自分でもできる養生として、人気の「ツボ」押し。鍼灸師、深町公美子さんによるシリーズです。
心と体にきく 毎日のツボ
第2章 生活習慣病にならないために
第2章では、具体的な症状別に効くツボについてご紹介していきます。
下痢や軟便の症状に悩んでいる方は意外に多いのではないでしょうか。
今回は、すぐに「下痢」をおこしやすい人におすすめのツボをご紹介します。
冷たいものを食べたり飲んだりするだけで、すぐ下痢ぎみになる人がいます。下痢や軟便といった症状は、東洋医学では五臓の肝・心・脾・肺・腎の「脾」の働きが低下している「脾虚(ヒキョ)」と考えます。
「脾」と表裏関係にあり、お互いに影響しながら作用している六腑の「胃」の働きもいっしょに整えるといいでしょう。「胃」の働きは食物を受け入れ、消化して小腸に送るという西洋医学の働きと同じですが、東洋医学ではさらに「脾」で本格的に消化吸収されると考えられています。
そこで「脾」と「胃」の働きを促すために、エネルギーを注ぐといわれる「兪穴(ユ ケツ):背中のツボ」の中の「 脾兪(ヒユ)」と「胃兪(イユ)」のツボを刺激します。「脾兪」は、第11胸椎棘(キョウツイキョク)突起下から指2本分外側にあり、「胃兪」はさらにひとつ下がった第12胸椎棘(キョウツイキョク)突起下から指2本分外側です。
押すのは自分でできますが、探すのが難しい場合、家族や友人に探り当ててもらい、覚えておくといいでしょう。
「脾」と「胃」の働きを促してくれるツボは背中にあります!
「脾兪(ヒユ)」「胃兪(イユ)」
左右の肩甲骨の下角を結ぶラインの脊柱にある飛び出た骨が第7胸椎棘突起。そこから4つ下がったところが第1 1胸椎棘突起で、その下から指2本分外側にあるのが「脾兪」です。
「胃兪」は、さらにひとつ下がった第1 2 胸椎棘突起下から指2本分外側にあります。
背骨を挟んで左右指2本分外側にはいろいろな兪穴があり、上からなでおろしていくと気持ちのいいところに触るはず。それが目安です。左右同時に親指で少し強めに5秒ずつ押すのを3回繰り返します。
次回は、「トイレが近い」悩みを解消するツボをご紹介します。
構成・編集/U T U . h i m u k a イラスト/丸山裕子