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【更年期の漢方の選び方】「もっと強い漢方薬ないですか?」と患者さん。強い漢方、弱い漢方って?

樫出恒代

樫出恒代

漢方薬剤師・漢方ライフクリエーター。漢方カウンセリングルームKaon代表。Kaon漢方アカデミー代表。新潟薬科大学薬学部卒業後、一人ひとりのこころとからだにていねいに向き合う漢方カウンセリングを提唱。連載の味わいあるイラストは、本人によるもの。
美容家吉川千明氏との共著に「内側からキレイを引き出す 美肌漢方塾」(小学館)
OurAgeインタビュー「信じていなかった漢方の力に救われて、この道を究め続ける薬剤師」はこちら

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漢方カウンセラー樫出恒代さんは、先日、更年期の患者さんから「前回より改善したけれど、もっと強い漢方薬はないですか?」と聞かれたそう。たとえば皮膚疾患で出されるステロイド塗り薬には5段階の強弱があることが知られているけれど、漢方薬における強弱ってなに? この患者さんを例に解説します。

「先生、もっと強い漢方薬ないですか?」

漢方薬剤師・漢方ライフクリエーターの樫出恒代です。

 

先日、朝いちばんの患者さんに
「先生、もっと強い漢方薬ないですか?」
と言われました。

 

はて?

もっと強い…とは?

 

「この前、補中益気湯を出してもらったんですが、確かに疲れにくくなったんです。
でも、もっとよくなりたいんです」

だからもっと強い漢方薬を!ということですね。

漢方に強い・弱いはあるの?@樫出恒代

わかります、その氣もち。
もっと、と望んでしまう氣持ち。

 

でもね、
漢方薬に強弱ってないんですよ。

 

よく他の患者さんにもこの漢方薬は弱いですか?とか強い方ですか? とか、聞かれること、あります。

 

ステロイド塗り薬には5段階の強弱があるけれど、漢方にとって強いのは、その人にピッタリ合うこと

例えば、皮膚疾患で使うステロイド塗り薬は、効果の強弱について5段階に分類されています。これはとてもわかりやすいです。だいたいどんな人が使っても、そのような強弱があるということです。

 

しかしながら漢方薬の場合は、「どんな人も」というわけにはいかず、一人ひとり「証」というタイプがあり、その方にピッタリ合う漢方薬であれば、その方が求めている効果がしっかり出ます。
それは、強さ弱さでは表せません。

 

漢方薬がよく効いてくると、身体がすっきりする、楽になった、とか、こころが明るく軽くなった、そんな風に言ってくださいます。

今の私に効く漢方が強い漢方@樫出恒代

それは、痛みがとれたり、眠れるようになったり、お腹がすくようになったり、便秘や下痢が治ったり、心配ごとが氣にならなくなったり、パワーがでてきたり…

と、その方が満足する結果が出てくることが、漢方の目的だからです。

そして、その方のQOLが上がることが。

 

「補中益気湯」で氣が上がってきたので、1か月後、氣をかき混ぜて整える「加味逍遥散」に

この方の場合、約1カ月前に処方した「補中益気湯」という漢方薬。
その時の漢方カウンセリングでみると、
「疲れがたまり、氣力体力の低下、食欲不振、声に力がない」などの症状があり、この漢方薬をお出ししました。

 

飲んでいるうちに、元氣になり食欲もでてきたのだけど、他の不調が出てきて、この漢方薬では弱いのではないか、と感じてきたのですね。

 

あらためて、漢方カウンセリングしていると
「体力は出てきているけど、最近、氣になることがあってもやもやしてきた、イライラもしている、ホットフラッシュみたいなカーッと熱くなることがある」

などの症状が出てきたとのこと。

 

年齢も51歳で更年期。
女性ホルモンのバランスが乱れていることも考えに入れ。

上半身に氣が上がってきているので「補中益気湯」はやめ、からだの上のほうに集まる「氣」をかき混ぜて整えてくれる「加味逍遥散」をお出ししました。

 

この「加味逍遥散」、私は女性ホルモン様作用があるように思うので、更年期障害といわれる症状には効果的で、特に氣が上がりやすいホットフラッシュなどになりやすいタイプの方には良いと思います。

 

今までの「補中益気湯」という漢方薬は、升麻(しょうま)と柴胡(さいこ)という漢方生薬が、氣を上げるという升堤(しょうてい)作用があり、氣が上がりすぎてしまうことでこの様な症状が出たのかもしれません。

 

ホットフラッシュがある方やのぼせやすい方は、「補中益気湯」を飲む際は氣をつけてくださいね。

 

漢方の良さは、ひとをまるごとみること。
病氣でなく病人をみる。

 

この方の場合、もっと強い漢方を、と希望されました。

その場合、なぜそう思ったのか?
今、何をいちばん治したいのか?
どこがどうつらいの?

など、カウンセリングしていくことで、ご本人が今の自分を客観的にみて、ただ、強いものが欲しいのではなく、今のいやな症状が変わってきて、それを治したいんだと氣づいてくれたことが、よかったと思います。

 

漢方は氣づきから始まる。

 

自分をみることで、氣づきがうまれ、氣づくことで、一歩前にすすめます。
それは自分をなにより大切にすることにつながります。

 

新しい氣づきと新しい漢方薬で、きっと、もっと笑顔が増えますね^_^

 

 

注:漢方薬については
漢方専門の医師や漢方薬剤師
漢方アドバイザーなどにご相談・
カウンセリングの上お飲みください。

 

 

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