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足元に美意識は表れる?君島十和子さんのご自宅を取材して衝撃的だったこと、イタリアのマダムから学んだこと

ギリコ

ギリコ

本格的なドイツ製の鳩時計が欲しいと思い、銀座の和光へ。ところが売り場の隅にひとつしか置いてありませんでした。2年くらい前はたくさんの種類があったのに…。店員さんに聞いてみたら「ドイツの鳩時計職人さんが減るばかりで、今後も入荷するかどうかはわからない。今あるものがラストかも」とのこと。貴重な品になってしまったようです。

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こんにちは、ギリコです!

 

今日は足元のおしゃれについてです。

 

突然ですが、おうちにいるときのあなたの足元はどんな装いですか?

 

私は30代半ばまで、家にいるときは雑貨屋さんでなんとなく買ったスリッパを履いていました。

値段と色をみてテキトーに買い、汚れてきたら捨て、再び雑貨屋さんなどに行き、なんとなく目についたものを買う…

そんな感じでした。

 

ところがある日とても衝撃的な体験が。

 

その日を境に私は「テキトーに選んだスリッパを履く」のをやめたのです。

 

それは20年近く前のこと。

現在は美容家として活躍なさっている君島十和子さんのご自宅を取材で訪問する機会がありました。

 

十和子さんのおうちは、家具、食器はもちろん壁紙やカーテンなど家の中にあるすべてのものが洗練されていて、本当にすてきなお宅でした。

 

同行していたカメラマンにそれらを撮影するように頼み、台所でお茶を淹れてくれている十和子さんに話しかけようと近づいた、そのとき…

 

私の目は、十和子さんの足元に吸い寄せられました。

 

なぜかというと、十和子さんがものすごくエレガントなスリッパを履いていたからです。

 

細身のボディにちょっとヒールがついていて、それでなくてもすらりとした十和子さんの脚がさらに長く美しく見えました。

 

思わず「そのスリッパも撮影させてください!」と言ってその場で脱いでもらい、スリッパのアップも撮ったくらい素敵なスリッパでした。

 

こんな素敵なもの、一体どこで買えるのだろうと思って尋ねると、「主人がイタリアに出張に行ったときに買ってきたんです」。

なんでもこういうスリッパはなかなか日本では見つからないので、ご主人が海外出張のたびに買ってきてくれるとのことでした。

 

衝撃でした。

ご主人のその美意識の高さと妻への細やかな愛情に。

 

そして私のスリッパに対する認識がそのときに変わったのです。

 

「誰も見ていないから」「どうせ汚れるものなんだから」とテキトーに買ったスリッパを履き続けるのは、もうやめようと思ったのです。

 

それ以降は、おしゃれなインテリアショップや高級輸入雑貨のお店でできるだけ脚がきれいに見えるスリッパを吟味して買うようになりました。

 

とはいえ、十和子さんが履いていたような、あれほどエレガントなスリッパには出会えません。

 

ところがその数年後、思いもかけずチャンスが訪れました。

 

イタリアへ出張に行った際、ちょうどよい列車がなくて訪問先とのアポイントより2時間も早く目的の街に着いてしまい、時間をつぶさないといけなくなったのです。

 

そこはイタリア中部のほどほどに大きな街だったのですが、ぶらぶらと商店街を歩いていたらウィンドーにたくさんのスリッパを並べた小さなお店を発見。

 

「もしかして」と期待して、吸い寄せられるようにウィンドーへ近づき、中をじっくり見てみると…

 

 

あったのです!

 

十和子さんが履いていたようなエレガントなスリッパが。

 

 

店の中も薄暗くて、地元の人じゃないと入りにくい雰囲気の店でしたが、「エイッ」と思い切ってドアを押しました。

かなりの勇気がいりましたが、どうしてもあのエレガントなスリッパが欲しかったのです。

 

店の中には2,3人、女性の先客がいました。

 

彼女たちは突然入ってきたビジネススーツ姿の東洋人(私のことです)にちょっと驚いたような顔をしましたが、店員さんが「ボンジョルノ」と私を迎えるのを見ると、何事もなかったかのように再びスリッパを選びはじめました。

 

狭い店の中は文字通り天井から床まで、棚という棚にありとあらゆるデザインのスリッパが。

姿見がいくつかあり、その前でみんなスリッパをとっかえひっかえ履いては自分の姿を映しています。

 

!!

