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〈同意の深掘りトーク・後編〉「不同意性交罪」に刑法改正! で、気になる「こんなときどうする?」

オチャリーナ

オチャリーナ

お茶好き、カフェ好きで、お茶のんで仲間とおしゃべりするのが至福。
コリ症、冷え性なので、鍼とかお灸で癒しています。
一番最近の担当は、翻訳のシリーズ本『こんにちは! 同意』&『こんにちは! 生理』。既刊の絵本『子どもを守る言葉「同意」って何?』も含め、「自分も相手も大切にする関係」に役立つ本を手がけたいと思っています。

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世界中で大人気の動画、「お茶と同意」や、子どもはもちろん大人にも安心が伝わる絵本『子どもを守る言葉「同意」って何?』の作者、レイチェル・ブライアンさんを囲むトーク、前編では性教育や、実際「その場面」でどうするか、などと話が盛り上がりました。

 

後編では、「不同意性交罪」への「刑法改正」で、ますます気になる「同意」について、さらに話題が進みます!
まずは、多くの人が思い当たる質問が、海外留学中の学生で、デザイナーズ・エシカルコンドームの普及を目指す活動をされている、中野響子さんから届きました。

 

「ハラスメントに対処できない自分が辛い」という声も…

 

中野:さまざまなハラスメントにあうたびに、きちんと言い返したいと思いながら、いざそうなると固まってしまってなにもできません。どうしたらいいでしょう?

 

留学先のUAEのアブダビからオンライン参加された、中野響子さん

 

 

中野さんの悔しさ、ワタシもよーくわかります。各種のハラスメントは、同意などお構いなく降りかかってくるもの。言葉だけのものであれ、行動を伴うものであれ、いずれも耐えがたいものですが、それに直面したときに「やめてください」「同意していませんから」と言いたくても言えない人は多いはず。
それどころか、あぜんとして動けなくなったり、言葉も出ない事も。性的なものを含めて、望まないのに押しつけられる行動すべてに対して起こりうる、悩ましい現象ですが…。

 

 


中野さんの質問を聞きながら、何度もうなずくレイチェルさん 

 

レイチェル(以下・R):思いがけない(有形無形の)暴力に対して、人が示す反応は「戦う(ファイト)」か「逃げる(フライト)」のいずれかだと、長い間言われてきました。でも今はさらに、「固まる(フリーズ)」もあるとわかっています。

私にも「あのとき言い返して叫べたらよかった」と思うことがよくありますが、ショックで固まって何もできないのは生物学的に仕方のないことです。どうぞ自分を責めないで、優しく自分をいたわってください。

ハラスメントを止める責任は、された側にはありません。害を与える行動をした人がその責任を取るべきなのです。

 

そうキッパリ言うレイチェルさん。知らずに自分を責めてしまうことが多い中で、この知識は大切。また相手がフリーズしていてもいなくても「黙っていたから『同意』」などということはない、と言うことも広く知られてほしい事実です。

 

後で弁護士の寺町東子さんも話されているように、これまで性暴力の被害と認められなかったフリーズのような状況に陥った場合に対しても、今回の「不同意性交罪」への刑法改正では、対応されるようになっているそうです!

 

レイチェルさんは、終わりの言葉にも、こう語っています。

 

R:ハラスメントを止める責任はコミュニティ全体のもの。「困っている人を助ける、良きバイスタンダー(居合わせた人)」の存在も大切です。教育ももっと必要だと思います。

 

そうですよね…。みんなの意識がコミュニティの空気を作るので、「自分は当事者ではない」などと思わないで、知ること、そして助け合うことも、大切なんですね(不審なことが起きていたら声をかける、通報する、予断をもたずに困っている人の話を聞くなど)。それは大人たちがしっかり心に留めたいことだと思いました。

 

 

刑法が改正されて「同意」の確認はどうなる? 法律ではどう判断されるの?

