
大豆イソフラボンに含まれるエクオールが更年期症状をやわらげる可能性がある
手指のこわばりやしびれ、痛み、生活に支障をきたすこともある更年期症状のひとつである手の不調(メノポハンド)。ケガや手の使いすぎなど特別な原因がなくても、突然痛みが起こるのが特徴のひとつだといいます。
「メノポハンドはなんとなく『手がこわばる感じがする』といった違和感から、具体的な症状へ進んでいくことがあります。特に更年期世代の手指の不調は、女性ホルモンが急激に減少することによる影響を受けるので、ほかの更年期症状が出始めると手指にも不調が出る可能性があるのです。そのため、手指の不調だけを予防するのは難しいですし、女性ホルモンの影響はなかなか避けることができません。
女性ホルモンの低下の対策として、大豆製品に含まれる大豆イソフラボンがいいという話をどこかで聞いたことがあるのではないでしょうか? 大豆イソフラボンの中に「ダイゼイン」という成分があるのですが、これが腸内細菌によって代謝されて「エクオール」という成分になります。このエクオールが女性ホルモンのエストロゲンと似た働きをするため、更年期世代の女性のさまざまな症状を和らげると考えられているのです」(下江隆司先生)
日本女性の約4割は大豆製品を食べてもエクオールを作れない
「では、大豆製品を摂取すればよいのかというと、必ずしもそうではありません。持っている腸内細菌の種類(腸内細菌叢)には個人差があり、エクオールを作れる腸内細菌を持っている人と持っていない人がいることがわかっています。私たちの調査では、日本女性のエクオール産生者は約4割で、半分以上の方は大豆製品を摂取してもその成分がエクオールになることはありません。ご自身がエクオールを産生できるかどうかは、市販の検査キットで調べることができます」
尿を採取して郵送するだけで、エクオールの産生レベルがわかる

自宅で尿を採取して郵送すれば、1~2週間でエクオールを作れているかどうかがわかる検査キット。測定値のレベルを5段階で判定してくれるのでわかりやすい。
エクオール検査「ソイチェック」 ¥4,785/カラダのものさし
記事が続きますエクオール産生者は毎日納豆1パック、非産生者はサプリメントの活用を!
「ご自身がエクオールを産生できていることがわかったら、積極的に大豆製品を摂取しましょう。おおむね、一日当たり納豆1パック(40g)、豆乳なら200㏄程度の摂取がおすすめです。残念ながらエクオールが産生できない方は大豆製品を摂取してもエクオールにはなりません。エクオールの効果を得るためには、エクオールを含んだサプリメントを摂取する必要があります。私たちの調査では更年期世代に1日10mgのエクオールを摂取することが、推奨されます」
小粒のタブレットを毎日1粒摂取

1日に摂取する目安量1粒にS-エクオールを10㎎配合。小粒のタブレットタイプで飲みやすい。
大豆イソフラボン エクオール 30日分(30粒)¥4,300/DHC
大豆を乳酸菌で発酵させたエクオールのサプリメント

エクオールを産生する「乳酸菌:ラクトコッカス20-92」で大豆を発酵させて作ったエクオール含有食品。1日4粒で摂取目安量である10㎎のエクオールがとれる。
エクエル112粒(1日4粒目安)¥4,320/大塚製薬お客様相談窓口(エクエル)
大豆製品やサプリメントをとり続けることで予防になる
「メノポハンドをはじめ、更年期症状のために大豆製品やエクオールのサプリメントを摂取するなら、毎日とることが大切です。エクオールは体に作用する時間が非常に短いので、3日間ほどとらない日が続くと、エクオールの濃度は0になってしまう可能性があります。ですから、大豆製品やエクオールのサプリメントを数週間続けて、調子が良いと感じる場合は毎日そのまま続けてメノポハンドの予防に役立てましょう。また、女性ホルモンは不規則な生活でくずれるので、睡眠、栄養バランスのいい食事など、規則正しい生活を送ることがメノポハンドの予防に役立ちます」
【教えていただいた方】

手外科専門医・指導医。和歌山県立医科大学整形外科学講座講師。医学博士。日本整形外科学会専門医、日本足の外科学会認定医、厚生労働省認定臨床研修指導医。診察を行いながら、更年期と女性の手指の不調に関する疫学調査や臨床研究に積極的に取り組んでいる。
イラスト/てぶくろ星人 取材・文/山本美和


