昔のおむつとは全く異なる、進化し続けている紙パンツ。OurAge世代でも尿モレに悩む人は多いのに「まだ使ったことがない」という人も少なくありません。そして、まだまだアクティブな親世代にも知ってほしい。
紙パンツに抵抗を感じてしまう背景は「排泄に関することは、人間の尊厳に関わるからではないか」と、看護師の浦田克美さんは話します。
尊厳とは、個人の存在や価値を尊重し、人間らしさを保ちながら、自分らしい生き方をできるようにすることを指します。「自分らしい生き方を大切にする」のなら、私たちの暮らしをとても快適にしてくれる「紙パンツ」との付き合い方を見直してもよいのではないでしょうか。
病院の現場で患者さんに向き合う浦田さんと、紙パンツの開発を続けてきた花王の石黒さんに、紙パンツとの”良い関係“をお聞きしました。
(左)浦田克美さん/皮膚・排泄ケア認定看護師
東葛クリニック病院看護部主任。介護の現場でも紙おむつの情報が少ないことを痛感し、自ら紙おむつを使用、実験して検証し、YouTube「チャンネルはぴなぴ」でも発信する。共著に『褥瘡ケアのプロになる―看護の技とおむつケア』(医学と看護社)ほか。
(右)石黒健司さん/花王 サニタリー研究所上席主任研究員
軽失禁パッド、大人用紙おむつ「リリーフ」の新商品開発や商品リニューアルなど20年以上、排泄ケア用品の研究開発に携わっており、商品に使用される素材の研究から開発した商品の工業化検討まで行っている。
尿モレケアとQOLの密接な関係
浦田:今日はどうぞよろしくお願いします。私は皮膚・排泄ケア認定看護師になって15年目になります。きっかけは、消化器外科配属のとき、人口肛門(ストーマ)造設術を受けた患者さんのケアが十分にできなかったこと。そして「排泄問題は尊厳に関わる」と実感したことです。「家から一歩も出られなくなった」とあとで知らされ、看護師としてちゃんとケアをできる知識と技術が必要だと思いました。
石黒 :弊社で下着のような外観の紙パンツ(リリーフ まるで下着)を使用した際のQOLの評価を行ったことがありますが、まるで下着を使っていただいた方のQOLが向上したという結果が得られております。身体的な面だけでなく、心理面でもQOLの向上が見られて、やはり排泄ケアは心理面にも影響すると改めて実感しました。
浦田:そうだと思います。でも人生100年時代、今80歳だとしてもあと20年は生きるわけですから、できるだけ快適に過ごすことって、すごく大事なんです。私は、紙パンツは老眼鏡や杖と同じだと思ってるんです。生活を快適にする補助アイテムですね。
石黒:そう思います。家族旅行なのに尿モレが気になるから自分は留守番をする、という話をお聞きすることがありますが、紙パンツをポジティブに捉えて、普段と同じようにお出かけを快適に楽しんでいただけるといいですね。
紙パンツは、ほぼ下着と言ってもいい
浦田:風潮として「紙パンツは全然恥ずかしいものじゃない」となりつつある流れも感じていますが、「おむつ」と「紙パンツ」を混同しているケースもあるのかな、と思います。
石黒:そうですね。こちらの左側は「リリーフ まるで下着」という商品で、その名前の通りまるで下着のような紙パンツになります。右の一般的な商品 と比較して、お尻部分のフィット感や脚まわりのスッキリ感がおわかりいただけると思います。
浦田:私はまず、「まるで下着」というネーミングが素晴らしいと思いました。とてもわかりやすいし、手に取りやすいですよね。それからウエスト部分のやわらかさと全体的にギャザー加工がないところが、とてもいいですね。高齢者は皮膚が薄く、弱くなってくるのでゴムが当たる部分がかゆくなったりするんです。それで掻いてしまうと傷になったり炎症を起こしたり。
石黒:おっしゃる通りで、肌あたりをとてもよくしてあります。先ほどの比較写真のどちらの商品も生地に不織布を使っていますが、不織布自体は伸びないため一般的な商品は複数のゴムを伸ばした状態で不織布に固定し縮ませることで伸縮性を発現させているのに対し、「リリーフ まるで下着」は不織布自体に伸縮性をもたせた素材の開発により布のように表面が平らで伸縮できるようにしています。
浦田:これはかなり大きなメリットだと思います。それから、実は色も重要なんです。たとえばこのピンクの「まるで下着」だと、娘さんがお母さまに「いつも履いてる下着とあんまり変わらないでしょ」ってすすめやすいんです。意外に思うかもしれませんが、それくらいのことで気分が変わるんですよ、女性はとくに。
石黒:確かに色で選ぶことで、より 下着のような感覚でお使いいただけるかもしれません。「まるで下着」は ホワイト、ピンク、ブルーの3色展開となっており、やはりそういった「気分」も大事にしていただけたらと思っています。
正しく使うことが大切
浦田:それから、現場で気になっていることは、結構みなさん使い方を間違っていて、快適さが半減しているというケース。一番多いのは、大きめのサイズをゆるく履いて、わきから漏れてしまうケース。それで使わなくなってしまうのはもったいない!「まるで下着」はフィット感が気持ちいいので、サイズが合うもの選んでいただきたいですね。ただ「自分に合うものがどれかわからない」という声も少なくありません。
石黒:私たちも感じており、パッケージにわかりやすく表記したり、ホームページで大人用おむつの選び方や使い方を案内したり、お電話でのご相談対応も行っていますので、そういったものを活用していただけるといいかもしれません。店頭での購入に抵抗がある場合は、EC(オンラインショッピング)を利用していただくとゆっくり自分に(あるいは親御さんに)合うものを選べる、というメリットもあると思います。
浦田:快適になるためのアイテムですから、正しく気持ちよく使っていただきたいですね。それで元気に社会参加をして、いつまでも健康に過ごせたら嬉しいですよね。
石黒:そうですね。「まるで下着」は、まだまだアクティブに過ごせる方にお使いいただける商品です。普段のお出かけはもちろん、旅行や映画、スポーツなど尿モレを気にせずに楽しんでいただけたらと思います。
リリーフ まるで下着[医療費控除対象商品/男女兼用]
超うす型紙パンツ 「まるで下着」は、綿下着のようなはき心地 。ゴワゴワせず、やわらかな肌ざわりが特長です。そして下着のようにフィットするのでお尻まわりがもたつかず、後ろ姿もスッキリ。下着と同じような見た目が実現しました。さらに、すばやく尿を吸収&消臭。2回分の吸収力で安心しておでかけできます。ホワイト、ピンク、ブルー の3色展開です。
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撮影/山田英博 ヘアメイク/遠藤芹菜 構成/島田ゆかり