5月25日、東京・日比谷野外音楽堂で「宮沢和史 音楽生活35周年コンサート『君と探してる楽園』」と題されたコンサートが開かれました。
日比谷公園の噴水広場から望む日比谷ミッドタウン。真下にいると気づかないけれど、改めて見ると巨大なビルですね。
日比谷公園の一角にある野音は都会のど真ん中にありながら緑豊かで、「ロックの聖地」と呼ばれる歴史も含め、気分が上がる会場です。(雨の日は除く)。
2023年に100周年を迎え、まもなく改修工事が行われるという話もあり、今の野音に再び行くことができて良かったです。
宮沢さんとの出会いと今
今はACIDMANに夢中な私ですが、ライブ大好き人生の根っこにあって、もはや殿堂入りしているのは浜田省吾さん・・という話を以前書きました。(2024年1月、浜田さんのさいたまスーパーアリーナ公演のレポートはコチラ)
実は、30年以上ずっと好きで、浜田さんに次いで殿堂入りしているのが元THE BOOMの宮沢和史さんです。
1992年に発売されたブーム4枚目のアルバム『思春期』の中の1曲として発表された『島唄』が、93年に大ヒット。
次のシングル曲『真夏の奇蹟』のテレビCMで「好きかも?」と思い、ノンノでインタビュー取材。(『今年(94年)活躍する男たち』みたいな特集で、93年10月期のドラマ『あすなろ白書』で一躍人気者となったキムタクと同じ並びでした。今思うとスゴイ・・)
真面目で優しくて時々ちょっと面白い人柄と、何より素敵な話し声。
『FACELESS MAN』ツアーの大阪城ホールや武道館でのライブを観て、そのカッコよさにすっかりハマってしまいました。以降、ブームの歴史をさかのぼり、ライブでの振り付けを覚え(笑)、稚内から沖縄までの日本中のみならずヨーロッパやブラジルまで追っかけるという、常軌を逸した私の人生が始まったのでした。
が、宮沢さんは持病である頸椎のヘルニアに悩まされ、2014年にブームを解散。2016年1月には歌手活動無期限休止宣言と、ファンにとっては悲しみの時期もありました。
けれど、本人的には「引退したつもりでいた」という約3年の時を経て、またステージに戻ってきてくれたのです。
宮沢氷魚君からの素敵なお花が!
ついこの間、30周年記念のライブに感激したと思ったら、もう35周年ですよ。
たくさんの祝い花の中に、
息子・宮沢氷魚君からのお花を発見! 「立派な俳優さんになったねぇ」と、まるで親戚のおばちゃんのように感慨深かったです。
しかも、忙しくてライブに来られない代わりの祝い花かと思ったら、ちゃんと観に来ていて、開演前に楽屋口から関係者席に向かうスラリと背の高い氷魚君を見つけ、会場中のみんなが釘付けになっていましたよ(笑)。
そういえば小さな頃から宮沢さんのライブによく来ていた氷魚君。(おばちゃんは目ざとく見つけていました。宮沢さんにそっくりで本当にかわいかったです)。
芸能界に興味を持ったのも「中学生の頃に観たブームの武道館ライブで、大勢の人たちを喜ばせている父の姿に感動したから」と、インタビューで話していたこともありました。
今回のキービジュアルは35周年と掛けた珊瑚(サンゴ)。沖縄を思わせるモチーフでもあり、宮沢さん自身が絵を描いています。(後日、タワーレコードでのトークイベントで「58歳だからゴーヤにしようか迷った」と、ミヤザワズ ジョーク)。
集まったミュージシャンは、ギターの高野寛さんやベースのTATSUさん、バイオリンの土屋玲子さん、トランペットのルイス・バジェさん、コーラスの大城クラウディアさんなど、宮沢さんのもうひとつの顔である多国籍バンドGANGA ZUMBA(ガンガ・ズンバ)のメンバーを中心に、総勢10人!
ちなみにバンド名の由来はブラジルの奴隷解放運動のリーダーだった英雄の名前なのですが、「地方のイベントに出演したときに『ガンバ・ルンバ』と呼ばれて、自分たちもまだまだだなと思った」とMCで笑わせていました。
事務所を解散して一人になってからは、弾き語りや、ギターとピアノだけといった小編成なアコースティックライブが多かったので、髪を切り、サングラスで登場した宮沢さんは、久しぶりにロックなモード全開でとてもカッコよかったです。
35年間が凝縮されたセットリスト
「今日も一日旅に出よう 24時間の旅に」と1曲目にふさわしいブームの『24時間の旅』でライブはスタート。
『神様の宝石でできた島』『そばにいたい』と、レゲエのリズムが気持ちよく野外に響く伸びやかな2曲のあとは、1990年にブームが初めて沖縄音階を取り入れた『ひゃくまんつぶの涙』で明るく盛り上がり、今回のライブのタイトルとなっているガンガ・ズンバの『楽園』へ。
ピースフルなオープニングパートが終わると、いったんバンドメンバーがはけて、ステージには宮沢さんが一人。
「誰かと愛し合った 過ぎ去った季節まで 好きになってあげたい」という歌詞に射抜かれたラブソングの名曲『月さえも眠る夜』と、三線一本の弾き語りで『島唄』をじっくりと聴かせてくれました。
そしてバンドに戻って再びロックへ。初期のソロ活動で作った英語の曲やポルトガル語の曲、活動再開後の最近の曲、KinKi Kidsに提供した『Next to you』、30年経った今もCMで使われている『風になりたい』などなど。さらに『真夏の奇蹟』まで!
客席はもう十分熱くなっているところに、本編最後のパートはガンガ・ズンバの『HABATAKE!』『WONDERFUL WORLD』『DISCOTIQUE』というダンサブルなノリノリのナンバーを畳みかけて終了。
ジャンルを超えてさまざまな音楽の旅を続けてきた宮沢さんの35年を、まさに凝縮したようなセットリストでした。
アンコールでは宮沢さんの故郷・山梨県出身の後輩ミュージシャン、元レミオロメンの藤巻亮太さんがゲストとして登場。
ブームのセカンドシングル『星のラブレター』を一緒に歌い、宮沢さんの最新アルバム『~35~』で競作した『遠影』を披露。
「暗くなりがちな僕の詞に、藤巻君がとても力強くて明るい曲をつけてくれた」という通り、過ぎ去った日々(=遠き日の影)を描きながらも、人生の「今」を肯定しているような前向きな曲になっています。
藤巻君が退場し、全24曲の最後はガンガ・ズンバの『銀河』。
いつの間にか暗くなっていた野音に宮沢さんの優しい歌声が響き渡り、胸に沁み込み、2時間40分のライブは終了しました。
こちらは4月に発売された、35周年を記念したアルバム『~35~』。
藤巻亮太さんだけでなく、岸谷香さんやトライセラトップス、坂本美雨さん、琉球古典音楽演奏家の親川遥さんなど親交の深いさまざまな世代のアーティストとコラボした作品集になっています。
私はレコーディング風景やインタビュー映像を収録したDVD付きのType-Aを購入。
「35」を「~」で挟んだのは、35周年の「これまで」と「これから」を表したかったとの思いを知り、「これから」もできる限り長く『そばにいたい』と願った私です。