「加藤さん、辛いのお好きですよね?」
畑でハバネロを育てたことあるという話をテレビやラジオでしたからか、「あの人は激辛料理がイケる人」と思われているようで、時々「激辛チャレンジ」的な番組にお声掛けされることが。
でも、違うんです!
辛いのは好きだけど、程よく「美味しい!でも辛っ!」という刺激が好きなのであって、「辛さ×10倍カレー!」のような、ヒーヒー涙しながら食べるのが好きでも得意なわけでもないんです。
でも数年前にハバネロの苗と出会って、育てて、食べたら美味しくって・・
これってお好きってことになるのかなぁ・・
(そのまま食べるのではなく、ピクルスにして、カレーやドレッシングに少量混ぜて楽しんでます)。
「今年はハバネロじゃなく、こっち行きましょう!」
5月のある日、畑の若師匠が手渡してくれた苗・・・それが・・
こちらのトリニダードモルガスコーピオンをはじめ、スコッチボネットジャマイカンイエロー、キャロライナリーパー、ブリッキーヌ・スアン、ブートジョロキア、そしてピキーニョ。
「え?え?え?これってハバネロ以上の強者じゃない?どうやって食べたらいいの?」
大量に実がついたハバネロでさえ、もてあましそうだったのに、これらのラインナップ、いったいどう向き合えば良いのか・・・と思いながらも、せっかくだし、楽しそうだし、植えてみよう!!と苗を手に取り、この笑顔。
ちなみにジョロキア、激辛マーボー豆腐に挑戦!みたいなロケで経験したけど、辛い・・というより、逃げ場のない痛み・・って涙が出たなぁ・・・。
苗を植えてからの天候が、長く雨が続いた・・と思えば、晴れ続きと、生育過程にどんな影響をもたらすのか、気になっていましたが、ある時、ジョロキアだけが成長を諦め、悲しくも枯れた葉のみがマルチシートの中にひっそり佇んでいました。
(育っていくための温度が足りなかったのかなぁ・・)
代わりにその悲しみを癒そうとしてくれたのか、7月下旬にまず”ピキーニョ”がタワワに実をつけ、
最初の出会いは数年前に取材で行ったブラジルで。そこから去年、北海道旭川の農家さんでの再会を経て、ようやく今年自家栽培に。赤く色づいたら収穫タイミング。
生のまま刻んで、フレッシュで爽やかな辛味を楽しもうと、ところてんにトッピング!
8月の上旬、唐辛子それぞれの出身地の気温(南米やアフリカなど、熱帯、亜熱帯の地域)ぽくなった頃、ついに・・
スコッチボネットジャマイカンイエローにも色が!
ホットレベル、1、200、000スコヴィルのトリニダードモルガスコーピオンも、燃えるような赤さとなって収穫!
(ちなみにスコヴィル値とは、唐辛子に含まれるカプサイシンという、辛味物質の割合を測定したものだそう。
それほどまでの辛さに触れるときには手袋、メガネ、マスクは忘れずにが鉄則です!)
色鮮やかでかわい〜!!と喜んで家に帰り、実際にはどんな辛さで、どのように食べられているのかを調べようと、以前ラジオのゲストでお越しくださった信州大学准教授、松島憲一先生のご著書、『とうがらしの世界』を開き、読んでみると、スコッチボネットは、ハバネロほどの辛さではないものの、生のままではなく、煮て裏ごしなどの調理を経て、ジャマイカ風バーベキュー、「ジャークチキン」などのソースに使うんだそう。
そしてトリニダードモルガスコーピオンにおいては、世界一の辛さと認定している唐辛子研究所があるとのことで・・・、もはやレシピは存在せず。
(のちに先生と改めてやりとりしたら、「おいしい食べた方は載ってません〜」と笑ってらっしゃいました)
一体どのような進化と変化の中で、このような辛味を身につけたのか謎ではあるものの、せっかく育てた責任がある以上、干してパウダーにして・・なのか、煮てスパイスと合わせてタバスコ風にするのか、メキシコ、オアハカで食べた唐辛子入りソース「モレ」のようにするのか、はたまた魔除けとして玄関に吊るすのか・・・
可愛い色の中にある辛味の世界、この夏は目一杯彷徨い、味わいたいと思います!
加藤紀子
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公式ブログ 「加藤によだれ」 https://ameblo.jp/katonoriko/
「加藤紀子のエスプリ カフェ プラス」 http://www.ellebeau.com/electore-journal/n_kato/