更年期への恐怖
Q.
更年期が「閉経の前後10年」も続くと知ったとき、絶望を感じました。一時的な体調不良でもつらいのに、10年も不調の恐れがあるとはあまりに理不尽です。対策はあるとはいえ、費用もかかるだろうし、ずっと生理が嫌だったのに、まだまだつらいと思うとやりきれません。(46歳・パート)
A.
更年期の症状が強く出るのは約3年。現在は医学的な対策があり、そこまで恐れる必要はありません
「更年期は閉経前後の各5年、計10年間を指し、このときになんらかの更年期症状を自覚する人は全体の6割といわれています。そのうち日常生活に支障が出るほど症状が強い場合を更年期障害といい、これが起こる人は全体の3割弱というデータがあります。ですから更年期になっても、必ずしも強い症状が起こるわけではありません。また、更年期障害が起きたとしても、現在ではHRTや漢方薬などの治療法が用意されているので、それほど恐れる必要はありませんし、保険もききます。症状が起きていないうちから、過度に不安になって日々を過ごすのはもったいないですよ」
※この企画で取り上げた悩みは、2022年7月28日〜8月10日にWebマガジンOurAgeで募集したものです。
【高尾美穂先生ってどんな人?】
イーク表参道副院長。産婦人科専門医。さらにスポーツドクター、ヨガ指導者でもあります。産婦人科医になったのは「一人の女性の体を、初潮を迎えたとき、生理痛やPMSで悩んだとき、恋愛をして性交渉のことで悩んだとき、妊娠・出産のとき、更年期、閉経後と、人生を通して長く診ることができるから」だそう。診療のかたわら、NHK「あさイチ」への出演をはじめ、多数のメディアやSNSで情報を発信。音声配信アプリstand.fmの番組「高尾美穂からのリアルボイス」ではリスナーの多様な悩みに回答しています。著書に『大丈夫だよ 女性ホルモンと人生のお話111』(講談社)など。脳外科医の夫あり
撮影/高尾美穂<アイキャッチ背景写真> 取材・原文/和田美穂