伝統工芸士の織り手が使う高機(たかはた)体験
「光峯錦織工房」
京都で伝統工芸に触れたいと望む人におすすめなのが、京都の伝統工芸のひとつ錦織の工房見学と機織り体験です。光を帯びた糸を丹念に織り込む『錦織』は、世界に類を見ない、日本の絹織物の最高峰の芸術品。その伝統の技を今に伝え、世界的に知られる錦織美術家、龍村光峯(たつむらこうほう)氏の工房が見学できます。初代と二代龍村平蔵氏は、法隆寺や正倉院の古代裂や数十種類にもおよぶ名物裂を復元したことでも知られます。その二代の三男、光峯氏が工房の当代です。一般財団法人「日本伝統織物研究所」の代表理事をなさり、古代裂の復元をはじめ、皇太子妃殿下御婚礼御支度品や東宮御所、京都迎賓館などに納める錦織物美術作品を多数手掛けていらっしゃいます。
京都の北西の住宅地にある工房内は、まるで美術館のよう。雅な錦織の作品が多数展示され、その美しさと精巧さに感激します。この日、さらに錦織の魅力をわかりやすく解説してくださったのは、工房の後継者である龍村周(あまね)さん。ご自身でもさまざまな錦織美術作品の製作に取り組んでおられます。
事前予約では工房見学のほか、実際に伝統工芸士が使う高機と同じものに座り、錦を織る体験が可能。
高機を身近で見るのも、貴重なことながら、それに座れるのはこの工房ならでは…。高機の複雑な構造などもよく知ることができます。
まずは龍村さんの作業を見学。流れるように進む作業にただ見惚れます。東京から来た友人が高機に座り、実際に経糸の間に緯糸を渡す杼(ひ・シャトル)を動かし、筬(おさ・リード)をトントンと。
「足で踏み木を踏むタイミングなど、見ているのとは大違い、むずかしい~」と友人。実際、伝統工芸士の方でも復元裂を織るとなると1日に織れるのは30センチほど、気が遠くなるような作業です。
つきっきりで見てくださった龍村さん。夢中に作業を続け、「本当に貴重な体験…感激しました」と友人。京都の観光名所めぐりだけでは物足りないという京都リピーターにおすすめです。
京都の伝統美術工芸の技を知り、その美しさと見事さを実感する体験です。
高機体験は、所要時間:約2時間 体験のみ。参加費は、工房見学料込みで、ひとり2000円 定員5名
自分で織る錦織は、所要時間:約4時間 織った作品持ち帰りを含む 参加費は工房見学料込みで、ひとり25,500円 定員1名のみ
工房見学のみは、所要時間:約1時間 参加費、ひとり500円(学生300円、小学生以下無料)
すべて要予約
光峯錦織工房
京都市北区紫竹下ノ岸町25
☎075‐492‐7275
小原誉子の京都の観光文化を伝えるブログ
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