ヒヨドリは意外に私たちの身近にいる
みなさん、ヒヨドリを近くで見たことはありますか?
↑両方とも東京の自宅マンションのテラスで2014年に撮影したヒヨドリです。
↓こちらは、今年の7月の朝、1分ぐらいの間に撮影した1羽。向きや光の当たり具合、写真技術(?)によって印象が変わりますね。
ヒヨドリの大きさはスズメよりふたまわりほど大きめ、尻尾が長く、色は茶色や灰色に見えます。
日本では1970年頃までは秋に渡来し、春に北に帰っていったようですが、今では留鳥になり、市街地にも山間にも滞在する、ありふれた野鳥だそうです。北海道のヒヨドリが冬だけ本州に南下することもあるそうです。
1960年代後半、私の家族は群馬県高崎市の社宅に住んでいました。その庭に、ときどき甲高い声で「キー、キー」と鳴く鳥がやってきます。母親が図鑑で調べたのだったか、ヒヨドリらしいと判明。たぶん冬だったのでしょう、おやつにリンゴを切ると、ひとかけを庭の木に置いてやっていました。当時我が家ではヒヨドリを「キーキーちゃん」と呼んで、鳴き声が聞こえると、窓際に飛んで行って見つめるといった、ちょっとしたスター扱い。もう50年以上も前のことですね。
ヒヨドリ、歓喜のあまり「ウヒョー、ウヒョー」と鳴く
そのヒヨドリに再会(もちろん別個体です)するようになったのが10年ほど前。私がテラスのガーデニングでスモモやブラックベリー、ブドウなど果樹を増やしていき、実をたくさんつけるようになってからです。
スモモのメスレー
ブラックベリー
シャルドネ。白ワインになるシャルドネは、クリーンな緑の実です。
そろそろ熟したかな~、と思って見に行くと、食べられていることが続きました。
最初はスズメの仕業かと思ったのですが、ある朝、朝食の仕度をしていると、聞き覚えのある鳴き声が!
キー、キー
あ、ヒヨドリだったんだ。窓から見るとシャルドネの粒をつついているではないですか!
一羽だけのこともありますが、しばしば、つがいと思われるもう1羽を呼びます。
私にはその鳴き声が、だんだん
ウヒョー、ウヒョーと聞こえるように。
「ウヒョー、やった~!うまそうなシャルドネがあるぜ」
興奮して叫んでいるに違いない。
なんとか食い逃げの証拠写真を押さえたいのですが、テラスのドアや窓を開けるだけで、即飛び去ってしまいます。リビングの窓のブラインドの隙間から、ガラス越しにそっとカメラを向けるしかありません。しかも望遠レンズを猟銃のような危険物と認識(?)するのか、レンズが見えた途端に逃げてしまうのです。
彼らが我が家のテラスにやってくるのは、果樹の熟す季節、ほぼ6~8月の間だけです。毎年、最初にヒヨドリの鳴き声を聞いた日から、望遠レンズを付けた一眼レフやら、高いズーム機能を備えたコンデジカメラを窓際に出しっぱなしにして、いつでも撮影できるようにしています。
それでも、窓の近くに置いたミモザが大きく育ってブドウの木が見えにくくなったこともあり、撮影は失敗続き。この程度の写真しか撮れません。今年の梅雨時の暗い日ですね。
実は正直言いますと、昨年まではフルタイム勤務で忙しかったので、果実はほぼ食べられるがまま。平日は水やりだけで、週末にちょうど熟していたら、収穫して、ありがたくいただくぐらいでした。いろいろ楽しむ心の余裕がなかったといいますか…。
数年前、つつかれたスモモのあり様。ヒヨドリはおいしく熟す時期が、なぜかわかるんです。しかもひとつを丸ごと食べてくれればいいのに、少しずつつつくのが憎い!
ついにヒヨドリと定年女子の果樹攻防戦が勃発する
しか~し! 今年は違いますよ。
定年後、週3勤務になって時間に余裕ができたら、ガーデニングへの情熱が高まり、果実に対する執着もいきなりアップ。
だって、見てください。ここまで意外と手間がかかっているんです。
うちのスモモは、毎年必ず東京の桜の開花の2~3日前に開花します。この規則性に、自然の偉大さを実感させられます。今年の満開は3月中旬でしたね。
本来スモモは受粉樹となる近い品種のもう1本を並べて植えたほうが結実しやすいのですが、この「メスレー」は1本で自家結実する品種です。でも、より確実に受粉させるために、開花時期には毎朝、耳かきの梵天でちょいちょいっと花粉をつついてすべての花を触っていきます。役立っているのか不明ですが、雨が多くて、梵天の受粉作業が1回しかできなかった年に実が少なかったので、続けています。
たくさん結実しても、かなりの割合で、小さなうちに落ちてしまいます。
たまたま落ちた実を集めて撮影しただけでもこんなに。
まあ、樹高150cm程度の小さな木なので、実は年により8~20個ぐらいで精いっぱいかと。
さて、今年も6月の上旬、あの声が!
