40~50代の約半数にあるという子宮筋腫。子宮筋腫に似た別の病気の場合もあるので、症状やできやすい年齢などの違いを把握しておくことが大切です。
子宮筋腫と似ている病気
筋腫と似ていて、しかも併発しやすいのが子宮内膜症と腺筋症。どちらも本来は子宮の内側にしか存在しないはずの子宮内膜組織が、別の場所にできてしまう病気です。内膜症と腺筋症は長らく同じ病気として扱われていましたが、今は区別されるようになっています。
子宮筋腫・子宮腺筋症・子宮内膜症の違い
子宮筋腫
できやすい年齢
20代〜50代
できる場所
子宮内部のどこにでも
特徴
コブのような筋肉の塊ができ、徐々に大きくなる。多発することが普通
自覚症状
おもに過多月経
治療法
薬物療法、摘出手術。筋層との境目が明瞭のため、筋腫核のみ取り出すことは比較的容易
子宮腺筋症
できやすい年齢
30代〜50代
できる場所
子宮筋層
特徴
子宮内膜組織が子宮筋層内にでき、月経のたびに出血し、子宮が肥大
自覚症状
過多月経、強い月経痛(月経困難症)、月経日数の延長など
治療法
薬物療法、摘出手術。筋層との境目が不明瞭のため、病巣のみ摘出するのは特殊な方法
子宮内膜症
できやすい年齢
20代〜40代
できる場所
子宮以外のどこにでも
*特に卵巣にできたものは「チョコレート嚢胞」と呼ぶ
特徴
子宮内腔以外の場所で子宮内膜組織ができ、月経のたびに増殖を繰り返して出血
自覚症状
月経痛(月経困難症)、慢性骨盤痛、性交痛、排便痛、不妊など
治療法
薬物療法、病巣摘出手術。癒着が強い場合や病巣が深い場所にあると摘出が難しいことも
教えていただいたのは
日本産科婦人科学会産婦人科専門医、日本生殖医学会生殖医療指導医。日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医、日本女性医学学会女性ヘルスケア専門医。女性医療や女性ヘルスケア領域の確立に尽力
イラスト/内藤しなこ 構成・原文/蓮見則子