HAPPY PLUS
https://ourage.jp/life/more/374061/

【樫出恒代さんに相談!】花粉症の症状を抑えるには、とにかく「免疫力を上げる」ことが正解?

免疫力は上がれば上がるほどいい、と信じていませんか?「でもそれは間違った思い込みなんです」とは、漢方ライフクリエーターの樫出恒代さん。「漢方では、上がり過ぎでも下がり過ぎでもない“中庸”の状態を理想とします」とのこと。では、その中庸の状態にある目安とは? OurAge世代向きのセルフチェックを伺いました。

 

 

 

樫出恒代(かしで ひさよ)
漢方薬剤師・漢方ライフクリエーター。漢方カウンセリングルームKaon代表。Kaon漢方アカデミー代表。新潟薬科大学薬学部卒業後、一人ひとりのこころとからだにていねいに向き合う漢方カウンセリングを提唱。連載「女性のための漢方救急箱」の味わいあるイラストは、本人によるもの。美容家・吉川千明氏との共著に「内側からキレイを引き出す 美肌漢方塾」(小学館)

 

 

<悩み>

花粉症やアレルギーがあるので、免疫力を上げること、食事ではカロリーを抑える事を意識しています。できるだけ症状が軽くなるよう、免疫力を上げていきたいのですが、漢方の観点では具体的に、どのようなことに気をつければよいのでしょうか。(48歳・会社員)

 

<回答>

免疫は「上げる」「下げる」ではなく、正常に働いているかどうかが大切です。

 

免疫が上がりすぎると、アレルギーにつながることも

 

いただいた内容から気になったのは、短い文面の中に、「免疫を上げる」というキーワードが二度も登場している点です。ここに相談者さんの誤解を感じたので、まずそこからお話をさせてくださいね。

 

実は漢方的観点では「免疫は上がりすぎると、アレルギーの原因になりやすい」と考えられています。上がり過ぎも下がり過ぎも、どちらかに偏った体の状態は、病気を作り出してしまう、ということ。そのため漢方では、偏りのない中庸の状態を理想としているのです。

 

免疫力が上がり過ぎているとき、人の体は異物をより敏感に察知します。花粉やハウスダストなどにも敏感に反応するので、鼻水や皮膚のかゆみなどで、それらを出そうとするしくみが働きます。反対に免疫が下がり過ぎている時は、風邪を引きやすくなります。熱が出るのは、ウィルスを体の外に出そうとしているためです。

 

つまり、免疫はただ上げればいい、というものではありません。無理に上げても、その人本来の免疫力のバランスが崩れてしまえば、健康とは言えない状態になるからです。

セルフチェックでわかる!
あなたの免疫力は正常に働いていますか?

 

私はクライアントに対しても、免疫を上げようとか、下げようといった表現をすることはなく、いつも「自分の免疫を正常に働かせていきましょう」という伝え方をしています。免疫が正常に働いている状態とは、それぞれの人が本来持っている、自然治癒力がしっかりと働いているということ。漢方では、この自然治癒力の働きがとても重要だと考えられています。

 

では、自分の体の免疫力は正常に働いているのかどうか? それは、次の簡単なセルフチェックからでもわかります。

 

1.暑がり、または冷えている

樫出さん 冷え

 

暑がりでも寒がりでも、それは体の免疫がどちらかに偏っているサインです。相談者さんの48歳という年齢から考えると、更年期によるほてりやホットフラッシュ、手足の冷えなどのあるなしは、ご自身でも感じやすいのではないでしょうか?

 

漢方的な観点では、花粉症やアレルギーを持つ人ほど、体が冷えていることが多くあります。体内に溜まった余分な水分は、本来は汗や尿で排出されるのが理想。ですが、冷えがあることで免疫機能が正常に働かなくなるため、鼻水で出てしまう…というわけです。体が温まると物理的に鼻水も減るので、足湯、背中に湯たんぽを当てるなどのセルフケアはおすすめですよ。

 

2.夜中に目が覚める

 

免疫力が正常に働いている状態は、自律神経が整っている、と言い換えることもできます。45〜48歳頃(相談者さんの年齢)から増えてくる自律神経の乱れとして多い不調は、睡眠の質の低下。トイレで起きるなども含め、睡眠中に中途覚醒があり、朝まで眠り続けることができない場合は、免疫力も正常に働いていない可能性が大。朝すっきり起きられているか、夜はちゃんと眠くなるかどうかも、合わせて振り返ってみてください。

 

OurAge世代であれば、7時間以上の連続した睡眠を取ることが、正常な免疫の観点からも理想です。そのためには、食事は寝る3時間前に終わらせておく、寝る前にスマホやパソコンの強い光を浴びないなどを意識的に心がけていきましょう。

 

3.朝はお腹が空かない

 

朝食時が最も空腹であること=免疫力の状態も中庸であるといわれています(漢方的に考えて三食の理想の割合は、全体を100とすると朝食50昼食30夜20)。漢方の観点では、体の真ん中にある胃腸がちゃんと働いているかどうかをとても重視するからです。「朝は食べたいと思わない」「食欲がない」「何を食べてもおいしく感じない」という状態は、免疫のバランスが狂っているサインといえるでしょう。