ウヒョー、ウヒョー
あ、しまった。スモモが熟していそうなのに、確認していなかった!
慌ててテラスに飛び出てスモモの鉢に走り寄ります。もちろん、その間にヒヨドリは飛び去っていましたが、まだつつかれていませんでしたよ。
「今年こそ、なんとか実を守らねば!」
やおら立ち上がります。
薄紙の袋のようなものがあったらよかったのですが、そんなものはないし、と思い巡らすと、オクラを買ったときに入っていたネット袋が20枚ぐらいあることを思い出しました。前回のつぶやき「定年女子、ネット通販で『買ってよかった』ガーデニンググッズ3選」で書きましたが、鉢底石を入れて再利用するために取っておいたものです。
まだ青くて固くて絶対においしくない実を残して、少し赤く色づきはじめた実をネットでくるみ、爪楊枝で軽く留めてみたら、なんとか留まりました。
ヒヨドリは、こんなネットははずしたり、食い破ってしまうだろうか、とドキドキ…。
結果は大成功でした。
その後はヒヨドリの鳴き声が聞こえても、食べられることはなかったし、網目を通して陽が当たるので、きちんと赤く色づきおいしく熟しましたよ。ネットの上から軽く引っ張ってみてすぐに枝からはずれたら収穫して食べることに。今年の収穫は全部で11個。皮も薄くて、ものすごくおいしいのですが、スーパーで買えば全部でせいぜい1000円というところでしょうか…。
ついでにブラックベリーも、熟しそうなのからオクラのネットで包みます。赤いうちは、まだ固い。黒が濃くなるとすっと取れます。
ヨヒドリ、「カベルネ・ソーヴィニヨン」より「シャルドネ」を好む
育てているブドウの品種は、「シャルドネ」と「カベルネ・ソーヴィニヨン」の2本。
左がカベルネ・ソーヴィニヨン、右がシャルドネ。右側のシャルドネには、もっと右奥から伸びたテイカカズラのつるがからんで一体化していますが、ヒヨドリは実を見逃しません。
カベルネ・ソーヴィニヨンは、赤ワインになるぐらいなので、実の色は最初は緑ですが次第に暗赤色に変わっていきます。ヒヨドリは、甘いシャルドネのほうが好みのようですが、たまに、熟していない緑のカベルネ・ソーヴィニヨンも食べています。私も試しましたが、緑のうちは、かなり酸っぱい~。スモモの熟す時期を絶対に間違えないヒヨドリが、カベルネ・ソーヴィニヨンだけ間違うのはちょっとナゾです。隣のシャルドネと混同してしまうのでしょうかね~?
さて、育てているシャルドネとカベルネ・ソーヴィニヨンですが、ワイン用の品種なので、私もそもそも食べることを目的とせずに選びました。こちらも前回の「定年女子、ネット通販で『買ってよかった』ガーデニンググッズ3選」 に書きましたが、我がテラスの目指す「ヨーロッパの乾いた野原」に合いそう、という理由だけで15年ぐらい前に通販で取り寄せたものです。東京の夏の高温多湿には合わないだろうし、実が小さく皮は厚い。果実を食べるとしたら、デラウエアなど身近な品種にかないません。でもどちらも十分熟してから食べると、これが深みのある味わいでかなりおいしい! 発酵してワインになるんだな~、と想像される味なんです。ヒヨドリが好んで食べるのもわかります。
半世紀前にリンゴを分け合って食べたヒヨドリとの3か月間の攻防も、今年はあと少し。
スモモは今年の収穫は11個だけなので、私が独り占め(夫に1個だけ提供)しましたが、シャルドネ&カベルネ・ソーヴィニヨン、ブラックベリーの実は、ヒヨドリと分け合って、いただくことにします。
では、今回の「定年女子あるある(かもしれない)川柳」は。
懐かしの 幼なじみと グルメシェア
こちらは以前、沖縄で見掛けたヒヨドリ。虫をくわえているようです。屋根の上にいて近くに人間が近づけないことをわかっているのか、このコはいくらカメラを向けてもへっちゃら。何枚も激写させてもらいましたよ。