 

トーク最終盤には「刑法改正」の法制審議会に4年にわたり参加されて来た性暴力対応看護師(SANE)の山本潤さんがオンラインでご質問。

 

 

 

山本さんの質問は、こちら。

「これまで『同意』の認識が共有されてこなかった日本で、ちゃんと『同意』を確認し合う社会を作るにはどうしたらいいと思いますか?」。

 

確かに。法律ができても、みんなの理解の程度に差がありそうで、心配です。

 

 

R:文化の大きな変化を進める事は簡単ではありません。でも、法律はとても重要です。何が正しく何が正しくないかを定義して人々に知らせるからです。

そのとき大事なのは、同意はいつも「進行中」だということ。たとえば一度イエスと言っても、5秒後にはNOと言うかもしれません。(「一度言った/言われた」ことにこだわらず)会話を続けて何度でも同意をしっかり確認することが大切なのです。

 

なるほど!

この法改正に対して、よくネットなどでは「後になって『同意じゃなかった』と言われたら困るから反対!」などと言う人がいるけれど、「途中で気持ちは変わる」ことが前提だと認識して、その場でも何度でもお互いの意思を確かめあうことが大事なんですね。

 

レイチェルさんの著書、『子どもを守る言葉「同意」って何?』にもこんなページ↓があって、日常の「同意」の基本がわかりやすく紹介されています。

 

 

気分は変わるものだし、変えていいもの。気が変わって「いやだ」と言っているのにやめなかったら、それはひどく相手を傷つけることになります。また、ひとつの行為に「いい」と言ったとしても、そのあと行われるすべての行為に「いい」ということではないから、ひとつひとつ確かめ合いながら進めることが大事なんですよね。

 

どれも、言われてみれば当然のこと。それを、どこかで「スルーしても平気」と無視して来なかったか、スルーされていないか、と振り返ってみる事も必要そうです。

 

R:お互いを人間として尊重し合うこと、相手を「モノ」のように扱うのは間違っていることを、社会のみんなで共有したいですね。」とレイチェルさん。

 

山本さんも「それは、性暴力はもちろん、パワハラなど人権の問題や、人種や国籍、LGBTなど、多様性を認め合う大切さを共有することにもつながる考え方だと思いました。」と、うなずきました。

 

前編でのフクチさん、Kaiさんのお話にも通じますが、性教育は「生殖」や「性交」の知識を学ぶだけではなく、まず「自分は大切な存在」という意識から始まり、「同様に大切な、相手の生命やからだを尊重する」ことをみんなで学び共有することが大切なんだな、と感じるレイチェルさんの言葉でした。

会場のレイチェルさんらと手を振り合って微笑む山本さん。絵本の出版にあたっては監修もしてくださいました

 

 

最後に、法制審議会に参加する山本さんに協力してきた、弁護士の寺町東子さんからも発言していただきました。

 

「レイチェルさんの動画と絵本の大ファン!」を自認、「刑法の内容を示す動画をレイチェルさんに作ってもらいたいです!」と野望も語る、現状を反映した刑法改正のために尽力された寺町さん

 

「2018年にイギリスに刑法の視察に行ったとき、現地の警察の方の紹介で「お茶と同意」の動画を見て、そのわかりやすさに衝撃を受けました。今回の日本の刑法改正でも、罪名に「同意」の言葉が入ったのは画期的なことです。さらに有効な「同意」ができない典型的な場面についても条文に例示されました。暴力や脅迫があったときだけでなく、突然で同意を考えるいとまも無かったときや、フリーズした場面を示す「予想と異なる事態に直面して恐怖し、もしくは驚愕している」など、8つの類型条文に書き込まれています。レイチェルさんのお茶の動画で説明されていることもかなり入っていると思います。」

 

そう聞いて、改正案がわかりやすく作られていることに安心し、理解が進むことにもつながると期待も湧いてきます。そんな明るい空気に包まれて、イベントは終了しました。

 

お互いを尊重し合うために必要な「同意」について知ることは、きっと日常でも役に立つと実感。同意を意識することで、気持ちが楽になったり、相手を傷つけないで済むようにできたらいいな、とますます思った1日でした。

 

さて、このトークの動画(コラム版ショート)もYoutube・OurAgeチャンネルにて公開。追って全体の動画と質問ごとのショート動画も公開予定です。X(旧twitter):「子どもを守る言葉「同意」って何?【公式】@Consent4kidsJp にて告知・紹介しますので、ぜひぜひご覧くださいね!

 

 

 

※本記事は、公開時以降の状況に合わせて、内容を一部更新しています。

 

 

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