京都の二条通から丸太町通の間を結ぶ寺町通は、骨董店、書店、美術商、老舗の茶店や紙屋をはじめ、ケーキショップや料理店など、大人が好む上質の品々がいろいろ揃うところ。
並木が茂る舗道もあり、のんびりお買い物などを楽しむのにおすすめな通りです。
専門店が集まる通りに、平成26年度「京都景観賞 建築部門」奨励賞を受賞したモダンな建物があります。2014年10月にオープンした筆の専門店「白鳳堂 京都本店」です。店内に入ると、そこはまるで筆のギャラリーのよう。さまざま種類の筆が、ズラリ整然と並びます。
筆の産地である広島市熊野町に、1974年に創業した「白鳳堂」は、書道、絵画をはじめ、さまざまな工業用、多岐にわたる化粧用などの筆を、自社工場の筆職人さんの熟練した技で生産しています。そもそもこの会社は、面相筆と呼ばれる化粧筆の製造からスタートした会社。そのため、ここに並ぶ化粧筆は、まさに得意とする筆なのです。
さて、ひとくちに化粧筆といっても、パウダーブラシ、眉ブラシ、紅筆、チークブラシなど、種類もいろいろ。感触、弾力などが異なるリス、イタチ、馬、ヤギなどの毛の素材を、それぞれ適した筆に仕上げます。
「自分の手にあった筆を使うと、メークの仕上がりも違いますよ」と、あるメークアップアーティスト。アイシャドウなど製品に付属する小さな筆やチップでは、微妙なニュアンスを出すのは難しいそう。美しい仕上がりのためには、自分の手や肌にあった筆を使うのがおすすめということです。
店内に並ぶ化粧筆の多さは、まさに圧巻。本当に、どれを選んだらいいか迷ってしまいます。そんな時は、スタッフに相談しながら実際に、筆を手に取り、その感触を確かめて…。また筆の軸部分のデザインや予算などで、選び込んでゆきましょう。
筆を携帯するためのケースもあり、使い終わったら、余分な粉などを落とし、大切に保管を。なんかプロのメークさんになった気分です。
京都では、芸妓さんや舞妓さん、また歌舞伎役者さんなどの愛用者も多く、店内には、伝統的な化粧筆も並びます。優れた日本の筆は、海外でも高く評価され、ここには、海外で活躍するプロのメークアップアーティストも訪れるそう。
東京にも店舗がありますが、ここ京都が本店。ゆったりとした雰囲気の中で、じっくり筆を選ぶのも、京都を訪れた折りの楽しみに…。ぜひ、京都で美しいメークのための道具を、見つけてみてはいかがでしょ。きっとアップの仕上がりに差があることを実感できるはずです。
白鳳堂 京都本店
京都市中京区寺町通二条上ル要法寺前町715-1
☎075‐253-1245
営業時間:10:00~18:00 (臨時休業有、事前に確認をおすすめ)
小原誉子
ブログ「ネコのミモロのJAPAN TRAVEL」