網戸のまま寝てしまい、翌朝のリビングに漂うのは金木犀の香り。
子供の頃、勉強部屋の窓のすぐそばに、父が金木犀の木を植えてくれていたからか、今でもその爽やかでかすかに甘い香りを鼻先に感じるたびに、懐かしい記憶も蘇らせてくれる、大好きな季節。
今年もバタバタと過ごすうちに気がつけば秋は本番となり、Tシャツ姿だった畑作業は、いよいよ長袖の出番チラリ。
暑い夏の作業も大変だったけど、そろそろ寒さ対策も意識しなきゃな時期となりました。
(なのに、入り組んだ網目とベージュのレース紐の可愛さ、550円とのお値段に惹かれて麦わら帽子を新調しちゃいました。来年の夏用かな)
カトノリ農園の9月前半は、前回ご紹介したモロヘイヤや空芯菜、ナス、ピーマン、ハバネロなどが元気よく実をつけてくれ、収穫の楽しさを満喫する傍ら、秋冬野菜の準備をと人参、白菜、大根、春菊、ホウレン草・・など、根菜、葉物の種まきがスタート!
ビタミンカラーのお野菜から艶色お野菜へ、バトンタッチ。
そんな種や苗を植える時に一番大切にするのが、植えた後のお天気。
晴れのお天気が続くときには、苗や種の周りにジョウロでしっかりお水を土に含ませ、「明日、雨予報でてる!」となれば、空にゆだねて。
そうして種は発芽し、苗は土の中でうまく根付くよう、祈るように様子を見守ります。
数日経った9月後半、いつものように畑を一周歩いてパトロール。
「ハバネロ、たわわだねー」地上で育つものを見て喜び、
「谷中生姜、もうすぐかなー」地中で育つものの状況にドキドキ。
それぞれの成長具合をじっくり観察していくと
「ここ、なんだっけ・・・?」確実に何かを植えたり蒔いたはずなのに、ピチっと敷かれたマルチシートの穴は空っぽ。
「こっちの畝(うね)も確か・・・」クワで耕し、種を蒔いた記憶の場所にあるのは芽ではなく草が。
ああ・・・とすぐさま納得。
張り切って秋冬野菜の準備をしたのは、台風の影響で東京も雨が降るとニュースで見た前日。
「台風で雨が降った後はまた気温が上がるし、発芽しやすくなるかも!」なんて、期待を胸に頑張ったものの、そこから天気予報は大きく外れ、連日の雨。
その雨によって小さな種達は流れ、太陽の光が足りずに苗達もお手上げグッタリ・・・。
野菜作りのことを書くとどうしたって、うまく育ったことや美味しく出来たことばかりを綴ってしまいがちですが、中にはこんな風にタイミングを読み間違えてしまう、ミスや想定外のことが起きることも。
「雨のせいなのか、もっと深く種や苗を植えるべきだったのか」
反省と学習、一つの経験も無駄にしないよう。
広範囲による仕切り直し、畑師匠が機械で耕してくれたおかげで土はふかふかの絨毯のよう。
ここからまた気持ちを切り替え、しっかり育んでいけたら!
秋冬を超えて来春まで楽しめる三池たか菜の種を、一粒づつ播き終えて作業場に戻ると、空にはこんなにも雄大な夕焼けが。
空の具合に泣くこともあるけど、こうして元気付けられることの方が多く。
明日の畑ではどんな成長が待ってくれているのか、楽しみに向かおうと思います!
加藤紀子
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「加藤紀子のエスプリ カフェ プラス」 http://www.ellebeau.com/electore-journal/n_kato/