昔から、京都の女性の美しさは、絹で作られているといわれます。肌に纏う絹の着物は、京都の女性の素肌を美しく保つのだとか。絹に触れるだけで、スベスベ肌になるといわれるほど、絹のパワーは、昔の日本女性の美しさには欠かせないものだったのです。
肌にとって、アミノ酸は、若さを保つ大切な成分。シルクは、なんと18種類のアミノ酸を有し、弱酸性のペーハー値や保湿成分であるNMF(天然保湿因子)の組成バランスも肌に類似しているそう。だから肌にやさしく、健やかさが保てるのでしょう。
そんなシルクのパワーを凝縮したスキンケア製品を、京都岡崎に見つけました。
「アーダン」というシルク化粧品を専門にする会社で、もともとは鹿児島県奄美大島で始まったそう。奄美大島は、大島紬など絹織物づくりが盛んで、それゆえに養蚕農家も多かったのです。この「アーダン」で販売を担当する西さんも、奄美大島の出身。お母様も織物をなさっていたそう。「毎日、絹に触れる母の肌は、とても健やかで美しかった。でも既成の化粧品を使うと肌が荒れてしまうんです。そこで母は、絹が肌にいいかも…と思い、鹿児島県第1号の化粧品メーカーの認定を受け、本格的に化粧品を作り始めたんです。それが、肌トラブルを持つ人やアレルギーで化粧品が使えないという人などの間で、徐々に評判となり、全国的に愛用者が増えていきました。
また現在、社長である兄は、京大医学部出身の研究者で、再生医療などの研究にも従事し、傷ついた肌の再生にシルクの成分の可能性の大きさに注目しています」。
お兄様が社長となってから、販売の拠点を京都にも…。そこがこのお店です。
ここのシルク化粧品の主成分は、お肌の再生を導くといわれる美容成分の「フィブロネクチン」。シルクの構成成分のフィブロインから作られたもの。「織物に使う糸を作る繭は、長い繊維を取るために、高額なものになりますが、うちは、成分を抽出するためなので、繭の形は関係ないんです。だからたっぷり配合しています」と。店に置かれた繭玉には、蚕を出した穴が開いていました。
「アーダン」のシルク化粧品の原料となる繭玉は、奄美大島産が主体。南国の太陽を燦々と受けて育った桑を食べた健康あふれる蚕からできた繭を使っています。この化粧品が売れ始めると共に、奄美大島での養蚕への関心も再び高まり、近年、生産農家の数も増えているそう。
実は、このシルク化粧品は、今、海外の顧客が急増中。5年前からは、フランスの展示会にも出品し、日本のシルクへの関心の高いヨーロッパの人たちが熱い視線を注いでいます。
さらに美容に関心が高い中国や台湾、韓国のユーザーも多いのだそうです。
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「紫外線が強い奄美生まれです」と微笑む西さん。そのお顔は、シワひとつなく、ハリを感じるツヤ肌です。
ユーザーの多くは、50代以上。
洗顔クリームと化粧水、栄養クリームの3ステップで行います。でも使い方は、ちょっと変わっていて、ファンデーションを塗った肌を、まず栄養クリームでクレンジング。「油性のクリームでないとファンデーションは落とせませんから…。同じ油性なら栄養クリームでも同じですから…」と西さん。ファンデーションと馴染んだクリームをぬれタオルなどで拭き取り、次に洗顔クリームで洗います。そして、洗顔後の肌に、たっぷり化粧水を馴染ませ、再び栄養クリームを使います。
洗顔クリームも泡が立たないのが、ここの特徴。「肌のために洗いすぎは大敵なんです」と。界面活性剤フリーの製品です。
1か月使ってみて、肌はなんとなくふっくら。シワも目立たなくなりました。
「長年お使いの方も多く、90歳くらいの方もご愛用くださっています」と。なんとも幅広い年齢層。だれが使っても、その人なりの肌本来のパワーを引き出すのが、シルク化粧品とか。
紫外線の強い京都。肌本来のパワーも衰えがちに…。なんとか手入れを怠らず、夏を乗り切りたい…。そう思いながら、シルクの化粧水を多めに肌に馴染ませています。
アーダン
京都市左京区岡崎東天王町8
☎075‐752‐0308
営業時間:11:00~18:00 不定休 事前に連絡をおすすめ
小原誉子
ブログ「ネコのミモロのJAPAN TRAVEL」