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十和子道 第8回 「〝老け〟は細部に宿ります」

君島十和子

君島十和子

君島十和子. 1966年生まれ。モデルとして活躍後女優に。1996年、結婚を機に芸能界を引退。現在は自身のコスメブランド「FTC」のクリエイティブディレクターとして数々のヒットを生み出している。2女の母。

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取材期間1年以上、収録写真は約400点。自宅で撮影し、オール私服で登場した〝ライフスタイルブック〟の決定版、それが『十和子道』。発売されるや瞬く間に大増刷され、なんと6刷を記録した大ヒット本です。その本のもととなった連載(過去にOurAgeにて配信されたもの)の一部をお見せします!

十和子道 第8回 

「〝老け〟は細部に宿ります」

 

ブラックアウト(シャットダウン)したパソコンや携帯電話の画面にふいに映った自分の顔にドキリ…としたり、食事会や旅先で撮った(撮られた)写真を見て、リアルな年齢を感じたことありませんか?

 

「こんなに猫背だったかしら」

「目が小さくなってる?」

今まで気がつかなかった「老け」を見つけて、一瞬がっくりとうなだれた後、ものによっては「消去!」と、写真をなかったことにしてみたり(笑)。

 

「これって角度が微妙だし、光の加減がいまひとつで、今回たまたま容姿の調子が悪かっただけ。単なる写真うつりの問題だわ」と、いろいろな状況のせいにしたくもなりますが、その不調な顔も自分のリアルな一面です。

どんなにはりきってメイクをしていても、おどけたポーズをしてみても、どこかにかならず本当の年齢が出てしまうもの。

 

職業柄、プロのカメラマンに撮っていただく機会が多々あるのですが、一転してこちらは、スタッフさんたちの情熱あり、カメラマンさんの匠の技あり、ハイライトやアイキャッチなどのライティング効果あり!で、素の自分より何割増しかに美しく仕上げていただける。本当にありがたく思います。

自分を美しく撮っていただけることは、女性にとって何よりの喜びですから。

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今はスマホで撮影すれば写真補整アプリという、女心の痒いところに手が届くような補整と、時にイリュージョンに近い加工(?)をしてくれる、なんとも素敵な機能が使えます。

私もブログに写真をあげるときは、写真補整アプリの恩恵を授かっているひとりです。

 

でもこうした技術の進歩って罪だわ…と思うこともしばしば。

 

あくまでもリアルの延長に過ぎなかった画像というものが、今は本物を軽々と越えていってしまいます。そして、ぴかぴかに加工された写真の自分をリアルだと思ってしまいたくなる(それが女心というものだと思いますが)。

 

フォトジェニックであることは素敵なことですし、女性として大きな魅力のひとつですが、本人に会ってみたら「写真とぜんぜん違う…」「写真のほうがいいよね」なんて思われたら、せつないような悲しいような。

 

「写真は正直である一方、ものすごい嘘もつける」

ということを、私たち世代はきちんと知っておく必要があります。

おしゃべりをしたり、お茶をいただいたり、大きな口を開けて笑ったり、お話を聞きながら「うんうん」とうなずいたり、ぼんやりと考え事をしていたり、テレビを観たり、必死にメールを打っていたり…。

周囲にいる人はそんな私を見ていますが、私には自分の表情やふるまいを見ることはできません。

 

けれど、「老け」は自分には見えにくく他人には目につきやすい細部に宿ります。

シミやシワ、フェイスラインのたるみなど、鏡を見ればすぐ認識できるわかりやすいクライシスではないのです。

 

そこで〝地撮り〟のススメです。

自分で自分を撮影する自撮りではなく、自分の〝地〟を撮影する地撮りです。

 

 

私は、ふだん生活しているリビングやベランダ、ダイニング、移動中の車の中、パーキングなどでときどき思いついたようにパチリと自分を撮って、表情や姿勢をチェックしています。

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「君島十和子ってどれだけ自分好きなの?」と、勘違いされたり、あらぬ噂が立たぬよう人目につかないところでこっそり、と(笑)。

 

後ろ姿は娘(次女)に撮ってもらい、「やっぱり出るね、背中に年齢が」なんて、手厳しくジャッジされています(涙)。

 

写真を撮って確認したからといって、ただちにほうれい線がなくなり、顔のラインが変わるということではないのですが、その変化を観察し、理解することで意識は確実に変わります。

意識が変われば、「老け」はその歩みを緩めます。

年齢や生活のあり方、心理までもが如実に写しだされるのが姿勢だと思います。

きちんと座る、立つ、歩く、だけでどれほど若返って見えることか。

 

 

自分が思う自分と、人が思う自分とは違うもの。

 

容姿に限らず、生き方や思想、価値観、人となり、なんでもそうですよね。

〝私はこんな人です〟と、どれだけ言葉を尽くしても、他人がその人を評価、判断するのはきっと非言語的なものが伝える何かだと思うのです。

 

たぶんそれは所作や姿勢や表情や醸しだす雰囲気や空気といったもの

そこには、本人の思惑を超えて表現されることがあるのだと思うのです。

 

自然光の中でさらりと自分を撮ってみてください。

正面だけではなく、左右、上下、斜め、真顔も笑顔も後ろ姿も。

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そこには「老け」というサインだけではなく、自分では見つけられなかった意外な「若さ」や、思いがけない「美しさ」といったものも見えてきます。

 

私は2016年、50歳を迎えます。

 

 

50歳からの武器、それは俯瞰と客観と楽観です。

追伸

娘さんのいらっしゃる方は、娘さんといっしょに写真を撮ることもオススメしておきます。

娘というものは〝自分と同じDNAを持つ一番肉体的に近い女性〟ですので、一緒に並んで写ると、

・使用前、使用後

・施術前、施術後

・上り坂、下り坂

みたいな、それはもうパンチのある1枚になること必至(笑)。

自分がしがみついているあやふやな「若さ」など吹き飛びます。「そうね、若さってこういうことよね(涙)」と。

 

「若さの専売特許」は娘たち世代にあり、私たちが目指すべきは「老けを感じささせない、清潔感のある大人」であることがわかります。

(…とは言うものの、娘のバッグを勝手に拝借し、「私が持っていてもおかしくないはず」と、なし崩しに自分のものにしてしまうような母なんですが…。バッグくらいならいいですよね?)

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撮影/冨樫実和 取材・文/稲田美保 ヘア/黒田啓蔵

*オールカラー、自宅で撮影、オール私服、収録写真400点

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