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世の中何が起きるかわからない。心配性な私が50歳目前に始めたふたつの積み立て。

ギリコ

ギリコ

築地界隈に暮らす51歳。毎月開催のセミナーやプレゼント、「君島十和子 美の格言」、「隣の50歳」、「女50歳からのキラキラ老後計画」、「十和子道」など担当。セミナーのときは会場にいつもいます!

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前回では老後に備え50歳を目前に保険の見直しをし、使っていないクレジットカードを退会し、お金のエンディングノートを書き始めたことなどを紹介した。

今回はそのタイミングで開始した、ふたつの積み立てについて書いてみたい。

(ただ、これはあくまでもふだんから超心配性の私が思うところがあって選んだもので、ほかの人に同じ積み立てを奨めるつもりは全くない。

またこの原稿を書いている段階で、このふたつの積み立ては開始してからようやく3年目に入ろうかという段階である。

よって「積み立ててよかった/積み立てなきゃよかった」という結論が出せる状態でもない)

 

お金のエンディングノートを書くため現在の預金総額を出したら、毎年どれくらい貯金できているのか可視化できた。

その具体的な数字をみたら「ここらでそろそろ新しいこと(老後資金の備え)をやっておこうか」と思えた。

 

家のリフォームは終えたばかりだったので毎月の生活費、固定資産税以外の近々ありそうな支出を出してみる。

私の場合、当時は確か

ガス給湯器の交換:50~60万円

がん専門ドックの受診:20~30万円くらい

エアコン2台交換:30万円くらい

という感じだったと思う。

うちは子どもがいないし車も別荘も持っていないし、海外旅行にも興味がないし、趣味も読書くらいしかないのでシンプルだが、ご家庭によっては書き出す項目が多いかもしれない。

 

こうして

「新しく始めることにまわしてもOKな金額」

の目安を算出した。

 

私が以前より興味があったのが外貨の積み立てだ。

それもアメリカドル(以下米ドルと書く)だ。

 

これは賛否両論あると思う。

ご存じのとおり為替は変動する。

外貨は売り買いすれば金融機関への手数料もそのつどかかる。

 

それなのになぜ米ドルを積み立てようと思ったのか、それはずいぶん前のアルゼンチンのブエノスアイレス出張での経験である。

 

宿泊先はアメリカ資本の巨大ホテルチェーンのひとつだったが、チェックインの際〝お客様の安全のために〟という注意書きを渡された。

 

「タクシーは流しのものに乗るのは危険。必ず最寄りのホテルで呼んでもらってください」

「日没後の徒歩での移動は避ける」

など他の国でもされるような注意が書いてあったが、

「外出のときは米ドルの用意を。支払いは米ドルでしかできない店もあります。とくにタクシーは米ドルしか受付けません。米ドルでの支払いができない場合、郊外に連れていきそこで持ち物を奪って客を置き去りにするドライバーもいます」

という一文もあった。

 

そのときは「ふうん」という感じだったが、実際街に出てみたら

〝支払いは米ドルでしかできない店もあります〟

どころか

〝支払いは米ドルでしかできない店がほとんどです〟

だったのだ。

 

秋ということもありブエノスアイレスは哀愁を感じる美しい街だった。

オフィス街を歩く人たちや人気のレストランで食事をする人たちは身なりを含めて他の国の都市生活者と何ら変わるところがない。

ところが現金で支払おうとすると現地通貨であるアルゼンチンペソがこのときの出張ではほぼ通用しなかったのだ。

なのでチップも米ドルで渡した。

 

ブエノスアイレスの市民は自分の国の通貨が現金としてこんなに通用しないことをどう思っているのだろう。

そして自分の身に突如こんなことがおきたら、と怖くなった。

 

私は心配性である。

それも超心配性である。

(そのためこの「編集部のつぶやき」でも書いてきたが、ふだんから災害に備えいろいろなものを備蓄している)

 

人さまからみたら資産といえるほどの金額ではないが、私にとって貯金は何かあればそれに頼るしかない大事な財産だ。

このグローバル化した世の中、よその国(経済圏)で起きた異変はあっという間に日本にも飛び火しかねない。

(うちは相棒が経済誌、国際政治経済誌、週刊誌、日本経済新聞を欠かさず読み、朝はBSのワールドニュースをみているので私もたまにだが世界のどこか一国で起きたことがよその国に思わぬ形となって打撃を与えたなんて情報を目にすることがある)

すべてを自国の通貨のみで蓄えているのはリスクかもと感じたこのブエノスアイレスでの体験。

それが忘れられず、日本円以外のものでも積み立てておきたいとかねがね思っていたのだ。

 

再度書くが、為替は変動する。

外貨は売り買いすれば金融機関への手数料もそのつどかかる。

なので私の場合は儲かることを期待しての積み立てではない。

いつ起きるかわからない不測の事態への備えのひとつである。

いつもは私の心配性を笑う相棒だが、これについてはバカにしなかった。

 

