よく行く洋食店のオーナーから「美味しい店があるんですよ~」と紹介されて伺ったのが、京都大学そば東一条通沿いに、昨年夏にオープンした「ごはんや お福」です。
白い暖簾が掛かる料理屋さんで、福岡出身の女将の梶原さんがすべてを切り盛りしています。
店の前には、「発酵料理のお店と教室」という表示と共に、半月の弁当箱に色とりどりの料理と豚汁のお膳「麹ごはん」(1500円)と納豆と豚汁が付いた卵かけご飯「お福の卵かけ」(1000円)の写真が載っています。
店内には、3つテーブルがあり、昼は11時と12時45分の2回でお客様が替わります。
まだ開業間もないながら、予約しないと入れない人気店なのです。
味わった「麹ごはん」には、サバの味噌煮、ほうれん草の白和えなど、米麹やひしおの発酵調味料を使ったさまざまな料理がいっぱいに。また「お福の卵かけ」の納豆には、米麹や昆布などが入っていて、卵かけご飯にかけて食べると、美味しさはいっそう。
どの料理も素材の美味しさを活かしたやさしい味わい。
実は、漬物などの発酵料理が苦手な私でも、美味しい! と感じるものばかりです。
実は、女将の梶原さんは、上級麴士という発酵調味料のスペシャリスト、その巧みな麹使いに納得。「発酵料理というと、やはり苦手という方も多いんですが、ここでは味噌や醤油、甘酒、米麹などの調味料を使った料理で、食べやすいと思いますよ」と梶原さん。
そもそも九州でも料理店を営んでいた梶原さんが、お嬢さんが暮らす京都に来て、発酵調味料を使った料理店を始めたのは、「娘の友人の学生さんたちの食があまりに気を使っていなくて、昔から日本人が食べた発酵調味料を使った料理を、食べて欲しくて~」と思ったのがキッカケだそう。
発酵調味料は、日本の食の柱。今、食の大切さが見直され、いっそう注目されているのが発酵調味料を使った品々。そこに含まれた酵素の働きで、新陳代謝を高めたり、腸内環境を整えたりと、健康に欠かせない食品と言われます。
このお店には、京都市内だけでなく、大阪や滋賀県などから、発酵食品に関心を抱く人たちが絶えません。
そこで始めたのが、「お味噌仕込み教室」(参加費5500円)。大豆と米麹、岩塩を使い、密閉性の高いビニール袋で仕込みます。もちろん素材へのこだわりも…大豆は、佐賀県で自然栽培されたもの。
米麹は有機栽培された京丹波産のお米を店内で仕込んだお手製、そしてミネラルたっぷりのピンク岩塩が用意されます。しかも仕込む味噌は、なんと大豆の3倍もの量の米麹が使われるのです。
「麹が多いほど、円やかな味わいの味噌になりますよ」と梶原さん。
なんとも贅沢なお味噌なのです。
発酵調味料の魅力などを学んだ後、腕まくりして、仕込み作業にはいります。
味噌づくりなどしたことない私ですが、「え? これで美味しい味噌になるの?」と思うほど、シンプルな作業で…。まるで粘土遊びをしているような楽しさを感じます。
ビニール袋に仕込んでから、約3か月で美味しい味噌になるのだそう。
「リビングなどの人のいる明るいところで見守ってくださいね~」と梶原さん。「え? 暗いとこで熟成させるんじゃないんだ~」とビックリ。
「はい、みんなで見守ることで、いっそう美味しくなりますよ」と微笑む梶原さんに、麹への愛を感じます。
さて、お店で食事の予約するときに、同時に予約したいのがお持ち帰りの「お福おいなりさん」(10個1000円)。女将の出身地である福岡で使われるモチモチのお揚げをジューシーに煮詰めたもので、その美味しさに、すっかり虜になった私です。手みやげに持っていきたくなる品でもあります。
テキパキと店を切り盛りする女将の梶原さん。
いつも素敵な和服姿で笑顔がすごく魅力的。
やはり麹の効果なのでしょうか、ツヤツヤのお肌とスリムの体形…すでに嫁がれた娘さんがいらっしゃるとは思えない若々しさに、「もっと発酵食品食べようかな…」と思わずにはいられません。そんな女将のお人柄も、美味しい料理と共に多くのリピーターを作っています。
はい、私もその一人…。
京都を訪れる友人にも勧めるお店のひとつです。
ぜひ、京都でご馳走三昧の日々を過ごした時に、おすすめの料理でもあります。
「ごはんや お福」
京都市左京区吉田中阿達町8の1
☎075-366-4888 月曜・木曜、第4日曜休み
昼11:00と12:45の2部制
夜17:30~20:00 予約をおすすめ
料理教室への予約は、ホームページか電話で
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