 

お腹も空いて、胃腸がしっかりと活動し始めるには、朝一番に白湯を飲むのもおすすめです。胃腸の温度(38度)よりプラス5〜10度ぐらい、45〜48度ぐらいの白湯は体に負担をかけずに働いてくれます。

 

4.不安が多い

樫出さん 不安イラスト

免疫力を司る自律神経は、漢方でいう「気」の流れにも大きく左右されます。例えば、つねにいろいろな不安を抱えている人も、免疫力は狂いがちです。相談者さんのように更年期に当てはまる年齢の人は、責任世代でもありますよね。子どもや親、パートナーなど、自分以外の身近な人のトピックも増え、その分心が揺らいでしまう場面も多いことでしょう。

 

そのような具体的なお悩みは書かれてはいませんが、自分が嫌だなと思ったことは最低限しないなど、心の負荷はなるべく減らしておきましょう。漢方では、未来の不安や過去の後悔にとらわれず、「今を生きる」という心持ちが、中庸につながると考えるからです。


乱れた生活習慣は、「3日のワルツ」で取り戻す

 

どの項目もすべて、シンプルなことばかりですよね。ですが、これは何も漢方だけに限りません。要は当たり前の健康とは、結局ここに挙げたような生活習慣の積み重ねに尽きるのです。

 

食べすぎたり夜ふかししたり、どうしても正しい習慣を守れない日もあるでしょう。そういう時のリカバリーとして私が提案したいのは、「3日のワルツ」という考え方です。外食が2日続いたら、3日目は自炊する。前日の夜にドラマのイッキ見をしたら、翌日はなるべく早く寝る、などです。

 

少しくらい無理をしても、ひと晩寝て起きれば復活できた若い頃とは違い、40代、50代は3日のうちには、自分のリズムを取り戻してください。そうすることで免疫も体調もバランスが狂うことなく、自分らしいリズムに整えていけるのではないでしょうか。

 

漢方カウンセリング、その方に合った漢方薬の服用もおすすめです.

 

 

取材・文/井尾淳子

あなたのお悩みを募集中!

お悩み投稿のルール

①メールの宛先:toko@shueisha.co.jp

②メールタイトル:【大人のシャベリ場】
※違うタイトルでお送りいただくと、受付できないことがありますのでご注意ください。

③必要事項:年齢・職業・ペンネーム(本名は書かないでください)・家族構成・どの賢者に相談したいか

④文字数の目安:400字まで

 

お悩み投稿の注意事項

以下の内容をお読みの上、ご了承いただいた上で投稿をお願いいたします。

・投稿いただいた内容は、MyAgeの企画およびOurAge、集英社の雑誌・書籍等(web・SNSを含む)にて掲載、キュレーションメディア等に転載する場合があります。

・掲載する際には、ペンネームおよび内容を一部改編する場合があります。

・投稿の採用結果につきましては、お知らせいたしません。

・投稿内容等の確認のため、編集部よりご連絡する場合があります。

・投稿いただいた方のメールアドレス・ペンネームは本企画遂行の目的以外には使用いたしません。

 

メールをお待ちしています!

 

MyAge

大人のからだバイブル vol.2 「痛み知らずの体になる!」

OurAgeの人気記事が1テーマムックに!
何度も読み返せる保存版OurAgeです。

MyAge
試し読み Amazon Kobo 7net

この特集も読まれています!

子宮筋腫特集~症状から治療まで
フェムゾーンの悩み解決
ツボ・指圧で不調を改善
40代からでも「絶対痩せる」
広瀬あつこさんの「若返りメイク」
閉経の不安を解消

今すぐチェック!

特別ステップアップセット!モイスチャークリーム 1×3本が付いてさらにお得なセットが販売中!

特別ステップアップセット!モイスチャークリーム 1×3本が付いてさらにお得なセットが販売中!

PR
<前の記事

<前の記事
第25回/【小野アムスデン道子さんに相談!】クルーズ旅って“シニア”のイメージが…退屈じゃ…

次の記事>

次の記事>
第27回/漢方のプロ、樫出恒代さんが、ダイエット・更年期の汗、花粉症…読者のお…

この連載の最新記事

【吉川千明さんに相談!】更年期のせいで、生理用ナプキンがかゆい…。かゆみ防止のフェムケアアイテムとは?

第28回/【吉川千明さんに相談!】更年期のせいで、生理用ナプキンがかゆい…。かゆみ防止のフェムケアアイテムとは?

漢方のプロ、樫出恒代さんが、ダイエット・更年期の汗、花粉症…読者のお悩みにアンサー【OurAgeの大人相談室/大人のシャベリ場まとめ】

第27回/漢方のプロ、樫出恒代さんが、ダイエット・更年期の汗、花粉症…読者のお悩みにアンサー【OurAgeの大人相談室/大人のシャベリ場まとめ】

【樫出恒代さんに相談!】花粉症の症状を抑えるには、とにかく「免疫力を上げる」ことが正解?

第26回/【樫出恒代さんに相談!】花粉症の症状を抑えるには、とにかく「免疫力を上げる」ことが正解?

この連載をもっと見る

今日の人気記事ランキング

今すぐチェック!

OurAgeスペシャル