ファイナンシャルプランナーの安田さんに保険の見直しのことで相談に行った際、米ドル建ての口座を開設するならどこの金融機関がいいか意見をきいた。

 

・世界中のATMで簡単に日本の口座に積んである米ドルが引き出せるところ

・日本にいながらそれなりの額の米ドルを現金で即引き出したいとなったとき、フットワークよく現金を用意してくれそうなところ

 

という希望を伝え、名前がでてきた金融機関の最寄りの支店に行き口座を開設した。

 

うちから歩いて20分くらいのところにその支店があるというアクセスのよさもこの金融機関を選んだ大きな理由のひとつ。

いざとなったらすぐ駆けつけて引き出せるところがいいのだ。

 

マネーロンダリングを防ぐためなのか、口座開設にあたり審査があったような覚えがある。

 

開設できたところでまず

①毎月ほんのちょっとだけだが米ドルを買い、その口座に積んでいった。

そして質素倹約に励めば日本でも欧米でも少なくとも2ヶ月~3ヶ月間は暮らせそうな金額を貯めた。

日本円が機能しなくなったとしても少なくとも2ヶ月~3ヶ月間はそのお金でしのげ、その間に次の手を考えられる。

 

備えあれば憂いなし。

私の座右の銘である。

この段階でブエノスアイレス出張から抱えてきた心配はややおさまった。

 

米ドルを買って口座に積んでいっても金利はつかないので、ここで一旦①は終了。

次は

②「リタイヤメントインカム」というものに加入した。

いわゆる個人年金である。

 

これは毎月一定額のドルを買って積んでいくのは①と同じだが、金利がつく。

積み立て期間や積立額で金利は変わるが、私の場合は約10%。

50歳以上の人は加入できず、10年間以上は積み立てないといけない。

資料を読んで2ヶ月ほど検討し、50歳の誕生日を迎える直前ギリギリで入った。

 

観光目的の海外旅行には興味が無いが、定年を迎えたら元気なうちに海外で数年暮らしたいと思っている。

なので私の「有事の際は……」という心配が杞憂に終わり、なにごとも起きず平和な世情のもと老後を送れるようであれば、①②の米ドルはそのときの生活費の一部にあてるつもりでいる。

 

ハワイ、ロス、シアトル……ニューヨークも捨てがたいが家賃が高いしなぁ。

こんな風に夢想して楽しんでいる。

 

そしてふたつめの積み立て。

それは純金積み立てだ。

これも、私の超がつくほどの心配性ゆえに始めたもの。

 

有事の際自国通貨だけでは不安だということで米ドルを持つことにしたが、それも米ドルが通貨として機能しているという前提があってこそ。

かといって世界中の通貨を用意して備えるなんてできない。

 

そこでかねてから気になっていたのが純金積み立てである。

世界で通用する通貨以外の現物で持ち運びがしやすく、なおかつ積み立てがしやすいもの、と考えていてふと思いついた。

 

金も米ドル同様、相場は日々変動する。

売買すればそのつど手数料もかかる。

 

これもやはり儲かることを期待して始めたことではない。

 

備えあれば憂いなし。

その備えのひとつだ。

 

積み立て先の候補はふたつ。

 

旧財閥系の大手商社の系列会社ととある老舗のどちらで積み立てようか迷ったが、老舗のほうにした。

 

毎月その月の一番よい(安い)価格で自動的に購入して積み立てることができ、購入手数料はかかるが買った金を預けておく際にかかる管理費がかからない。

「今日は安いから積み立て額以上に買いたい」というときは単発購入もできる。

積み立て金額の変更も売買ももちろんネットで簡単にできる。

 

ここも本店が家から徒歩20分くらいのところにあるので、いざというときは駆けつけて現物を引き出しやすい。

 

こちらでも米ドル口座の開設のとき同様、審査があった。

うろ覚えだが戸籍抄本、保険証か自動車の運転免許のコピーなども提出したと思う。

 

純金もある程度積み上がったら、積み立てをストップするつもりだ。

 

今後の計画としては今は保管するものがないので契約していないが、ゆくゆくは貸金庫を借りるつもりでいる。

 

巨大地震が起きることも考慮し、地盤が固いといわれているエリアにある支店に借りようと思いその目ぼしは立ててある。

資料をもらったら、ある一定額以上の定期貯金をその支店に預ければ年間の賃料が半額になるという特典が書いてあった。

 

巨大地震がきたら東京とくに都心はどこも一緒ですよ、とあきれる人もいるかもしれないが想定できることには備えておきたいのだ。

とにかく備えておかなかったことを後悔したくない。

その一点につきる。

 

……。

それにしてもなんでこんなに心配性なんだろう?

少なくとも両親はそうではない。

自分でもかなり不思議に思っている。

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