京都暮らしでいつもそばにある物のひとつが、手ぬぐい。
幅約37㎝、長さ90㎝の長細い木綿の布である手ぬぐいは、昔から日本人の暮らしに不可欠な存在。今は、その用途をタオルに代わられてしまったと思われがちですが、タオルでは決して代用できない優れものであることを、京都で実感します。
京都の三条通から麩屋町通りを少し北に上がったところにある「にじゆら」は、手ぬぐい専門店。京都には、手ぬぐいの専門店も多く、観光土産としても人気の品。大阪堺に工場を構える「にじゆら」が京都に店を構えて、すでに12年。実は東京にも直営店があります。
京都の土産として人気の手ぬぐい…その図柄は、和の文化や季節の風物などを表したものが多いのですが、ここ「にじゆら」の図柄は、なんともポップなものやユニークな図柄が多いのが特徴。
デザインは、イラストレーターやテキスタイルデザイナー、画家などさまざまな分野で活躍する人たちが、独創的な図柄を生み出しています。
和の図柄に留まらないデザインは、スカーフに…、またインテリアにもマッチ、その使い方は、使う人次第なのです。
私にとっては、食事の折のナフキン代わりに膝に広げる必須アイテムです。
外出時には、京都に来てから、ハンカチ持ってないかも…と改めて手ぬぐいの使用頻度の高さを実感します。
ところで、手ぬぐいと言っても、その染め方に大阪と京都に違いがあることをご存じですか?
それを知ったのは、このお店を訪れてから…。京都の手ぬぐいは、友禅染の技法で、25mほどの木綿の布を台に張り、そこに模様が抜かれた手ぬぐいサイズの版を乗せては染料を置き、次々に移動させてゆきます。シルクスクリーンのような技法で、色ごとに版を変えます。
一方大阪の「にじゆら」は、注染(ちゅうせん)という技法。
これは、明治時代に大阪で生まれた染色方法で、大きな台に布を張らず、必要な長さだけ、巻いた布を伸ばし、そこに手ぬぐいのサイズの模様の版を乗せ、染色しない部分に染料が入らないように糊を置いては折り重ね、約25回繰り返します。
つまり布を広げず作業するのです。そして重ねた布の上から、染料を注ぎます。
同時に染めの台の下の減圧タンクで、染料を吸うことで短時間に効率よく染料を布の下まで通すのです。
もちろん両方とも熟練した職人さんの技術が必須。布を長く伸ばすスペースが必要な京都の染めと、集約したスペースで効率よく染める大阪との違いでしょうか?手ぬぐいづくりにもある京都と大阪の違いは、とても興味深いもの。
日本の文化である手ぬぐい…ここお店の品々はともかく楽しくなるデザインがいっぱい。魚を釣るルアーやクラフトビールの会社とのコラボをはじめ、京阪、阪急、南海などの電車とのコラボ作品など、友人にプレゼントしたくなるものも。
さらにスカーフにピッタリのシックな色彩のものなど、品選びが楽しくなるものばかりです。
上質のさらしで作られた手ぬぐいの肌あたりも心地よく、折りたたむとコンパクトなサイズなのでバッグでも場所を取りません。まさに外出には欠かせないアイテムです。
オンラインショップも充実…お気に入りの手ぬぐいに出会える楽しさをぜひ…。
「にじゆら京都三条店」
京都市中京区麩屋町三条上ル弁慶石町38-1
☎075-253-0606
営業時間11:00~18:00 月・水曜休み
京都の文化・観光を伝えるブログ「ネコのミモロのJAPAN TRAVEL」