みどりさん(仮名) 57歳・住宅関係
【HISTORY】
■30歳:婦人科検診を受け始める
■40歳:グレープフルーツ大の子宮筋腫が複数見つかり、開腹手術で筋腫を切除
■48歳:動悸がしたので検査を受けるが、心臓には問題なし。
同じ頃からめまいやホットフラッシュ、疲れ、イライラや不安を感じるように。
湿疹が現れないタイプの珍しい帯状疱疹を発症
■49歳:婦人科で更年期の診断を受け、HRTを開始
■56歳:HRTを終了し、月に2〜3回のプラセンタ注射を開始
突然の動悸が更年期不調の始まり。介護疲れも影響し、帯状疱疹まで発症
「48歳になった頃、突然動悸がしたので慌てて病院へ行き、小型の心電計で心電図を記録する24時間検査を受けましたが特に異常なし。けれど、その後も動悸はなくならず、朝起きられないほど疲れやすくなって、肩こりやめまい、ホットフラッシュなども感じるようになりました」
明るい笑顔でハキハキと話す今のみどりさんからは想像できませんが、まるで「性格が変わってしまったかのように」メンタルにも大きな変化があったと振り返ります。
「当時は、ちょっとしたことですごくイライラして家族に当たってしまったり、今まで気にならなかったことが気になって落ち込んだり不安になったり。職場でも家でも感情がコントロールできなくなってしまい、周りから『最近、笑わなくなったね』と心配されるほどでした」
仕事や家庭に加えて、お母さまの介護に通う日々の疲れがたたったのか、帯状疱疹を発症したことも。しかも、肌に湿疹が現れないタイプの珍しいケースでした。
「右の後頭部にビリッと激しい痛みが起きて、針で肌を刺すような痛みが数日続きました。最初は首や肩のこりを疑いましたが、あまりの痛みにペインクリニックを受診したら、非常に珍しい湿疹が出ない帯状疱疹だと判明しました。ただ、数日我慢してしまったので神経痛が残ってしまい、今でも疲れると少し痛みが出ます」
また、40歳で子宮筋腫を切除して以来、定期的に通院していた婦人科で心身の不調について相談すると、男性の担当医からは「更年期だから仕方ないですよ」というそっけない返事。そこで、引っ越しを機に婦人科を変えることを決意。新居から程近い病院で、頼れる医師に出会えたといいます。
HRTを卒業した今は、保険適用のプラセンタ注射で体調を維持
「担当医の女性はとても親身に話を聞いてくださるので、安心して相談できます。血液検査の結果からHRT(ホルモン補充療法)を提案され、2日に1回交換する貼り薬と、2種類の飲み薬を服用し始めたら、3週間ぐらいたった頃から少しずつイライラが減り、めまいや動悸、ホットフラッシュなど体の不快な症状も治まっていきました。半年に一度のエコー検査と血液検査、年に一度の乳がん検査で自分の状態をチェックできることも大きな安心感につながりました」
3年前からはエクオールのサプリも処方してもらい、少しずつ元気を取り戻したみどりさん。2024年1月にHRTを卒業し、3月からは保険適用のプラセンタ注射を月に2〜3回のペースで受けています。
「2023年の1月に、担当医の先生から『閉経に向かって体も慣れてきたでしょうから、そろそろ治療を卒業してもいいのでは?』と提案されました。でも、母の介護も続いているし、何よりお守りのような存在だったHRTがなくなってしまうのは怖かったので、薬を半量に減らしたうえで1年間継続しました。HRTを卒業すると同時に生理もこなくなり、このまま閉経を迎えるような気がします」
病院で食生活の指導を受けて18㎏減! 自信を取り戻せた
体調が大きくくずれることはないものの、腟の乾燥やかゆみを感じるようになったみどりさん。病院で処方された薬(エストリール腟錠)や塗り薬を使いながら、イギリス発のオーガニック・デリケートゾーンコスメブランドYESの「インティメイト・フォームウォッシュ」などでケアしているのだそう。体調不良や介護のために休職していた仕事も再開。自分をいたわるための時間も少しずつ持てるようになりました。
「好きな音楽を聴いたり、絵画や芸術に触れたり、1日1時間は自分のための時間を持つように心がけています。実は、介護のストレスでかなり体重が増えてしまったので、2023年8月から近くの総合病院で食生活の指導を受けながら体重を18kg落としました。母の介護をしながら『どうして私ばっかり…』と何度もうつ状態になりかけましたが、生活を見直して体が変わったことで自信がついて、自分を励ませるようになったんです。悩みはまだまだ尽きませんが、明けない夜はない!という気持ちで、この時期を乗り越えていきたいです」
イラスト/白ふくろう舎 取材・文/国分美由紀
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