 

そうなんです。

靴を選ぶときと同じように、全身を鏡に映して、スリッパとのバランスをチェックしているのです。

 

なかでも50歳くらいと思われる女性はものすごくたくさん試していて、スリッパを履きかえると正面だけではなく、必ず後ろ姿もチェック。

そしてそのたびにお店の人になにかを言っています。

 

イタリア語はわからない私ですが、「夫の好みはもっとセクシーに見えるものなの」とか「正面のデザインはOKだけど、ヒールがもう少し高いほうが後ろから見たとき、ヒップから太もものラインがきれいに見えるかも」とか言っている感じでした。

 

そしてマダムが何か言うと、そのたびに店員さんは「じゃあこれはどうかしら」と、店の奥から違うものをもってきていました。

 

そうか。

スリッパを履いた自分の姿を一番目にするのは、夫をはじめとする家族や恋人。

 

この女性は、家でスリッパを履いているときの自分の姿が愛する人の目に素敵に映るかどうかを念頭に真剣にスリッパを選んでいたのです。

 

その意識の高さに、ただただ感心してしまいました。

 

 

それで私も姿見に自分を映し、2足を購入。

 

お店のマダムは「ひとつひとつが手作りなの」など言いながら包んでくれました。

 

そのうちの1足は、いまも大事にもっています。

[こちらがイタリアで購入したスリッパ。足にぴったりフィットし、軽い。廊下を小走りにかけても脱げたりしません。私にとっては貴重な品なので、今はもう履かずに大事にしまってあります]

 

 

とはいえ、そうそう海外でスリッパを買う機会はないので、日本で買える、履きやすくて少しでもエレガントな雰囲気のあるスリッパを探し続けました。

 

雑誌に「有名人のお宅を訪問」なんて記事が載っていれば、室内の様子だけではなく、「この人はどんなスリッパを家で履いているんだろう」とその有名人の足元を欠かさず見ましたし、料理研究家や女優さんなどのブログも足元が写っていないかどうか必ずチェック。

 

でも日本のセレブをいくらチェックしても、イタリアで買ってきたようなスリッパを履いている方はいませんでした。

 

そんななか、数年前にいくつかの百貨店のスリッパ売り場をことあるごとにのぞき続けていたら、やっと「これならOK」と思えるものに出会えたのです。

 

それがこのスリッパ。

イタリアで買ったスリッパのようなエレガントなタイプのものではありませんが、愛らしいルックス。

そして履き心地は抜群!

[大阪のメーカーがつくっているパンジーというブランドのスリッパ。木型をもとに手作りされたという、このスリッパは足にぴったりフィットし、履いていて疲れません。少しヒールがあるので、足長効果も。カラー展開は3色。私はこのまろやかなオフホワイトときりっとしたブラックを交互に履いています]

 

このスリッパに出会ってからは、もうずっとこれしか履いていません。

 

というか、ほかのスリッパは履けなくなりました。

(あるとき料理上手で素敵なおうちに住んでいる女優さんのブログを見ていたら、その方もこのスリッパを履いていて、勝手に親近感が!)

 

そんな私の様子を見て、ある日、相棒も「そんなにこの会社のスリッパっていいの?」とパンジーのメンズを百貨店でお試し。

 

すると…

 

「これ、いいね!」と驚き、即購入していました。

 

もちろん「スリッパは消耗品、安くて手ごろなもので十分」とか「洗濯機で洗えるものがいい」など、ひとそれぞれ考えや好みがあると思います。

 

ただ、私はスリッパにこだわるようになってから部屋着も前よりちゃんとしたものを着るようになりました。

 

襟がのびた着古したTシャツとか、シミだらけのトレーナー、毛玉がたくさんついたスウェットは着なくなったのです。

なぜかというとそういう着古したものだと足元のスリッパと合わず、部屋着のボロさがとても目立つから。

 

 

そのため家に一日中いるときの服装が、少しましになりました。

 

これはデザインが美しく、なおかつ履いていて心地のよいスリッパのもたらした効果のひとつです。

[最近、週末にビンテージショップ(いわゆる古道具屋さん)めぐりをしています。これはあまりの可愛さに衝動買いしてしまった、昭和50年代ころに作られたという木製のスリッパ立て。お客さん用のスリッパをしまうのに使おうと思いましたが、スリッパをかぶせると鳥の姿が隠れてしまうのが惜しくて、使えません]

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