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この秋も上野にたくさんの秘仏がお出ましです

吉田さらさ

吉田さらさ

寺と神社の旅研究家。

女性誌の編集者を経て、寺社専門の文筆業を始める。各種講座の講師、寺社旅の案内人なども務めている。著書に「京都仏像を巡る旅」、「お江戸寺町散歩」(いずれも集英社be文庫)、「奈良、寺あそび 仏像ばなし」(岳陽舎)、「近江若狭の仏像」(JTBパブリッシング)など。

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こんにちは。寺社部長の吉田さらさです。

 

東京国立博物館では、しばしば、全国の優れた仏像や仏教美術が展示されます。

この秋も、伝教大師1200年大遠忌記念特別展 「最澄と天台宗のすべて」という素晴らしい展覧会が開催中(~11月21日〈日〉)です。

 

伝教大師とは、天台宗を開いた僧、最澄のこと、遠忌とは、没後長い期間を置いて行われる仏事のことで、大遠忌とは、宗派を開いた祖師などの遠忌という意味です。

つまり今年は最澄さんが亡くなられてから1200年目にあたり、この特別展は、それを記念して開催されるものという意味です。

 

そのような意味深い展覧会のため、全国のさまざまな地域にある天台宗のお寺などから、仏像や宝物が参集しました。普段は拝ませていただくことができない秘仏も数々あるので、仏像好きの方はお見逃しなきように。

 

伝教大師(最澄)坐像 重要文化財 

鎌倉時代・貞応3年(1224) 滋賀・観音寺蔵

 

現存する最古の最澄さんの肖像です。

目を閉じて瞑想するお姿、厳しさの中にも、優しく穏やかな人柄が感じられる表情。

わたしはこの最澄さんのお顔が大好きで、向かい合っていると、心が洗われる気がします。

 

 

聖徳太子及び天台高僧像(一部)  国宝 平安時代・11世紀 兵庫・一乗寺蔵

※作品ごとに展示期間が異なります。

 

インド・中国・日本における天台の高僧たちと、聖徳太子の肖像。

それぞれに持ち物やポーズが違い、見比べると興味深いです。

 

僧形坐像 伝慈覚大師(円仁) 重要文化財 平安時代・永承2年(1047)岩手・黒石寺蔵

 

第三世天台座主の慈覚大師円仁の像。

下野国(現在の栃木県)の出身で、東京の目黒不動瀧泉寺や山形の立石寺、宮城の瑞巌寺など、関東や東北の著名な寺も数多く開山したと伝わる方です。

 

不動明王坐像 重要文化財 平安時代・10世紀 滋賀・伊崎寺蔵

 

伊崎寺という寺の本尊で秘仏。この寺を開いた相応和尚という方が修行中に不動明王の姿を感得し、像を彫ったと伝わります。

この像はそれより後の時代に作られたものですが、相応和尚が彫った像と同じような特徴を備えているということです。

 

 

護法童子立像 鎌倉時代・13世紀 滋賀・延暦寺蔵

 

高僧に従い、仏法や修行者を護る童子の姿をした神様の像。

童子と言っても神様なので、老成したような考え深いお顔をしています。

 

護法童子立像・像内納入品 鎌倉時代・13世紀 滋賀・延暦寺蔵

 

平成30年に、上の像を修理のために解体したところ、内部からこのような納入品が発見されました。

頭の部分から金銅不動明王立像と水晶製の舎利容器、体部からは不動明王の印を捺した印仏や梵字を墨書した木札などが出てきたのです。

 

慈眼大師(天海)坐像 康音作 重要文化財 江戸時代・寛永17年(1640) 

栃木・輪王寺蔵

 

徳川家康、秀忠、家光三代のブレーン的な役割を果たした著名な僧。当時としては非常に珍しい108歳という年齢まで生きたとされる天海の生前に作られたものです。

 

金剛力士立像 重要文化財 平安時代・12世紀 福島・法用寺蔵

 

寺院の山門の左右に立って仏の世界を守る役割をする仁王様。

口をあけている方が「阿形」、閉じている方が「吽形」。阿吽の呼吸で敵を撃退します。

厳めしさの中にも、どこか愛らしさを感じる親しみやすいお姿。

 

 

十二神将立像 四号像 鎌倉時代・13世紀 愛知 瀧山寺蔵

 

十二神将は薬師如来の手助けをするやくわりを持っており、全部で十二体あります。

今回は、その中から、二号、四号、六号、九号の四体が展示され、こちらはその中の四号。

どれも表情がユーモラスで面白いです。

 

地蔵菩薩立像 重要文化財 平安時代・10世紀 滋賀・永昌寺蔵

 

地蔵菩薩という名前で伝わっていますが、僧の姿をした神像であった可能性もあるようです。神秘的な深い表情をしています。

 

慈恵大師(良源)坐像 鎌倉時代・13~14世紀 東京・深大寺蔵

 

東京の古刹、深大寺の元三大師堂に祀られ、五十年に一度開扉される秘仏。

2メートル以上もある巨大な像で、鋭い眼光も印象的。

ぜひ対面して、この大迫力を味わってみてください。

 

 

釈迦如来倚像 飛鳥時代・7世紀 東京・深大寺蔵

 

天台宗が成立するよりはるか昔の、白鳳時代に作られた像。

東京都内の寺にも、このように古い時代の仏像が伝来しています。

深大寺周辺は、渡来人が移り住んだ場所と言われ、東京近郊でも、古くからひらけた土地でした。

 

 

音声ガイドのナビゲーターは市川猿之助さん。

立派なお声、落ち着いた語り口で、天台宗の世界への旅に連れて行ってくれます。

 

ミュージアムショップでは、その市川猿之助さんが揮毫された御納経帳を購入することもできます。

 

わたしの友人、仏像イラストレーターの田中ひろみさんのグッズもたくさん売られています。会場でお会いしたので、ご本人と一緒に撮影しました。

 

 

 

伝教大師1200年大遠忌記念

特別展

「最澄と天台宗のすべて」

東京会場 東京国立博物館 2021年10月12日(火)~11月21日(日)

九州会場 九州国立博物館 2022年2月8日(火)~3月21日(月・祝)

京都会場 京都国立博物館 2022年4月12日(火)~5月22日(日)

 

開館時間 9:30~17:00

休館日     月曜日

観覧料金 【前売日時指定券】一般 2,100円、大学生 1,300円、高校生 900円

【当日券】一般 2,200円、大学生 1,400円、高校生 1,000円

 

※本展は混雑緩和のため、事前予約制(日時指定券)を導入します。入場にあたって、すべてのお客様は日時指定券の予約が必要です。「前売日時指定券」、「当日券」の詳細は展覧会公式サイトでご確認ください。

※ご予約不要の「当日券」を会場にて若干数ご用意しますが、ご来館時、「当日券」は販売終了している可能性があります。

※中学生以下、障がい者とその介護者1名は無料。ただし、「日時指定券」の予約が必要です。入館の際に学生証、障がい者手帳等をご提示ください。

※展示作品、会期、展示期間、開館日、開館時間、観覧料、販売方法等については、今後の諸事情により変更する場合があります。

最新情報は展覧会公式サイト等でご確認ください。

 

 

𠮷田さらさ 公式サイト

http://home.c01.itscom.net/sarasa/

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