見則子