黒木華さん、風吹ジュンさん、草笛光子さん、西田尚美さん、白鳥玉季ちゃん…好きな人だらけの映画でした(男性陣も)
2016年の主演ドラマ『重版出来(じゅうはんしゅったい)』以来、黒木華(はる)さんのことがかなり好きです。明るく元気な新米漫画編集者にぴったりハマっていました。
OurAgeのインタビューでお会いした本人も、かわいくて感じが良くて、ますますファンに。
そんな黒木さんの主演映画『アイミタガイ』の試写の案内をいただき、8月末に、いそいそと出かけました。(公開日はまだ先だし…と紹介するのを寝かせていたら、公開後になってしまいました。すみません)
ちょうどインタビューしたばかりの風吹ジュンさんも出ているし、そういえば草笛光子さんが話していた「次に演じる予定の90代でひとり暮らしの女性」って、この作品なのでは?!
…と、好きな人だらけのキャストにも惹かれました。
(西田尚美さんはノンノ時代から大好きなモデルさんだったし、白鳥玉季ちゃんは映画『流浪の月』を観て天才だと思ってました。今回、藤間爽子さんのこともすごく好きになりましたよ)
キャストとストーリーをざっくりとご紹介
主人公の梓(黒木華)はウエディングプランナー。けれど両親の離婚で苦労した経験から、交際中の澄人(中村蒼)との結婚に、今ひとつ踏み出すことができない。
そんな気持ちも全部打ち明けてきた親友の叶海(かなみ/藤間爽子)はプロのカメラマン。
が、ある日、仕事で行ったパプアニューギニアで事故に遭い、命を落としてしまう。
叶海の死を受け入れられない梓は、残された叶海の携帯電話のトーク画面に、生前と同じ調子でメッセージを送り続けている。
一方、叶海の四十九日の法要を終えた日、父・優作(田口トモロヲ)と母・朋子(西田尚美)は、児童養護施設から叶海宛ての御礼のカードを受け取り、娘が密かに続けていた行為を知る。
また別の日。金婚式の担当をすることになり、ピアノの演奏者を探していた梓は、ホームヘルパーをしている叔母・範子(安藤玉恵)の紹介で、90歳でひとり暮らしのこみち(草笛光子)に会いに行く。
あまり詳しく書くとネタバレになってしまうのですが、さまざまな人の日常的なエピソードが綺麗につながって、とても素敵な話になっているのです。
聞き慣れない『アイミタガイ』というタイトルは、梓の祖母・綾子(風吹ジュン)が語る「こんなんは、相身互いや」という言葉から来ていて、「世の中は持ちつ持たれつ、お互いさま。貸し借りみたいな恩を売るような言葉やなくて…」と説明されます。
誰かのためにしたことが巡り巡って、知らないうちに自分の元に戻ってくる。
いわゆる伏線回収が全く嫌らしくなく、いつもなら「そんな偶然ある?」とシラケかねないことも、あってほしいと思える優しさに、何度涙腺が緩んだことか。
感動したので、原作も読んでみました
驚いたのは、梓と叶海が親友であるという設定が映画のオリジナルだったこと。
「相身互い」をテーマにした5本の短編がさりげなくリンクしているこの原作。
澄人が主人公の『定刻の王』、ホームヘルパーとこみちさんの『幸福の実』、叶海の両親と児童養護施設の『夏の終わり』、梓とおばあちゃんの『蔓草』といった作品の中の、それぞれのエピソードはかなり映画に生かされているので、登場人物の想いやセリフを反芻することができました。
ちなみに1本だけ映画に登場しない、中学受験に失敗した少年が主人公の『ハートブレイク・ライダー』も、心温まる良い話でした。
原作にはない中学生時代の梓(右/近藤華)と叶海(左/白鳥玉季)を登場させ、2人が仲良くなったきっかけや、お互いに背中を押し合ったエピソードをキラキラと描くことで、叶海を失った梓や両親の悲しみがより深く伝わってきます。
間が悪くてちょっと頼りない澄人は、中村蒼さんが演じることで原作よりもずっと好感が持てました(笑)。
また、原作にはどこと書かれていないのですが、愛知県出身の私には映画のロケ地となった名古屋や三重県桑名市、近鉄電車など懐かしい風景も嬉しかったです。
年をとったのかな?と思いつつ、「今まで良い人間しかでてこない小説は嘘くさいと思っていたんです。でも今はそういうものを信じたい」という、叶海の父の言葉に深くうなずく私でした。
『アイミタガイ』
TOHOシネマズ 日比谷ほか全国ロードショー公開中
配給:ショウゲート
監督:草野翔吾 脚本:市井昌秀 佐々部清 草野翔吾
原作:中條てい「アイミタガイ」(幻冬舎文庫)
出演:黒木華 中村蒼 藤間爽子 草笛光子ほか
©2024「アイミタガイ」製作委員会
公式サイト:https://aimitagai.jp/