美容家としてOurAgeでも圧倒的な人気を誇る君島十和子さん。
最新書籍『君島十和子のおいしい美容「腸活レシピ」』は、「10年以上前から腸にいい食べ物やレシピを本格的に研究するようになった」十和子さんの、体はもちろんメンタルもいたわるレシピ本だ。
本が生まれたきっかけや、腸内環境を整えてからの体調の変化などについて聞いた。
撮影/露木聡子 取材・文/石井絵里
君島十和子さん
Profile
きみじま とわこ●1966年5月30日、東京都生まれ。雑誌モデルや女優として活躍後、結婚を機に引退。現在は美容家であり、自身のスキンケアブランド「FTC」のクリエイティブディレクター。メディアで活躍しながら、SNSでの飾らない姿が大好評。『十和子道』(集英社)、『アラ還十和子』(講談社)など、ライフスタイルや美と健康の秘訣を書いた著書多数。YouTube:君島十和子チャンネル Instagram: @ftcbeauty.official
お腹の強さには自信があったが、40代で迎えた「腸の転機」
最新刊『君島十和子のおいしい美容「腸活レシピ」』には、餃子、サンドイッチなど、誰もが自宅で簡単に作れて、腸内環境を整え、活性化させてくれるレシピがたっぷり。
自身の食生活を記録した「腸活ごはん1週間」などのページもあり、“大人の美と健康は基本的な食生活から! ”と思わせてくれる1冊。
そもそも十和子さんが腸活に目覚めたのは、今から10年以上前。40代に入ってからだったそう。
「モデルや女優をしていた20代の頃から『腸の状態を整えるとお肌にいいらしい』という情報は知っていたので、ひたすらヨーグルトを食べ、日焼けで荒れた肌をケアしていました。まだ腸活という言葉すらない時代です。
一方で、『私はお腹は強いほう』という自覚もあって。海外のロケ先で食べ慣れないメニューが続いても、特に体調を崩すこともなかったんですよね。何でもおいしくいただいていました(笑)。腸内トラブルに悩まされたこともないし、精神的にもタフなほう。ずっとそう信じて生きてきたのですが…。
『おやっ?』と思ったのが、結婚・出産からしばらく経ち、子育て・仕事と慌ただしい日々を過ごしていた40代の頃。娘たちの試験、受験など、家族の重要イベントの前になるとお腹の調子が悪くなるようになったんです。
『もしかして腸は美容や健康にとってとても重要で、もしかしたらメンタルにも関係しているものなのかも?』と思うように。そこで専門家の方に意見を仰ぎ、たどりついたのが『食事で腸内環境を整えること』でした」
腸活を深めるにつれ、脳と心の相互関係にも気づいた。
「腸内環境を整える一番のメリットは、ウイルスなどと闘う免疫細胞の力を上げることですが、脳と腸は“脳腸相関”という、互いに影響し合う関係にあるのだとか。そして幸せホルモンのセロトニンは脳だけではなく、腸内でも作られるといわれています。
私の場合、腸活食材と言われるみそや納豆などの発酵食品、野菜、豆、海藻、魚などをバランスよく食べていくうちに、緊張やモヤモヤが解消されていきました」
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更年期特有の不安や不快感も軽減!
