代官山で、フィンランドアート鑑賞とお買いもの
フィンランドで、いちばん好きなアーティストは?と聞かれると、一人だけあげるのはとても難しい。ゆっくりと、知れば知るほど好きになっていくタイプのアーティストもいれば、一目惚れのアーティストもいます。
今回紹介する、セラミックアーティストで、テキスタイルやイラストなども手がける、イェンニ・トゥオミネンさんは、完全に一目惚れでした。作品と目が合った瞬間に、不思議と癒される、そっと包まれるような世界観に、「ああ、たまらん!」と恋に落ちたのでした。
こちらがイェンニさん!
昨年、日本で開催された個展では、彼女の作品をはじめて購入。マリメッコの仕事も多いイェンニさんは、熱心なファンの方も多いので、訪れたときにはほぼ売約済みだったのですが、じっくり作品と向き合っていくうちに、「ああ、この子、いいなあ」と思う作品と出会いました。
そんなイェンニさんの個展が今年も開催されると聞き、東京・代官山にある「ギャラリーのこぎり」を訪れました。
こちらが展覧会のフライヤー。左が昨年のもので、右が今年のもの。フライヤーからも楽しい雰囲気が伝わってきます。
ギャラリーはレトロなビルの2階にあります。のこぎり型の看板が目印。
比較的こじんまりとした空間ですが、そこにはイェンニさんの手がけた愛おしい作品たちがぎゅっと詰まっていました!
昨年のテーマは、「渋谷区猿楽町、フィンランドの森」。そして今年は、「渋谷区猿楽町、王様のいない森。」。
平和を愛するイェンニさんは、動物も人間も植物も誰もが平等で、お互いを思いやりながら、争いなどなく、みんなが仲良く暮らす場所として、「王様のいない森」を表現したそう。また、今回はかわいらしい子ばかりにするのは避け、ミステリアスで大胆な登場人物を作ったと言います。
注目作品のひとつ、アマゾンガール。
制作期間中、ギャラリーの人たちに作品を見せたり、意見を聞いたりと、コミュニケーションを取るのを楽しんでいたというイェンニさん。あるとき、日本の海女さんの話を聞いて、「森だけじゃなくって、海にもいるかもしれない!」と、こちらの海の「アマゾンガール」シリーズが生まれたのだそう。
そしてこちらは、羽のある女の子「バタフライガール」。立体作品だけでなく、エッチングや水彩画の作品も展示されていました。
ネコやフクロウなど、動物もいっぱい!注目はこちらのハリネズミ。先にイラストレーションとして描かれていた子で、今回初めて立体作品になりました。手にはきのこを持っていますよ。
私のお気に入りはこの子。どっしりとした佇まいがかっこいいです!
イェンニさんは、個展の開催に寄せて「私の森の妖精たちは、大胆で独創的でありたいと思っている。彼女たちは自分たちの意志を持っている。でも優しくて親切なの」とコメント。まさに、自分自身がそうでありたいと思いますよね。
作品はすべて購入できます(ただし売り切れ御免となります)。またイェンニさんのイラストがデザインされたTシャツもありました。
私は散々迷って、左から2つ目の「KULTA SIILI JA MUSHROOM」を購入。大胆なデザインに惹かれたのと、裏面に潜んでいる「黄金のはりねずみときのこ」がツボでした。
ギャラリーのこぎりに来たのなら、ちょっと足を延ばして、同じ会社のトンカチが経営している直営店の「TONKACHI, 6」にも行かなくちゃ!ほんの5分で到着です。
リサ・ラーソンさん、マリアンヌ・ハルバーグさんなど、スウェーデン出身のアーティストの作品、プロダクトを始め、イギリスやフランスなどのアーティストアイテムもそろっています。
日本でも特に大人気のリサ・ラーソンさんのセラミック作品は、おしゃれな雑貨店などでも販売されていますが、直営店だけあって在庫がたくさん!
よく見るとちょっとずつ表情が異なるので、お気に入りをじっくり探すことができます。さらに、リサさんの貴重なヴィンテージ作品もありました!
他にリサさんの人気キャラクター、縞模様がかわいい猫のマイキーやはりねずみ、うさぎがラベルになった、スウェーデン産のワインも。
リサさんと同じ、スウェーデンのセラミック・アーティスト、マリアンヌ・ハルバーグの作品も素敵です。ユニークなアイテムの数々に、目を奪われます。セラミックのアイテムは、マリアンヌさんと瀬戸焼の窯元とのコラボレーション。
イェンニ・トゥオミネンさんの作品もありました。展覧会だけでなく、こちらも見逃せません!
本当に欲しいものばかりで困ってしまうのですが(笑)、この日は、今年ちょうどトライしたかったことにドンピシャはまった、マリアンヌさんの「バケツの植木鉢」を購入しました。
さっそく、家の中の北欧コーナーに置いてみましたよ。
昨年末、友人宅を訪れ、彼女の、緑あふれる心地よい空間にすっかり魅了され、今年は「憧れの観葉植物ライフをスタートするぞー!」と意気込んでいたのですが、忙しさにかまけてなかなか始められずにおりました。でも、マリアンヌさんの素敵な「バケツの植木鉢」と出会い、「これだ!」と。ようやく我が家にグリーンが仲間入りしました。
ちなみに写真の中心に写っているのが、昨年のイェンニさんの個展で購入した作品です。イェンニさんの作品で好きなところの一つは、そのつぶらな瞳。そして、この時はかわいい洋服もツボでした。耳のような不思議な髪型も。こちらの作品名は「ペイッコ」。日本語に訳すと「妖精」。その名の通り、絶妙な不思議さを放っています。手のひらサイズの小さな作品でとても愛らしく、見守るようにそっとそこにいる。まさに森の妖精な存在です。
少し涼しくなってきて気持ちのいい季節になりました。ぜひイェンニさんの展覧会と、北欧アーティストのアイテムが充実したショップで、北欧アートとお買いものを楽しんでくださいね。
●イェンニ・トゥオミネン展覧会「渋谷区猿楽町、王様のいない森。」
2023年8月25日(金)〜10月15日(日)12:00〜19:00
水・木・金はウェブにて事前予約が必要。土日祝は予約不要
休廊日:月・火(祝祭日は開廊)
●直営店「TONKACHI, 6」
12:00-19:00(不定休)
直営店 TEL 03-5428-5162
オンラインショップ
最後に、北欧アーティストつながりでお知らせがあります。この夏、ユニットkukkameriの活動で、フィンランドのアーティストをインタビューするウェブマガジン「kukkameri Magazine」を立ち上げました! いつかフィンランドを訪れて、イェンニさんにもじっくりお話をうかがいたいと夢見ております。よかったらこちらのサイトものぞいてみてくださいね。
新谷麻佐子さんの北欧旅連載
『今人気の田園ツーリズム。フィンランド、ラトビア、エストニアに行ってきました!』