ピンクリボンブレストケアクリニック表参道院長。筑波大学を卒業後、放射線科勤務や、米国での留学を経て2008年に開院。ピンクリボン運動やイベント、出版活動などを通じて、乳がん啓発活動にも精力的に取り組む。日本医師会認定健康スポーツ医、日本体育協会認定スポーツドクターの資格も持つ
きちんとケアをすれば下垂した胸もよみがえります!
なぜ胸は垂れるの? 一度垂れたら元には戻らないの? バストの専門医である島田菜穂子先生に、下垂するバストのメカニズムと、予防&ケアについて伺いました。
「年齢とともに胸が下垂するのは、吊り上げる力と中身の構成が変化することが原因です。胸を引き上げているクーパー靱帯が年齢とともに緩み、胸が重力に逆らえずに下垂。加えて女性ホルモンの減少によって乳腺が萎縮し、脂肪に置き換わります。脂肪が増えた胸は柔らかくなり、ハリを失うのです。加齢によって胸が下垂するはそのため。
しかし、クーパー靱帯には自己再生能力があります。付随する大胸筋を鍛えることで、いくつになっても弾力が回復するのです。大胸筋を鍛えることはもちろん、つながっている肩の関節や肩甲骨のストレッチも取り入れましょう。
姿勢が改善し、胸元が上がるだけでなく、大胸筋を効率的に使えるようになることで、自然と筋力もアップします。そのほかバランスのとれた食事や、有酸素運動なども意識して行うとさらに効果的です。
ブレスト・アウェアネス(乳房を意識し変化に気づくための生活習慣)という意味でも、自分の胸と向き合い、ケアする時間を大切にしてください」
胸が垂れるのはクーパー靱帯が緩むから
クーパー靱帯とは、コラーゲンでできた組織で、胸を包み込むように広がり支えています。しかし加齢や筋力の低下、激しい揺れなど、さまざまな理由によって緩み、胸を高い位置で支えることができなくなるのです。ただし、切れることはまずないので、これ以上緩ませないことや、少しでも弾力を取り戻すことが大切。
胸は大胸筋の上にある2層の筋膜の間に、乳腺や脂肪などが詰まっている構造。
胸が下垂する原因には、女性ホルモンの減少に伴う乳腺の萎縮や、筋力の低下などによるクーパー靱帯の緩みが大きく関係しています。
加齢とともに変化する胸の形状
イラストのように、胸の下垂は徐々に進行します。早めの対策で胸のエイジングにストップを。あなたの胸は、今どのあたり!?
下垂していない胸。乳房はハリがあって丸みを帯び、デコルテもふっくらとしています
胸の上部のボリュームがダウン。いわゆる“そげ胸”の状態。ブラの上部がパカパカしたら要注意!
脂肪が多くなり、ハリを失った胸が重力にあらがえず、下垂していきます。徐々に乳頭も下向きに
柔らかな肉質が形状をとどめておけず、下垂に加えて外に流れていきます。こうなる前にしっかりケアを
イラスト/内藤しなこ 構成/山村浩子 取材・原文/高田あさこ