「カボチャの種を蒔きました〜」
なんて歌いながらじゃんけんをして遊んだ記憶がありますが、撒いてもないのに、芽が出て膨らんで、花が咲いて、実ができたんです!のお話を。
今年の春先、お借りしている畑に、見覚えのない葉が何枚か出てきました。
確かそこは、小松菜やホウレン草を育てた場所で、それらとは全く異なる大きな葉。
見た目はキュウリやズッキーニ、スイカやカボチャなどが属するウリ科っぽいけど、植えてないんだよなあ・・・・謎すぎて、一旦スルーすることにしました。
畑に行くたびに、葉っぱは自由自在に広がっていて、
「お借りしている場所よりも先に伸び進んでいるけど、どうしたら良いのだろう??」
植えた記憶のない葉を横目に、この日もスルーすることを決めました。
6月上旬、事態はえらいことに・・・。
どの野菜よりもスペースを使って、広々と成長していく姿に唖然となり、どうにかしなきゃ・・と近づくも、どこからどう手を出せば良いのか、想像以上にツル同士入り組んでいて、完全にお手上げ状態。
作業場に戻り、畑師匠に相談すると「あ、あれ、カボチャだね」と一言。
植えてないのに、撒いてないのに、なぜそこに!!!
驚きと戸惑いを抱きつつ、まずは教えてもらった通り、メインの軸からいくつも伸びているわき芽を切り落として、葉を減らしていくことにしました。
葉が重なることで日照時間が足りなくなったり、栄養が行き届かなくなったりするのを避けるためと頑張ってみるものの、ツルの絡み具合はジャングルのよう・・。
「どれがどことどう繋がって・・・あ!!」
カボチャの実、発見!
葉っぱだらけジャングルだと思っていたその下では、花を咲かせ、実を付け、成長してくれていました!
「なるほど・・・」
カボチャの葉がすっきりしたのと同時に、ここにカボチャがある理由も判明しました。
食べ終えた畑の野菜の皮や種を、生ゴミとして捨ててしまうのが悲しくて、どうにか出来ないか?と去年始めたコンポスト。
そこから出来た堆肥を使って“ちょっとあったら助かるハーブ”を数種、自宅の玄関先で育てていましたが、土との相性も知りたく、許可を得て畑の一部の場所に堆肥を混ぜて、ホウレンソウや小松菜の種を蒔いてみました。
すると秋の終わり、なんら問題なくスクスクと育っていくその様子に、堆肥の実力を感じ、「コンポストをやって良かった!」と、にんまりしながらホウレンソウや小松菜を堪能した後は、何も植えずに土を休ませていました。
いや、休ませていると思っていました。
そこから数ヶ月、じんわりと温かな日差しを背中に感じるようになった春の始まりに、芽吹き始めた・・・葉。
畑から家に運ばれ、台所で取り除かれたカボチャの種が、発酵分解することなく、堆肥の中で呼吸をしながら時を待ち、土の中で栄養や温度を自ら吸収し、再び見慣れた畑に顔を出し、実を付け、楽しませてくれるなんて!
そんな健気なカボチャのことを「植えた覚えがない!」と何日もスルーしてしまったことを心から申し訳なく思いながらも、今年はいつも以上に丁寧に味わい、そしてまた来年も土の中からひょっこり芽が出てくる奇跡を待ちたいと思います。
食べて美味しく、愛でても可愛いことを知った、カボチャ2021。
加藤紀子
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