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夫の協調性と家事力を向上させるには「報酬」を与える方法が効果的/定年後の夫を育てるコツ

「どうせ、うちの夫は変わらない」と諦めモードになっていませんか!? 確かに、相手を変えるのは至難のワザ。でも、妻側がアプローチ法を変えることによって、夫の協調性と家事力を向上させることができるのです! キャリアコンサルタントの原沢修一さんに「妻が夫をコントロールするコツ」を伝授していただきました。

お風呂掃除をしたら、妻に「明日からはやらなくていい」と言われ、くじけそうになったあの日

 

前回は、キャリアコンサルタントの資格取得の学びを通して、私自身が熟年離婚寸前の危機を脱した経験をお話ししました。「言わなくてもわかるだろ?」「言わなくても察してよ」と思っているだけでは、お互いの気持ちがすれ違って溝が深まるばかり。やはり「言葉で伝える」ことが大事です。

 

定年後の私は「とりあえず、自分から妻に歩み寄ろう」と、お風呂や洗面所の掃除などを進んでやるようになりました。要は妻のご機嫌取りをしようと思ったんですよ。

 

ところが「お風呂を掃除しておいたよ」と意気揚々と声をかけたら、風呂場を見た妻が「明日からはやらなくていい」とひと言。思わずカチンときて、「なんでだよ!」と言ったら、「どうせ、もう一度私がやらなきゃいけなくなるから」と。食器洗いもしかり。

 

かつての会社の後輩たち(50代女性)にぼやいたら、「原沢さん、まずは奥さんにどういう手順でやったらいいのか、やり方をちゃんと聞かなくちゃ。妻には、これまで三十数年間やってきた自分なりのやり方があって、洗い方にも順番があるのよ」と諭されました。なるほど、言われてみれば、そのとおりだ。今の私なら、もちろん妻に聞きますよ。でも、当時はケンカになってしまったんです。

 

私自身、夫のほうから妻を変えることも、妻が夫を変えることも、至難のワザだと思っています。相手を変えようとするのではなく、むしろ自分自身が変わるしかないんですよね。その際、ちょっとした言葉がけ次第で、不毛な衝突を避けることができるようになります。つまり、自分が変われば、相手も変わるということ。夫婦の意思疎通をスムーズにするためにも、コミュニケーションをおろそかにしないようにしたいものです。

 

今回はそんな私自身の経験も踏まえて、「妻が夫をコントロールするコツ」についてお話ししたいと思います。

 

夫をコントロールするには「褒める」「ねぎらう」のがコツ

 

妻から夫への働きかけとして、最も簡単にできる方法が「報酬」を与えることです。

 

そもそも男たちは「報酬」に敏感。「出世する」「勝負に打ち勝つ」ということに対する価値観がものすごく高いので、「自分の頑張りが評価されて、報酬が得られる」ことに喜びを感じる思考回路があるのです。そんなわけで、家庭内でも、家事においても、夫に「ねぎらいの言葉」を与えることがポイントです。

 

妻からしたら、日頃、自分たちが「やって当たり前」のことを、なんで褒めなきゃいけないわけ? と思うかもしれません。でも、夫をコントロールするワザのひとつと思ってください。

 

例えば食器洗いをする場合、油のついた皿は最後に洗うとか、妻には妻のやり方がありますよね。「夫にやらせると、結局やり直しになっちゃうから、かえって二度手間になる」というぼやきが聞こえてきそうですが、夫は「妻のご機嫌とりをしたい」「妻の役に立ちたい」という気持ちでやっているんですよ。

 

なので、「そんなやり方じゃダメ。もう、やらなくてもいい!」と頭ごなしに言わないで、妻側も多少寛容になっていただけるとありがたい。「ありがとう。助かるわ。でも、食器洗いには順番があって、油のついた食器はいちばん最後に洗うといいのよ」と、夫を教育してください。

 

男性は察することが苦手なタイプが多いので、「○○をやってほしい」「こういうふうにやってほしい」と、妻側がやってほしいことを具体的に伝えるのもポイントです。そして、次回につなげるために「報酬」を与えてください。

 

最初は不慣れで、シンクのまわりがビショビショになるかもしれません。そんなときは「しょうがないわね。こうやるのよ」「でも、あなたがやってくれると助かるのよ」と言ってもらえると、夫はちょっぴりうれしい気持ちになる。妻の言葉ひとつで“夫のやる気”を引き出し、次回につなげることが可能になるのです。単純なんですよ、男って。

 

自分が言われてうれしい言葉を、相手にもかけるといいですね。まずは妻のほうから「ありがとう」とねぎらう言葉をかけて、夫に学習させましょう。

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妻が先回りしてなんでもやりすぎると、夫の協調性が乏しくなり、家事力が育たなくなるので注意!

