ミッドタウンクリニックイースト
52歳・メノポーズカウンセラー 枝野聡子さん(仮名)
【HISTORY】
・35歳……PMS改善のため低用量ピルの服用をスタート
・50歳……低用量ピルを卒業。軽度のホットフラッシュがあり、HRTを開始
30代半ばから低用量ピルを使用。次のステップとしてHRTを選択
「もともと月経前に起こる気分の悪さがあり、30代半ばから低用量ピルを服用していました。50歳の誕生日を区切りにピルを卒業し、3カ月ほどして薬の作用が抜けた頃にホルモン値や骨密度をチェック。ちょうどのその頃、軽度のホットフラッシュもありましたし、ホルモン値の結果から閉経が近づいていることがわかって。すぐにHRT(ホルモン補充療法)を始めました」
そう話す枝野聡子さんは、更年期に関する知識や情報提供を通じて、更年期世代をサポートするメノポーズカウンセラー。
更年期を専門とする医師と一緒に仕事をする中で女性ホルモンの減少によるリスクへの理解を深め、以前から、「自分が更年期に入ったら、絶対に骨や血管のサポートをしていきたい」と考えていたといいます。
「低用量ピルをやめるにあたって次のステップを考えたとき、HRTはごく自然な選択肢でした。
治療としては、ル・エストロジェルの塗布と、黄体ホルモン剤のエフメノカプセルの服用です。低用量ピルを始めた頃から飲んでいるエクオールサプリメントも併用しています」
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睡眠にまつわる症状も治療を開始してからまもなく改善
軽度のホットフラッシュに加えて、夜中に目が覚めたり、眠りが浅くなるといった睡眠のトラブルもありましたが、どちらも治療を始めてすぐに改善され、夜はぐっすり眠れるように。
「もともとピルを毎日服用していたので服薬に抵抗はありませんが、お風呂上がりにジェルを塗るひと手間を面倒くさく感じることはあります(笑)。ただ、それ以外のデメリットは特に感じません」
一般的なHRT治療期間は“症状が緩和したら卒業”とされていますが、枝野さんはしばらくは継続する予定なのだそう。
「私の場合は体感としての自覚症状は軽いものでしたが、まずは数年しっかり治療をしたいと思っています。それ以降は、メリットを多く感じられたらホルモン剤の用量を減らして継続するかもしれませんし、HRT以外の治療を選んで骨密度のサポートをしていくかもしれません。医師と相談しながら考えていくつもりです」
自身の経験を生かして患者さんに提案することも
枝野さんは職業柄、クリニックの患者さんに自身のHRT経験談を伝えることもありますが、そのたびにいろいろな質問を受けるといいます。
「『ホルモン剤』と聞くと不安に感じる方も多いようで、『どういう薬を使っているんですか?』『怖くないですか?』『漢方やエクオールと比較してどうですか?』といったご質問をいただきます。
もちろんリスクはゼロではありませんが、きちんと医師の診察を受け、定期的に検査もしていくので怖いものではないことをお伝えします。特に、更年期症状で日常生活に支障が出てしまう方は、HRTを始めることでつらさが改善される方も多くいらっしゃいますから」
どうしても恐怖心が先立つ人には、HRT以外の選択肢を提案することも。
「すでに症状がある人はホルモン剤を使うことで効果が出やすいことも伝えますが、最初はエクオールサプリメントや漢方から始められることや、ホルモン剤にも種類がたくさんあることなど、選択肢がひとつではないことをお伝えすると安心される方が多いですね」
枝野さん曰く、「大切なのは、さまざまな選択肢の中から自分で決めること」。
「どういった選択肢があるのかを知り、自分が納得したうえで治療法を選択すると、もし薬による一時的な副作用などが現れたときもパニックにならず、納得して受け入れられるのではないかと思います」
イラスト/sino 取材・文/国分美由紀
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