40~50代の半数以上が抱えているといわれる子宮筋腫。正しい知識を持って対応することが必要です。
筋腫って何?
良性だけれど放置するのはNG!
40歳を過ぎたら筋腫に関する知識を!
「筋腫は良性のコブ。途中で肉腫やがんなど悪性に変わることはありません。症状がない人は大きく育ってから気がつき、慌てて手術になることも。逆に症状があるのに、何年も我慢している人もいます。年1回、乳がんや子宮がん検診を含む婦人科検診を受けていれば、筋腫の有無はわかるので、ぜひ検診を受けていただきたいですね」
と話すのは、子宮の病気が専門、産婦人科医の明樂重夫先生。先生が過去に遭遇した例では、子宮筋腫ひとつで7.5㎏もあった女性や、多発性筋腫で長時間の手術で70個も取り出した人がいたそう。40歳を過ぎたら筋腫はできて当然、くらいの気持ちで、正しい知識を身につけたいものです。
子宮は中が空洞になった袋のような形
おへその下、骨盤内の下側に収まっている子宮と卵巣。子宮は鶏卵ほどの大きさで、中が空洞になった袋のような形状
できる場所によって症状や進行が違うことに注目!
筋腫は大きく分けて3タイプ
できる場所や大きさ、その数により、症状や重症度が異なる子宮筋腫。それゆえ、自分の筋腫がどこにできているのかを把握することはとても大切。きちんと説明を受けましょう。
【1】 筋層内筋腫
最も多く、筋腫の約70%がこれ
場所
子宮の筋層の中(壁の中)にできる筋腫。多発しやすいのが特徴
症状
小さいうちは症状はなく、大きくなると過多月経やさまざまな症状を起こす
経過
大きくなって子宮を変形させると子宮の収縮が妨げられ、月経痛や腰痛なども
【2】粘膜下筋腫
5〜10%と少ないが、症状が激しい
場所
子宮の内腔へ向かって育つので不妊や流産の原因にもなりやすい筋腫
症状
小さくても症状が最も強い。内側を圧迫され続けると大量出血しやすいので注意
経過
茎を持つ有茎性筋腫になると、腟内に飛び出す「筋腫分娩」になることも!
【3】漿膜下(しょうまくか)筋腫
筋腫の10〜20%で、初期症状なし
場所
子宮の外側を覆っている粘膜の直下にでき、子宮の外へ向かって発育するタイプ
症状
無症状のまま巨大化することが多く、下腹部痛、頻尿など圧迫症状につながる
経過
根元が長くなってねじれると激痛が起きたり、周辺の臓器を圧迫して痛みを伴う
教えていただいたのは
日本産科婦人科学会産婦人科専門医、日本生殖医学会生殖医療指導医。日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医、日本女性医学学会女性ヘルスケア専門医。女性医療や女性ヘルスケア領域の確立に尽力
イラスト/内藤しなこ 構成・原文/蓮見則子