そして「振り返ってみれば、あれは更年期症状でした」という心身の不調もクリアになったとか。
「50代に入った頃でしょうか。テレビを見ているだけなのに急に不安感がこみ上げ、動悸が激しくなったりして。病院で検査したのですが、特に異常はありませんでした。
ほかにも、朝、いつも起きる時間より30分も早く目覚めてしまい、その日のことを考えると不安でたまらなくなってしまって。いつも通りに会社へ行き、予定通りのスケジュールを行うだけで、心配になるようなことなんて何もないにもかかわらず、です。
そんな日々が続き、『どうやらこれも更年期症状なのかも?』と気づいたのですが、こうした不安感や不快な症状も、腸活を続けるうちに軽減されていきました。
『全てを解決してくれた』というと言いすぎですが、症状は次第に落ち着き、気持ちもポジティブなほうへと切り替えられるようになりました」
こうした経験も経て、本著で紹介されているのは、実際に十和子さんおすすめの腸活メニューばかり。書籍化にあたっては専門医の監修や、栄養計算や正確なレシピの分量など専門家の助けも借りているが、基本的にはすべて自宅で作っている料理を紹介している。
「月に1回、インスタで『腸活クッキングライブ』を行い、腸活レシピを披露してきました。
その中でもフォロワーさんたちから人気No.1だった『白みその腸活ポトフ』は、私もお気に入り。食物繊維たっぷりのさつまいもを始め大きめの根菜類を煮込み、白みそと塩麹で味つけするだけの簡単な一品ですが、白みそは時間と共に味が変化するので、作ってすぐはさっぱり、翌日はまったりとした味わいに。
カロリーを抑えながらスタミナをつけたい時は、『高野どうふときのこの腸活ボロネーゼ』がおすすめ。パスタでエネルギー源の炭水化物をとり、お肉代わりの高野どうふでタンパク質、大豆イソフラボン、鉄などを補給。高野どうふは優秀な腸活食材ですよ。食べ応えがありながら、お腹に重たすぎないメニューです」
50代後半からの“料理のライブ配信”が、新たな活力に!
ところでこのインスタライブは’22年、十和子さんが55歳のときにスタート。実はそれまでに感じていた「私って話が下手」という悩みの解消とともに、新たな可能性を引き出してくれたとか!
「自分が料理する姿を大勢の方に見ていただく機会などありませんでしたし、イベントなどのトークでは『いつもありきたりな話しかできなくて、私ってつまらない人間だなぁ』というコンプレックスがあったんです。
ところが、料理をしながらフォロワーさんのチャットを確認し、質問や感想にお答えするクッキングインスタライブは、想定外の出来事の連続。
私はきのこ類はキッチンペーパーで軽く汚れをふき取ってから調理するのですが、その姿を見たフォロワーさんから『十和子さんはきのこを洗わないんですか?』なんてご質問をいただいたり。
お肉を切ったあとに野菜を洗ったら『野菜を触る前に手を洗って~!』というコメントも入りましたね。実際に私と家族が食べるだけなので、その時はさすがに許して~と思いました(笑)。
『計量スプーンは、どこのものですか?』と、今まで意識したこともなかった質問が飛び込んでくることも。コスメ関連のインスタライブでは、すぐに「これはこういう商品です」と答えることができるのですが、ここまでいろいろな角度から臨場感あふれるコメントをいただいた経験がなかったので、最初は焦りました。でも変に構えなくてもフォロワーさんたちは楽しんでくれているんだと気がついて」
「(料理の)プロではないので小さな失敗もある!」と、ライブ自体を楽しむように気持ちを切り替えたのだそう。
「多少のミスもネタにすればいいし、前よりも本音を楽しく言える反射神経が身につきましたね。腸活で体や心を整えていった結果はもちろんですが、お料理のライブ配信で大勢の方とコミュニケーションをとることでも、新しいパワーがみなぎってくるのを感じました」
「腸活スペシャリスト」としての新たな境地も切り開いた十和子さん。インタビュー後編では、腸活から得ているパワフルな心身をさらに維持し、高めるコツを、生活習慣からさらに深掘り。そして60代、70代に向けて意識していることについても聞いていきます!
(十和子さんの美と健康についてさらに深掘りしたインタビュー後編はコチラ)
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『君島十和子のおいしい美容「腸活レシピ」』
著者:君島十和子(主婦の友社 1,870円)
日々をより健やかに過ごすために、十和子さんが追求してきた「腸活」メソッドを凝縮させたレシピ本。愛用の食材、調味料、腸の状態をさらに整えるライフスタイルの紹介も。「インスタライブでの人気レシピを集めた1冊ですが、ご自宅のキッチンで何度も読み返したり、『これが食べたい!』と、ご家族でページを開いてもらえたらと、書籍の形にまとめました」。