東京ーソウル 758マイル
今や世界の美容シーンをリードする韓国。
韓流ドラマやKPOPスターたちの美しさと鍛え抜かれた身体は、世界の芸能界でもトップクラス!美しいだけではない。しなやかで強靭な身体という要素も、韓国芸能界では重要だと言われています。
遅まきながら韓流ドラマのファンとなって半年、
「なぜ、主役はともかく、老け役の女優さんたちも、こんなにお肌がきれいなんだろう??」
と、同年代の女優さんの美しさと若さに目が奪われます。
ちょっと昔に制作されたドラマには「お母さんに見える女優さん」がたくさんいますが、最近のドラマの「お母さん役」の女優さんたちは、シワなし、ツヤありの美肌の持ち主ばかり。しかも、ナイスバディ!
「25歳の息子がいるという設定なのに、どう見たってこのお母さん30歳くらいにしか見えない。この肌の艶・・美しすぎる・・・一体何を食べているんだろう・・」
「主役をいじめる継母役の女優、どう見ても主役と同い年くらいにしか見えない。歩き方も若い!」
とうらやましく思っておりましたが、
「そうだ!韓国へ行って健康と美肌の謎を解明しよう!」
と思い立ち、20年ぶりの韓国へ行ってきました。
◎日々の食生活に生かされる陰陽五行の教え
韓国は、朝8時過ぎの便で飛べば、お昼ご飯に間に合う身近な国。
旅先では、できるだけ珍しいものをたくさん食べたい、と食い意地の張った私は、仁川空港からタクシーを飛ばして、
「通仁市場(トンインシジャン)」へ直行!
通仁市場は、再開発で脚光を浴びている西村(ソチョン)の一角にあるグルメ通りです。西村は、李朝(1392年〜1910年)の時代に医官(医者)や画員(絵師)などの専門職の人が住んでいたエリアだそうです。ここ数年、再開発が進み、おしゃれなカフェやギャラリー、趣のある昔の家屋‘韓屋’があちこちに点在し、散策にも楽しいエリアとして人気を集めています。
中でも大人気のスポットは、ここ!
思いつくすべての韓国料理が格安に食べられる通仁市場。中は、長い一本道のアーケードになっており、両側にぎっしりと食材屋さんやお惣菜屋さんが並んでいます。
ランチを食べるためには、アーケードの真ん中当たりにある「顧客満足センター」でお弁当の容れ物と500ウオン通貨(約50円)を購入します。
「だいたい10枚くらいあればお腹いっぱいになりますよ」
と窓口のお姉さんに教えていただいて10枚購入。
こんなマークがついている契約店を探します。
キンパブ(韓国風海苔巻き)やトッポギ、棗や枸杞、さまざまな木の実が入った炊き込みご飯や、数えきれないほどのキムチやコプチャンにパジョン(ネギ入りチヂミ)、各種肉料理、マンドゥ(餃子のようなもの)、卵焼きなど、ありとあらゆる種類の家庭料理のお店が競うように軒を並べています。あちこちの店先で調理をしているため、ジャッジャッという炒め物の音や香ばしく肉の焼ける匂い、マンドゥを蒸すセイロから上がるほっかほかの湯気が食欲をそそります。
食べたいものを見つけたら身振りで伝えて容れ物を渡します。韓国語しか通じませんが、大丈夫。キムチと肉料理を(別々に)ちょうだいと言ったところ、うまく伝わらずキムチと肉を一緒に炒められてしまったり、小さいスペースにちょこっと入れて欲しいところ、大きなスペースにどーんと盛られたりもしますが、ドンマイです。
食事を選ぶ前に、市場でご一緒した韓国人のジャーナリスト美愛さんから
「 韓国では、陰陽五行の教えが日々の食生活に取り入れられています。食事を選ぶときは、五法( 焼く、煮る、蒸す、炒める、生)というそれぞれに違った調理法で作られたものから、五味(甘、辛、酸、苦、塩)に従って違う味わいのものを選び、並べたときに五色(赤、緑、黄、白、黒)が揃うように選ぶと健康に良いと言われています。
一回の食事で全部揃えるのは難しいので、私は一日か二日のうちにバランスよく揃うように心がけています。それから、キムチ。キムチは韓国が誇る発酵食品。腸内の善玉菌を増やすためにも、ぜひ一日二回は食べてください。日本には何種類かのキムチしかありませんが、韓国には何日食べても飽きないほどたくさん種類がありますよ」
と教えていただきました。
日本では、多様な食材を選び、彩りよい食卓にすると健康に良い、と言われていますが、五味と五法はあまり知られていませんね。
アーケードの中を行ったり来たりして、好きなものを詰め終わったら、顧客満足センターの上にある食堂で
「いただきまーす!」。
これが私のお弁当。これにご飯とスープをつける事もできます。その場合は、2000ウォン分のコインととっておいて、食堂の二階で購入します。
上手な日本語で話しかけてくれた女子学生のソヨンちゃんは、日本文化の大ファン。去年の夏休みには、ひとりで日本に旅行に来たそうです。市場の料理で一番気に入ったのは「唐辛子餃子」だそうです。若くても激辛いモノが大好きなのはさすがです。
市場で人気の豚の腸に春雨を詰めて甘辛く煮たスンデ。春雨がギュウギュウパンパンに入っていますが、いったいどうやって作ったのか謎の食べ物でした。・・・。味は辛ウマっ!
◎一杯飲むと3歳若返るという霊水を求めて 扶余(プヨ)へ
「若返りといえば 扶余(プヨ)の霊水が有名ですよ」
韓国観光公社の曽根さんから教えていただき、ソウルからバスで2時間半ほどの場所にある 百済歴史遺跡地区 にある扶余(プヨ)へ向かいました。
扶余の船着き場から、こんな船に乗って向かいます。気分はすっかり歴史ドラマの主人公!
