子宮体がんと、生活習慣やホルモン補充療法(HRT)との関係を、産婦人科医の対馬ルリ子先生と八田真理子先生が解説します。
生活習慣とも関係していた! 閉経前後に多い子宮体がん
「閉経前後にリスクが上がる子宮体がんは、別名『子宮内膜がん』とも呼ばれます。女性ホルモンのエストロゲンの揺らぎで内膜のはがれが悪くなり、腫瘍ができる。
特に、閉経移行期の月経不順は不正出血を見逃しやすいので注意が必要です。かかりつけ医があって、子宮内膜が厚くなっていないかどうか定期的に診てもらっていれば、異変にも気づけますよね」(八田真理子先生)
「50代以降、女性ホルモンのバランス異常は、代謝異常とリンクしていると思ってください。代謝異常とは脂質代謝や糖質代謝の異常(※)のこと。食生活や運動習慣がかかわっていることがだんだん明らかに。
子宮体がんと生活習慣に関係があるなんてとけげんに思うかもしれませんが、外来で診ていてもこれは真実だなと思います」(対馬ルリ子先生)
※脂質代謝異常は高脂血症、糖質代謝異常は糖尿病などの原因になります。
ホルモン補充療法(HRT)と子宮体がんの関係は?
ホルモン補充療法はエストロゲンを補う方法です。子宮がある人は、子宮体がんの発症リスクを下げ、内膜保護のために黄体ホルモン製剤を併用することが基本。
2021年秋に製造販売が承認された「天然型黄体ホルモン製剤」は、子宮体がんの予防効果だけでなく、乳がんリスクも上げないことがわかっています。
「薬も治療法も進歩しているのに、がんを心配してメリットの多いホルモン療法を避けてしまうなんてもったいない」と八田真理子先生。
「不安がある人は、試しに短期間ホルモン補充療法をやって、効果をみるのがいいと思います。それは『治療的診断』という正しい方法なんですよ」と対馬ルリ子先生。
HRT(ホルモン補充療法)の疑問について対馬ルリ子先生がお答えする記事は、下のリンクから読むことができます。
お話を伺ったのは
対馬ルリ子さん
Ruriko Tsushima
1958年生まれ。対馬ルリ子女性ライフクリニック銀座・新宿理事長。産婦人科医、医学博士。女性の生涯にわたる健康推進活動に積極的。『「閉経」のホントがわかる本 更年期の体と心がラクになる!』(集英社)が大好評。
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八田真理子さん
Mariko Hatta
産婦人科医。1998年、千葉県松戸市で女性のためのクリニック「ジュノ・ヴェスタクリニック八田」を開業。著書に『産婦人科医が教えるオトナ女子に知っておいてほしい大切なからだの話』 (アスコム) など。
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イラスト/かくたりかこ 構成・原文/蓮見則子