前回、雲の分類が定年女子には激ムズだったという話を書いたら、「私も『天気の図鑑』を持っている」とか「あの記事を読んで以来、つい雲を観察してしまう」という大人女子からの反響がありました。調子に乗って初心者雲ウォッチャー、今回も雲のお話を書かせていただきます。
さて、みなさんは飛行機雲はお好きでしょうか?
私は飛行機雲を見つけるとちょっとうれしいです。人と一緒の時だったら、つい指をさして教えがち。相手の人がそれで喜んでいるかどうかは知りません、はい。
ブルーインパルスは飛行機雲ではなくスモーク
こちらは2014年5月、旧「国立競技場」最後のお別れイベントで撮影したブルーインパルスです。ブルーインパルスはきれいな航跡を残しますが、あれは飛行機雲ではなくスモークなのだそう。オイルをエンジンの熱で気化させてスモークを生み出す仕組みとか。以前テレビで見ましたが、パイロットが高速で空を飛びながらスモーク用の引き金を引き、狙った位置にハートを射抜く矢のマークを描いていて、職人技だなあと感心しました。
飛行機雲の3つの驚きの「へ~」
一方、飛行機雲は、もちろん狙っては作れませんよね。ふとした瞬間に出会えるから、見つけると得した気分になるのかもしれません。
前回もご紹介した私の愛読書2冊「空のふしぎがすべてわかる! すごすぎる天気の図鑑」著者/荒木健太郎(KADOKAWA)、「散歩が楽しくなる 空の手帳」監修/森田正光(東京書籍)
で飛行機雲のことも学びまして、これまた知らないことだらけ。「へ~」の連続でした。
【飛行機雲の「へ~」①】
飛行機雲は地上5km以上の高い空にしかできない
飛行機雲は、飛行機のエンジンから出る水蒸気などが氷晶化したり、翼がつくり出す空気の渦で水のつぶが発生したりして生まれるのだそう。だから気温がかなり低くないとできない、ということで5km以上の空なんですね~。
これを知って合点がいったのですが、ブルーインパルスはわりと簡単に機体が写せたのに、航跡(飛行機雲)を残しながら飛ぶ機体を見つけてスマホで狙っても、ゴマ粒ほどにも写らないんです。
見せるために飛行をするブルーインパルスに比べて、飛行機雲(と飛行機)ははるか上空にあるんだなあ、と納得した次第です。
見通しのいい高校の校庭脇をジョギング中、数分に渡って上に伸びていく飛行機雲を目撃。機体がきらきら光って位置は目視できるのにスマホで撮影しても飛行機は写りませんでした。最低でも5km以上の距離があると知れば、それも納得です。
【飛行機雲の「へ~」②】
真下に落ちて見える飛行機雲は、実は向こうに飛んで行った跡!?
こちらは冬のジョギング中に公園の空に座標軸のような飛行機雲を見つけてパチリ。特に縦軸のラインが不思議で、まさか飛行機が落ちた!? といぶかしむほど。こういった空から垂直に落ちて見える飛行機雲は、実は飛行機が向こうにまっすぐ飛んで行った跡なのだそうです。反対に垂直に上っている飛行機雲は、まっすぐこちらに飛んできた飛行機の跡だそうですよ。
余談ですが、この時すぐ横には、こんな2本がぶつかりそうな(たぶんそう見えるだけの)飛行機雲も発見。この日は飛行機雲日和でしたね。
【飛行機雲の「へ~」③】
飛行機雲が空に長く残ると「すじ雲」になる!?
飛行機雲を見つけても、すぐに消えてしまう時と、長く残っている場合がありますよね。
こちらは、すぐに消えてしまった飛行機雲。
たぶん1分ぐらい飛行機が小さく見えていましたが、飛行機雲はずっと短いまま。すぐにしっぽが消えてしまい、長い航跡を描かなかったんです。写真も映えません!?
飛行機雲がすぐに消えてしまうのは、上空が乾燥しているから。だからその後も「晴れ」が続くことが多いのだそう。
反対に飛行機雲がぼわわんと太ってきたり、長く残るのは、上空の水蒸気が多い状態。その後、天気が崩れやすいそうですよ。
そしてそして!なにより驚いたのは「飛行機雲が10分以上空に残ると『巻雲(けんうん)』(すじ雲)に分類される」のだそう!「巻雲(けんうん)」は、前回も書きましたが、5~13kmの高い空にできる雲ですね。さらにその後、やはり高い位置にできる「巻積雲(けんせきうん)」や「巻層雲(けんそううん)」になることもあるのだそうです。雲の変異事情、びっくりです。
9月中旬の夕方、ジョギング中に南の空に飛行機雲を発見しました。
上)17:02 誕生直後らしくラインがほっそりすっきり。
中)17:11 しばらく走って9分後に別の場所から南の空を撮影。かなり太ってきました。
下)17:14 最初の発見から12分後、スーパーに到着。たしかに「すじ雲」っぽくなっている!
3つめの写真を撮った後、急いでスーパーで買い物を済ませて出てきましたが、空は雲が増えていて、さきほどの「すじ雲」のその後の変化は見届けられず…残念! とはいえ、雨こそ降らなかったものの、やはり空が湿っていて雲が多くなったということですね。
はてさて、こうして私の飛行機雲ウォッチングを振り返りますと、今回使った写真は、すべてジョギング中にスマホで撮影していました。
では、今回も「定年女子あるある(かもしれない)川柳」を。
飛行機雲 撮って追いかけ ジョグ楽し
◆「わた雲」と「すじ雲」どちらが空の高いところに出来るか知っていますか?