「畑で野菜を育ててみたいんだけど」
最近、こんな相談をされることが多くなりました。
これまでと生活スタイルが変わったことで、時間に余裕が持てたり、サステイナブルへの関心からくる意識の変化であったり、人それぞれ様々なタイミングがあるのだろうなあ・・・と思いつつ、私が出来るアドバイスやお手伝いといえば「やってみなよ!」と、背中を押すぐらいしか・・・と思っていたのですが、「経験として、畑で野菜に触れてもらうことは出来るのでは?」と、お料理も上手で野菜作りに興味のあるお友達、その話を一緒に聞いていたお友達に、「秋冬野菜が出来始めたから、遊びに来ない?」とメッセージを送り、スケジュールを合わせ、11月中旬、畑に来てもらうことにしました。
日が近づいてくると、畑未経験の3人がラインで「長靴あった方がいいよね」「持ってない」「破れて捨てたばかり」から始まり、「エプロンはあった方が?」「軍手?」「汚れていいスニーカーで行くことにした!」なんて、「畑に行くには何が必要か?」を相談しあい、私は私で、せっかくだったら育った野菜を収穫して、近くにあるお気に入りのパン屋さん、コロッケ屋さんで買ったアイテムと一緒に、畑で食べてもらお〜と、見るだけではない畑時間を計画。
気持ち良く晴れた上に暖かな、まさに”畑日和”で迎えた当日、全員「汚れていい靴、汚れていい服で来た!」と口々に。
そして予定通りパン屋さん、コロッケ屋さんでランチ用の食料を買い込み、いざ畑へ!
お料理するのも食べるのも好きなこのチーム(そうなんです、この面々は美味しいお酒と食事を楽しむ会のメンバー)、初めて足を踏み入れる畑の野菜たちを真剣に眺めつつ、カトノリ農園エリアに到着。
「ようこそー!」改めてみんなに農園長として挨拶をしようとした時、
(photo by 衛藤キヨコ)
「かわい〜!」
畑をやりたいと話していた彼女がしゃがみ込み、真っ先にカメラを向けたのは、立派に育った野菜でも農園長でもなく、小松菜、ほうれん草、水菜・・・の新芽たち!
いつからか私にとって「種を蒔いた、無事に芽が出た、大きく育った!」虫食いや病気などの心配がない限り、じっくりゆっくり見ることが少なくなっていたけど、そうだったそうだった・・出始めた芽を見る機会って、普段の生活じゃ少なかったんだ!
こんな言葉をかけてもらえた新芽たち、嬉しかっただろうなあ。
そこからぐるりと一周、どんな風に育っているのかを見てもらい、気になる野菜を収穫することに。
「サニーレタスはどう収穫したらいいの?」
「カリフラワーの茎ってこんな固いの!」
「ブロッコリーの茎はスーって切れるんだね!」
「春菊ってどう採るの?」
「ルッコラ・・葉が柔らかくて取りにくい・・」
それぞれの野菜の収穫法に戸惑い、考え、見出し、収穫した瞬間、みんないい顔!!
「食べよう!!」
畑に置かれている収穫カゴで簡易テーブルを作り、クロスを敷いて、外したカリフラワーの葉は、さっと洗ってお皿に。
家から持ってきたカセットコンロとフライパンで野菜を茹で、作ってきた野菜スープはおしゃべり中に温め直し。
雰囲気が出るかと人参の花を飾ってみたけど、腹ペコが過ぎたのか、誰も気づいてくれなかったなあ・・。
サニーレタス、ルッコラ、ディル、パクチー・・・
買ったパンやコロッケ、ポテトサラダもセットして、リアルな”ファーム トゥ テーブルランチ”の出来上がり!
「実際こうして触れると、どこも捨てずに食べたくなるねー!」
まずはこう思ってくれただけで、畑に誘って良かった!
自分の手で収穫した野菜は、特別な調理をしなくても、シンプルに美味しいと感じられるし、また「硬いー!重いー!」の経験は、実際にふれてみないと想像しがたいこと。
どこで食べる何も、買って食べる何も、美味しいに差なんてないのかもだけど、作った人の顔が浮かぶというのは、よりおトクな旨味がプラスされるような気がして、そんな美味しい仲間が増えるのが嬉しく、「畑、やってみなよー!」しつこく彼女の背中を押しながら、もう一つ・・とカリフラワーを頬張るこの日の農園長・・なのでした。
加藤紀子
YouTube 「加藤紀子畑チャンネル」 https://www.youtube.com/c/katonoriko
公式ブログ 「加藤によだれ」 https://ameblo.jp/katonoriko/
「加藤紀子のエスプリ カフェ プラス」 http://www.ellebeau.com/electore-journal/n_kato/