目的地は、百済末期に建てられたと言われている 皐蘭寺(コランサ)。
百済滅亡のときに落下岩から身投げした三千人の官女の霊を慰めるために建立されたと言われていますが、史実として証明できる記録は残っていないそうです。
このお寺の裏に、韓国一の霊水と言われ、飲むと3歳若返る(一説によると20歳若返る!)と言われる湧き水があります。百済の歴代の王様たちは、ここの湧き水を毎日飲んだため胃腸も丈夫で、風邪も引かなかったと言われています。
この奥に湧き水が・・・。
ちょうど日本のテレビ局が取材をしていました。レポーターの方は、思いっきりごくごく飲んでました!
争って若返りの水を飲む人たちに混ざって、私も柄杓一杯いただきました。3歳若返るなら9歳、20歳若返るなら60歳ほど時を遡るくらいの分量。
結果は・・・ちょっと自分の口からは・・・。
それでは次は、韓国のOurAge世代にはやっている健康法について。
◎栗の都 公州でブームの歴女ウォーキング
韓国は空前の「健康ブーム」。とくに国をあげて国民に「薄味と運動」を推奨しています。
とくにOurAge世代の間ではトレッキングが大人気。毎日なるべく歩く以外に、週末には家族や夫婦でソウル市内に23コースもあるウォーキングコースへ行き、家族で身体を動かす人が増えているそうです。
以前、ボリビアのウユニ塩湖で64歳から75歳の4人の元気な先輩に出会ってから、日々の運動の大切さを実感し、実践している私は、韓国にいる間もウォーキングコースを利用してできるだけ歩くことにしていました。食べては歩く、食べては歩く、という超健康的な生活を送れるのも韓国の健康ブームのおかげです。
*参考:たびたび美旅30000マイル!第8回「ボリビアのウユニ塩湖で会った日本人のスーパーアンチエイジャー先輩たち」の巻
扶余(プヨ)の お隣の公州でも、2015年に世界遺産に登録されたばかりの宋山里(ソンサンニ)古墳群という遺跡でウォーキングを楽しみました。
ここには7つのお墓があり、その中には奇跡的に唯一盗掘されなかった百済第25代武寧王 (在位:502年 – 523年)のお墓があります。イケメンとして有名だった武寧王は、日本と縁が深く、現在の佐賀県で生まれ育ち、41歳の時に百済に戻り、王に即位したそうです。博物館に所蔵されている夥しい装飾品には、当時の王の強大な権力と共に百済の優れた宝飾加工技術を見ることができます。
繊細な細工が施されたイヤリング
王様の枕。木製で寝ているときに頭が痛そうですが装飾は美しく・・・
遺跡をガイドしてくださったのは公州大学の歴史学者の ユン・ヨンヒョク 先生。毎日トレッキングで鍛えていらっしゃるだけあって足が早いっ!70歳代というお年ながら、広大な史跡を歩きつつ、大声で説明しつつ、すたすたと息も乱さずに歩く姿に「やはりこれからの人生のためには身体を鍛えないと」と改めて思いました。
元公州大学の歴史学教授だった李先生と奥様のラ・ジョンヒ先生 。ちなみに韓国では夫婦別姓。結婚しても女性は元の姓を名乗るそうです。
*ソウル市内で、文化観光解説ボランティアさんの説明を聞きながら歴史的地区を歩くウォーキングツアーについては、こちらをご覧ください。 日本語ができるガイドさんによる日本語ツアーもあり、オンラインで予約。
公州では、名物の栗料理をお忘れなく。
栗ご飯や栗マッコリ、おやつ用の甘栗など、どれも栗の甘さが生かされた美味しさでした。栗尽くしのお夕飯の写真です。
日本人には特にうれしい栗ご飯。ほっくほくの甘い栗の入ったご飯は、ぴりっと辛いおかずによく合いました。
栗の渋皮煮が入った煮物
栗の粉が練り込まれた餅。
公州でしか飲めない栗マッコリ。栗のほのかな甘さがマッコリの風味とよく合い、のどごしすっきり。気をつけないと飲み過ぎること間違いなしの美味しさでした。
野菜がたっぷりのお夕食。韓国にいる間、三食たっぷりと野菜を取れてうれしかった!
韓国では「鍋」とか「カルビ」などメインを注文すると、まず数々の野菜料理が出てきます。つまり、キムチやナムルなどは注文する必要がありません。食事の前には、必ず野菜を食べる、というダイエットにも美容にも良い韓国の食習慣はぜひ毎日の食卓に取り入れたいものですね。
旅行をしていると野菜不足になることがよくありますが、韓国は野菜不足の心配がまったくいらない稀少な国のひとつと言えるでしょう。
最近では、国家的な食のプロジェクトとして
①伝統的な料理の復活(『チャングムの誓い』に出て来たような宮廷料理)
②宗家 各家庭に伝わる料理
③精進料理 寺に伝わる料理
という3つの柱を軸に、昔からの料理を整理し、後世に伝えるための保存活動をしているそうです。今回は時間がありませんでしたが、チャングムの誓いに出てくる宮廷料理をじっくりと味わうために、もう一度韓国へ行こうと思っています。
さて。次回は韓国編第二回。韓国コスメとエステで外からもキレイになるお話です。
*武寧王が出てくる韓流ドラマには「帝王の娘 スベクヒャン」があります。
取材協力 韓国観光公社
井原美紀ブログ 旅の記録 Let’s GO TO SEE THE WORLD!
http://ameblo.jp/surpriseenterprise/