青山店でのライブペインティング&トークをレポート
春風に乗って訪れたのは、東京・南青山にある「ニコライ バーグマン フラワーズ & デザイン フラッグシップ ストア」。ご存じ、フラワーアーティストとして活躍する、デンマーク出身のニコライ・バーグマンさんのお店です。
3月上旬、こちらのお店で、デンマーク人アーティスト、エスケ・トゥボルグさんによる、ライブペインティングが開催されました。
アート作品を通して、見る人の心、そして取り巻く環境をも繋ぎ合わせるというエスケさん。そんなエスケさんの展覧会「FLOW, US」が、「ニコライ バーグマン 箱根 ガーデンズ」にて開催中です。展覧会のコンセプトや開催の経緯、制作の裏話も聞けるということで、駆けつけました。
しかも、ニコライ・バーグマンさんのカフェ「NOMU」による、デンマークスタイルの朝食つき!ライ麦パンにチーズ、カリカリに焼いたベーコン、チーズが香ばしいマフィンなどが、シンプルながら美しくテーブルに並びます。いかにも北欧らしいビュッフェスタイル。胸が高鳴ります。
ロイヤルコペンハーゲンのプレートに盛りつけて席へ。1つ1つが洗練されたものだから、ささっと盛りつけても絵になりますね。
ピンク色のスムージーは、バナナの甘みの中に、柑橘系のさっぱりとした風味が広がります。いつ来ても思うのですが、 NOMUのフードはとってもおいしい!(以前、こちらのお店を取材していますので、気になる方はどうぞ)
本日の主役、エスケさんの登場です
日本の桜をモチーフにしたこちらの作品は、数日前から「ニコライ バーグマン フラワーズ & デザイン フラッグシップ ストア」に詰めて、営業中に描いていたのだそう。お店に偶然居合わせた人はラッキーですよね!
壁一面を覆う大きな作品。春の風をまとって、花びらが舞い、桜の枝がさわさわと揺れる様子が感じられます。
エスケさんに話しかけてみると、とても気さくで、撮影にも笑顔で答えてくれました。日本のアートや相撲なども大好きとのことで、この日は浮世絵がプリントされたTシャツを着ていましたよ。
朝食を食べ終わった頃、ニコライさんも登場し、エスケさんと2人で、今回の展覧会への思いを語ってくれました。
ニコライ 20数年前に日本で暮らすようになってからずっと、日本の美術や着物など、伝統文化に惹かれてきました。最近は、モダンアートにもはまっていて、今回は同じデンマーク人アーティストのエスケとコラボレーションをすることになりました。
エスケとの出会いは、実はインスタグラム。今の時代らしい出会い方ですよね(笑)。ある日、エスケから「一緒に仕事をしませんか?」とメッセージが届きました。そして「東京に、絵が描けるような大きな壁のあるビルはありますか?」と。東京でそのようなビルを見つけるのは難しいので、箱根にある私たちのガーデン(ニコライ バーグマン 箱根 ガーデンズ)ならできるのでは?とひらめきました。
エスケが来日すると、箱根でいったい何ができるだろうかと話し合いました。最終的に彼が提案したのは、私が花の作品を手に持ち、その花をエスケが描くというものでした。
エスケ 実は、花をモチーフにした展覧会というのは、今回が初めてでした。これまで偉大な画家たちが花の作品を描いてきたので、それとは異なる新しいことを表現するのは難しいと思っていたんです。でも、フラワーアーティストのニコライと出会い、彼の作品に触れ、花をテーマに描きたいと思いました。
展覧会のタイトルは「FLOW, US(フロー、アス)」。言葉の響きが、フラワーズに似ていますよね。それも気に入っています。
フローという言葉には、流動性や動きという意味があります。実際に花を見て、その動きなどを表現しています。ニコライがブーケを作っている間、彼の周りをうろうろして、彼の作っている姿を動画や写真におさめました。それを大きいサイズにプリントして、描いていったのです。その一連のプロセス自体が、自分にとって新たな発見であり、今後もやっていきたいなと思います。
ニコライ エスケは1月末に来日して、1ヶ月以上、箱根で制作していました。私が箱根を訪れるたびに語り合い、作っていきました。事前に準備をせず、周囲の環境に合わせて作品を作っていくというスタイルは、本当にすごい。クリエイティビティのインスピレーションというのは、そういう環境でこそ生まれるのだなと思いました。また、箱根で1日作業していると、光の移ろいを感じることができます。エスケは花だけではなく、そういった光の動き、影のシルエットも意識して描いています。
もう1つ、この展覧会がユニークなのは、ニコライ バーグマン 箱根 ガーデンズのすぐ横に、大涌谷の川が流れていて、環境的に硫黄の影響が大きいということ。いろいろなものがあっという間に錆びてしまうので、これまでにも1年でエアコンが壊れ、車のドアミラーが取れてしまうこともありました。
それをエスケに話したら、面白がってくれて。今回、大きなスチールプレートに描いた作品もあり、屋外のスチール作品は1年くらいでボロボロになってしまうでしょう。私の花の作品からインスピレーションを得たエスケが、絵を描き、そのアートワークが箱根の自然の中で消えていく。なんて美しいことだろうと思いました。
「FLOW, US」の展示作品は全部で50点ほど。そのうち大きいものが4点で、ここ南青山で描いた桜の作品と同じくらいか、それ以上に大きいものもあります。他に、小さなパビリオン(グラスハウス)が敷地内のあちこちにあるのですが、そこの中で、花と一緒に作品を飾っています。箱根にもカフェの「NOMU hakone」があり、そこにも彼の作品があります。
私とエスケがコラボレーションした、フラワーボックスも発売します。箱の絵柄はエスケが1つ1つ手で描いたもの。1つ1つ違うので、そちらもご注目ください。
「ESKE TOUBORGデザインのフラワーボックス」4950円~。
エスケが来てからの1ヶ月間、私はずっとわくわくしっぱなしでした。ぜひたくさんのお客様に見ていただき楽しんでもらえたらと思います。
エスケ・トゥボルグ展覧会
「FLOW, US」
【会期】3月20日(水・祝)〜約3ヶ月開催予定
【会場】ニコライ バーグマン 箱根 ガーデンズ
【入園料】事前Web予約:大人1500円、学生1100円、小学生以下無料
現地購入:大人1800円、学生1400円、小学生以下無料
※当日券は売り切れの場合もあるため、事前購入がおすすめ。また園内はすべてキャッシュレス決済のみ。詳細はサイトにてご確認ください。
最後に、お知らせがあります。昨年、ユニットkukkameriの活動で、フィンランドのアーティストをインタビューするウェブマガジン「kukkameri Magazeine」を立ち上げました。
最新記事では、マリメッコのテキスタイルデザイナー、ロッタ・マイヤさんにインタビュー。花をモチーフにしたフラワープリントで人気の彼女に、作品誕生の裏側をお聞きしました。
新谷麻佐子さんの北欧旅連載
『今人気の田園ツーリズム。フィンランド、ラトビア、エストニアに行ってきました!』