 

定年後、家のことを何もしないで、妻に指図する「エラそうな夫」の話を聞くと、妻が先回りして、何事もやりすぎている傾向があるように思います。すると結果的に「あれも、これも、妻がやるのが当たり前」と考える夫を育てることになってしまう。夫を増長させ、妻自身のハードルを上げることになるのです。

 

例えば妻が出かけるとき、「夫のご飯の支度をしてからじゃないと、出かけちゃいけない」と思い込んでいる人たちが多いんですよ。でも、「妻たちのそういうところが甘い!」と、私は定年夫婦向けの講座でお話しします。

 

すると、男性陣からは「えーーっ」という声が上がります。でも、男だって、お酒を飲んで帰ってくるときには妻のことなど考えていないでしょ? 妻から「どこに行くの?」「誰と会うの?」「何時に帰ってくるの?」と、くどくどと聞かれたら嫌でしょ? 男だって、女だって、同じなんです。要はお互いさまということです。

 

ちなみに私は、妻がたまに友達と会う約束をして出かけるとき、「こっちは適当にやるから、おいしいものを食べてこいよ」と送り出すようにしています。自分の夕飯くらいコンビニで買ってもいいし、1日くらいなんとでもなるよ、と。だって、家にいるダンナのことを気にしていたら、せっかくの友達との時間を楽しめなくなってしまうじゃないですか。

 

そんなわけで、「妻たちが外出するときには、夫の食事は夫に任せるように」とすすめています。丸投げしてしまえばいいんですよ。夫のほうも慣れてしまえば、苦にならなくなっていきます。要は「慣れ」です。今では私もすっかり慣れました。

 

夫の自立心&家事力を育てるには、妻が旅行に出かけて留守にするといい!?

 

知人の60代女性によれば、「夫にもっと家のことをしてほしい」という願いから、6~7年前からたまに旅行に出かけているのだそうです。最初は1泊旅行でしたが、2泊、3泊とだんだん日数を増やしていき、今では1週間ほど留守にすることもあるのだとか。

 

妻が3日以上留守にすると、夫は自力で洗濯せざるを得ない状況になりますよね。実は彼女はそれをねらっていたのです。

妻が旅行に出ると夫は家事をやらざるをえない

 

「かつては洗濯機の使い方さえ知らなかった」という彼女の夫ですが、まずは洗濯洗剤や柔軟剤を入れる場所、スイッチの場所を覚えるところからスタートし、今では、洗い→すすぎ→脱水が終了したら、洗濯物をパンパンとたたいて干す→乾いた衣類をたたんで収納するというプロセスを習得。

 

最初の頃は、彼女が旅行から帰ってくると、家の中がグチャグチャになっていたそうですが、まずは経験することから一歩ずつと思って、根気強く見守ったそうです。そして、彼女が何度も旅行を繰り返すうちに、夫は少しずつ自分のことができるようになっていったのです。

 

知人女性からそうしたリアル体験談を聞いたこともあり、実は今、50代以降の男性たちが家事力のスキルを身につける「家事力講座」ができたらいいなと考えているところです。というのも長寿社会となり、この先、妻が病気になる可能性もあるし、もしかしたら妻に先立たれて「男やもめ」になる可能性だってあります。つまり、定年後の男性が家事力を身につけることは、万一に備えたリスク対策でもあるのです。

 

記事が続きます

では、妻の言葉に耳を貸さない夫に対しては、どう働きかけたらいいのか?

 

私の知人女性のように、旅行に出かけて「夫が自分のことを自分でするように仕向ける」のもひとつの方法ですし、時には「脅し」も必要です。妻に先立たれた男性の悲惨な話を聞かせたり、「熟年男性も家事力を磨くべきと、新聞に書いてあったよ」と、“識者からの提言”として夫に伝えるといいかもしれません。

 

定年後の人生は長いので、夫婦がお互いを思いやる気持ちを大切にしたいですね。次回は、夫のタイプ別のトリセツについてお話しします。

 

 

【お話を伺った方】

原沢修一
原沢修一さん
キャリアコンサルタント・シニアライフアドバイザー

大学卒業後、大手エンターテイメント会社に勤務し、58歳で早期退職。定年後、キャリアカウンセラー(現国家資格キャリアコンサルタント)、シニアライフアドバイザーの資格を取得。現在では、定年退職前後のシニアを対象としたカウンセリングやライフプランセミナーなどの講師を多数務めている。 自身の退職後のことを具体的に考えずに会社を辞めたことによる苦悩、定年後の生きがい探しの体験をリアルに綴った著書『男のロマン・女の不満…あゝ定年かぁ・クライシス』(ボイジャー)が好評発売中。

 

 

イラスト/カツヤマケイコ 取材・文/大石久恵

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