ジュノ・ヴェスタ クリニック八田
64歳・看護師 溝端奈々さん(仮名)
【HISTORY】
・40歳……子宮筋腫を指摘され、経過観察
・50歳……閉経と同時にHRTを開始
人生は長い。減少した女性ホルモンを補うのは当然だと思っていた
40歳のときに子宮筋腫が見つかったものの、婦人科系疾患や月経トラブルは特になかったという溝端奈々さん。50歳で閉経すると同時にHRT(ホルモン補充療法)を開始しました。
「規則正しかった生理が50歳の誕生日を境にぴたっと止まり、これは閉経かな?と思いHRTを開始しました。
当時は今と空気が全然違って、職場以外でHRTの話を聞くことはほとんどなかったですね。
ですが、人生は長いので、減少した女性ホルモンを補うのは当然のことだと私は思っていましたし、若い頃からスポーツが大好きなので、更年期後もずっと動ける自分でいたいという気持ちもありました。閉経とともにリスクが上がる骨粗しょう症の対策も兼ねて、HRTを始めることに躊躇はなかったです」
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患者さんに説明できるよう数種類の薬を経験
クリニックの院長である八田真理子先生に相談しながら治療を開始。治療では、新薬が登場するたびに切り替えてきたそう。
「最初は塗るタイプのル・エストロジェルから始めて、飲み薬のウェールナラにシフト、その後エフメノカプセルという黄体ホルモン剤の新薬が出たタイミングでエフメノカプセルとル・エストロジェルの併用に切り替えました」
その理由は、よりよい選択をすることはもちろん、「患者さんにも実感を持って説明できるようになるから」。
「私の場合は更年期症状がほとんどなく、副作用も出なかったこともありますが、効能の説明をきちんと受けたうえでいろいろなタイプの薬を試すことで、患者さんたちに説明しやすくなると感じたんです。エフメノカプセルは天然の黄体ホルモンのため乳がんリスクを上げないと聞いて、切り替えを決めました」
若い頃からアウトドアスポーツや格闘技が大好きで、今も運動を楽しんでいる溝端さんにとって、HRTは骨密度以外にもうれしいメリットが。
「骨密度は同年代の人より数値が高いので、そういう結果を見るとHRTのおかげかなと感じます。そして、若いときからアウトドアスポーツが好きで、肌はかなり日焼けのダメージを受けていましたが、HRTを始めたおかげか肌のコンディションも安定しています。
50歳で始めていなかったら…と考えると怖くなるほど(笑)。ひと回り下のスポーツ仲間たちにも、そろそろHRTの話をしてみようと思います」
治療開始から14年。上手に使いながら治療を続けたい
HRT治療を始めて14年。現在も低用量で服薬を続ける溝端さんは「よほどの事情がない限りは続けたい」と話します。
「八田院長はよく『終わりは決めなくてもいい』と言いますが、私もリスクとベネフィットを考えるとベネフィットのほうが勝るのではないかと感じます。
骨粗しょう症のリスク軽減や体の柔軟性維持に加えてアンチエイジングの効果も期待して。上手に使いながら今の生活を長く続けたいですね」
クリニックで更年期の不調を訴える方に相談されたときは、女性ホルモンが減少することによって起きる症状や自身の実感を伝え、HRTの冊子を渡しているのだそう。
「更年期の症状で来院される方でも、HRTのことを知っているのは半数ぐらいですね…。
今、日本でHRTを行っている人は1.3%程度といわれています。
更年期症状の治療法があることを知っているかどうかで、10年後、20年後に差が出てくると思います。
精神的な不調にアプローチできるタイプの薬もあるので、『年だから』と諦めるのではなく、一人一人に合った付き合い方があるということをお知らせしていきたいです」
イラスト/sino 取材・文/国分美由紀
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