ストレスへの効果が科学的に証明され、数々の有名企業でも導入! 心のトレーニング法として今、最も注目を集めているのが「マインドフルネス」。今回からはその効果と方法を詳しくご紹介します。
長谷川洋介さん
Yosuke Hasegawa
東京マインドフルネスセンターセンター長・ディレクター。ヨーガ・インストラクター。鍼灸師。ジョン・カバット・ジン博士による「MBSRワークショップ」修了。共著に『知識ゼロからのマインドフルネス』(幻冬舎)がある
日本の禅をルーツとし、
海外で確立された瞑想法
キラーストレスにも効果的と今話題の瞑想法が「マインドフルネス」です。そもそもこれは日本の"禅"がルーツ。
「禅は毎日のあらゆる行為を修行ととらえ、その行為に集中することが悟りを開く道としています。この禅が海外に伝わり、坐禅による瞑想がもたらす心の充足感や平穏を医療に活用できないかと、1960年以降に科学的研究が進みました。そして1979年にアメリカのマサチューセッツ大学医学部のジョン・カバット・ジン博士が、慢性疼とう痛つうの治療法として、瞑想を基盤としたマインドフルネスストレス低減法を確立。2000年代にはさらに研究が進み、マインドフルネスが、うつや認知症によって機能が低下する脳の部分を活性化することも判明。最近ではグーグルやアップルなど企業の研修に用いられるまでに。これが最近日本に逆輸入され注目されているのです」
では、その具体的な方法とは?
「私たちは、過去を思い返して悔やんだり、未来を想像して不安や怖れを抱いたりと、ほとんどの瞬間、心が“今”から離れた“マインドワンダリング”な状態です。つねに過去や未来を思い、不安や怖れ、怒りなどを感じているため、ストレス反応を引き起こしてしまうのです。一方、マインドフルネスは、瞑想をして自分の呼吸などに意識を向け“今この瞬間”に集中します。ものを食べたり、掃除をしたりといった今行っている動作に集中するのも瞑想になります。雑念が浮かんだらそれを認識し、再び呼吸など“今”に意識を戻します。今に集中すると余計なことを考えないため、ストレス反応も起こらず、心と体が一体化します。これがマインドフルネスです」
生活のほとんどの時間を、未来や過去に思いを巡らし、不安や怖れ、怒りなどを抱いていると扁桃体が刺激されてストレスホルモンが分泌され、キラーストレスの元に。これは〝心ここにあらず〞の、心が迷走したマインドワンダリング状態
マインドフルネスの効果については、次のページで。
このマインドフルネスはストレスに負けない心をつくるさまざまな効果が。
「マインドフルネスは呼吸を整えて行うので自律神経が整い、心が安定します。日常生活でストレスを感じたときもいったん呼吸に意識を集中し、自分をニュートラルな状態に戻してから行動する癖がつき、冷静に物事に対処できるようになります。続けるうちに心に筋力がつき、他人の言動に過剰反応しなくなったり、トラブル処理ができるようになるため、物事がスムーズにいくようになり、動じない柔軟で強い心へと成長するのです」
ほかにもさまざまな効果が。詳しいやり方を参考に、さっそく取り入れて。
今この瞬間の呼吸や、見えているもの、聞こえている音、漂っている香り、触っているものなど〝今〞に集中すると、未来や過去のことなど余計なことを考えないので、不安や怖れもなく、心と体が一体化。瞑想(マインドフルネス)状態に
次回はマインドフルネスの効果について、さらに詳しくご紹介します。
撮影/天日恵美子 ヘア&メイク/木下 優(ロッセット) モデル/栗本奈央
スタイリスト/井川翔子 イラスト/内藤しなこ 取材・原文/和田美穂