さて、エアーズロックに登れなかったことは残念でしたが、経由地であるケアンズは、街だけでなく、世界最大のサンゴ礁グレートバリアリーフ、そして世界最古の熱帯雨林ウエットトロビックスという2つの世界自然遺産のベースとしても知られています。
ここまで来たらあれもこれも行かなくちゃ!
というわけで、ご紹介したい場所はたくさんあったのですがキリがないので(笑)、その中でもジブリ作品のモデルの一つと噂されるパロネラパーク、そして世界の車窓からのオープニングで有名なキュランダ鉄道で行くキュランダ村をご紹介しましょう。
パロネラパークはクイーンズランド州の重要文化財。ケアンズから約240km離れた場所にあります。1930年代にスペイン人移民ホゼ・パロネラによって建設されました。子供の頃から「自分の城が欲しい」と思っていたホゼは、サトウキビ畑で働くためにやってきたオーストラリアで、美しい「ミーナの滝」に出会います。
こここそが「世界で一番美しい場所だ」と感動したホゼは周囲の土地を購入、家を建て、7000本以上の木々を植え、とうとうスペインの城をイメージしたというパロネラ城を自ら建造し、1935年に一般の人々を受け入れる施設としてオープンしたのです。
これがミーナの滝。手前はピクニックエリアで、苔むしていますが、石で作ったテーブルやイスも残っています。
彼はよっぽどこの滝がお気に入りだったようで、パロネラパークでは様々な場所からこのミーナの滝が見れるように設計されています。
なんとホゼはこの滝を利用してクイーンズランド州で初の水力発電機まで作ってしまいます。すごいなホゼ。
ロワー・リフレッシュメント・ルームズ。
当時は2階がカフェになっていて、多くの人たちがドレスアップして訪れここでお茶を楽しんでいたそう。テラスでは音楽の演奏などもしていたそうで、社交の場でもあったようです。
真ん中の空間からミーナの滝を見下ろすことができます。パロネラパークの中では一番有名な場所です。確かにちょっとラピュタに似ている気もしますね。
ちなみにこの裏に滝で泳ぐための更衣室(!)が作られているのですが、それがラピュタに登場する「ロボット兵」の格納庫に似てると言われています。(確かに似ていました。)
というわけで、シータ気分のワンピースでポーズ♡
滝の上から見たザ・キャッスル。ホゼの夢のお城です。
内部には映画を見る部屋が設けられており、チャップリンの映画などを上映していたそうです。
ちなみに当時十分に鉄骨を調達できなかったホゼは、電車のレールを鉄筋の代わりに再利用して園内の建物に使いました。ところどころレールのようなものが見えるところがまた手作り感満載だったりします。
願掛けの泉。すみませんちょっとぶれてますね。
この泉は上段・下段にわかれています(写真は上段部分)。背を向けて、後ろ向きにコインを投げて上の段に入れば願いが叶うのだとか。ちなみに下の段に入っても、努力すれば叶う?とのことです(笑)
パロネラパークは1970年代終わりころに、大雨による洪水、漏電による火災といった災害が重なり、さらにはホゼが亡くなったことから一度は完全に廃墟となりました。現在は新しいオーナーのもと、そのままの遺跡を楽しめる施設として運営されています。
次は熱帯雨林の村、キュランダ村です。
1870年代、ゴールドラッシュに沸くオーストラリアでは、多くの人が熱帯雨林の奥へ向かっていきました。キュランダ村はその鉱山の町として栄えました。今では芸術家の村として知られています。
キュランダ村へ行くには、スカイレールという長いロープウェイか、世界の車窓からのオープニングで有名なキュランダ鉄道の2つのルートがあります。(もちろん陸路で車でもアクセス可能です。)
せっかくなので往路はスカイレール、復路はキュランダ鉄道を利用することに。
ケアンズの町が見えます。向こう側に見えているのがグレートバリアリーフ。
3kmほどのところにあるレッドピーク駅で乗り換え。
ここと、このあとにあるバロン駅で降りて熱帯雨林の探索を楽しむこともできますが、装備や時間にはくれぐれもご注意を。
芸術の村らしい街並み。
私は寄りませんでしたが、コアラを抱けるコアラガーデンもありますよ。
キュランダ駅にて。いよいよあの列車に乗ります!
「世界の車窓から」のオープニング曲が流れてきそうです。
ちなみに先頭の列車は現在ではオリジナルデザインのものに変わっています。
もともとキュランダ鉄道はキュランダ村へ物資を運ぶために作られた列車。鉄道ができる前は豪雨の影響で物が届かなかったり、食べ物がなく飢えに苦しんだ時代もあったのだそう。そんな場所での工事ですから、37kmに渡る線路を完成させるまでには多くの犠牲があったのだとか。工事に従事した人数は延べ1500人ほどにもなり、犠牲も多かったそうです。
ルートの途中でたくさんのトンネルを通るのですが、そうしたトンネルも手作業で掘ったそうですから、苦労がしのばれますね。
そんな苦労で作られた列車は、流れの見事さで有名なバロン滝、そしてリポビタンDのCMに使われたという橋、見るとよい結婚ができる(!)という滝の横を通り、ケアンズの町までゆったりと走っていきます。
現在では観光用の列車でもあり、何度も乗るものでもないでしょうが、やはり気分は盛り上がるもの。ケアンズに行ったら是非足を延ばしてみてください。