谷村新司さんの訃報に接して思い出したこと
2023年10月16日、谷村新司さんが10月8日に他界されていたことが報道されました。
え? まさか・・。突然のネットニュースに驚き、声を失ってしまいました。
6月17日からスタートするはずだったアリスのツアーがキャンセルとなり、当選していた7月5日東京国際フォーラムのチケットが払い戻しになったときも、そんなに深刻な状況だとは想像すらしていませんでした。
発表されていた今回(2023年)の全国ツアーは21本。中止ではなく延期で、2024年の初夏頃から開催の予定・・とアナウンスされていたので、具合が悪ければ、そんな先のスケジュールなんて組まないだろうと勝手に思っていました。
以前、このつぶやきで、私のライブ人生の根っこにあるのは浜田省吾さんという話を書きました。
が、実は初めて行ったライブはアリスで、ライブの楽しさに目覚めたのはその時だと思います。まだ浜田さんに出会う前、中学3年生の夏休みのことでした。
『チャンピオン』の大ヒットで、ベストテン番組にもしょっちゅう出ていた彼ら。ある日、新聞広告でコンサートの告知があり、「行きたい!」と思った私は申し込むことに。当時は現金書留で直接チケット代を送付するというシステムでした。
場所は愛知県体育館。今でいうアリーナツアーだったようです。申し込み多数で追加公演が決定し、私は2日目に振り替えられたおかげでかなり席が良かったこともあり、それはそれは感動したものです。
昭和の時代のファンクラブ
アーティストに熱中しやすい私は、やはり人生初のファンクラブに入会。会報など捨てた覚えはないけれど、はて?と思って、ベッド下の収納引き出しの中を探してみると・・。
年季の入ったスヌーピーの箱の中に、ありました!
「アリスの飛行船」というファンクラブ名は、ファーストアルバムの1曲目のタイトルからきているようです。(今になって知りました)
まったく覚えてなくて驚いたのは、ボイスレポートなるものが付いていたこと!
ソノシートです。よく雑誌や絵本の付録にもなっていたペラペラのレコード。「懐かしい」と思える人って、いったい何歳ぐらいまでなのでしょう?
最近、オシャレな若者や音楽好きの間でアナログ盤の魅力が再評価されているようですが、残念ながら我が家にはレコードプレーヤーはありません。もう聞けないけれど、そっと箱にしまい直しました。
これもまったく覚えていなかったのですが、当時のファンクラブ先行チケット予約は、往復ハガキによる申し込み制。手作り感満載の手書き文字で、はずれの返信ハガキは「涙のお知らせ」で、「ごめんなさい・・」ですよ。
なんてアットホームなんでしょう。(会報の中身も基本的に手書きでした)
そして、私の初ライブ遠征は大学1年の夏、浜田省吾さんの福岡での野外ライブを観に行ったことなのですが、この申し込みハガキを見て、「当たっていたら、高校1年の私は東京に行くつもりだったのか!」と、ちょっとびっくりしました。
スケジュールをよく見ると、新宿厚生年金会館で7月28日から8月3日まで、1日の休みもなく1週間連続公演!
まだ売れていなかった1974年に年間303ステージという驚異的な記録を持つ彼らは、人気絶頂期であっても、こんなにハードなライブ活動をしていたんですね。
会費支払いの領収カード(ハンコですよ!)によると、私が会員だったのは昭和54年(1979年)11月から昭和56年(1981年)10月までの2年間。
1971年12月25日に結成し、’72年3月5日にデビューしたアリスは、’81年5月21日に活動休止を発表。11月7日の後楽園球場(現在の東京ドーム)でのライブが最後だったため、退会するのもいたしかたないことでしょう。
その間に行ったライブは3回。
‘80年7月の新譜『狂った果実』も好きだったけど、さかのぼって聴いた『帰らざる日々』や『遠くで汽笛を聞きながら』(ともに’76年)、『さらば青春の時』(’77年)、『明日への賛歌』(’72年)など、ドラマチックな曲が好きでした。
この頃は、アリスと並行して発表していた谷村さんや堀内孝雄さんのソロアルバムも聴いていたのですが(堀内さんの『君のひとみは10000ボルト』や谷村さんの『昴』など、アリスと同時にソロでも大ヒットを飛ばしていました)、アリスの活動休止後は少しずつ疎遠に。ちょうど浜田省吾さんに出会ってしまったのもありますが。
それでも思春期にどっぷりとハマった思い出というのは強いもので、2001年の再結成後初の武道館公演は観に行ったし、今回のライブも楽しみにしていました。
デビュー50周年記念の2022年11月のライブで「ここから10年、毎年アリスの活動を続ける!」と宣言し、つけられたツアータイトルは『ALICE 10 YEARS 2023 ~PAGE1~』。
ページを積み重ねていってほしかったですね。
人は亡くなっても、音楽は生き続ける。
確かに、その通りの名曲をいくつも残した谷村さんではあるけれど、やはりもう二度とライブで生の歌声を聴けないのかと思うと、寂しさは禁じ得ません。