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books
ロマンチックだった頃の日本を 忠実に実践
『モダンガールのスゝメ』
淺井カヨ 著/原書房 1,600円
全編旧仮名遣いで記述されているのは、ロマンチシズムあふれる大正・昭和初期のモガの世界。その時代を愛するあまり、ついに日本モダンガール協會を設立、代表を務める著者は、ファッションやヘアメイクはもちろん、氷式冷蔵庫や火鉢などを使い、当時の生活を実践。そして、一人のモボと出会い、めでたくゴールイン。好きなことをとことん追求する潔さは、文句なく美しい!
『日本人にとって美しさとは何か』
高階秀爾 著/筑摩書房 1,900円
西洋美術史家で日本美術にも通じている著者は、前書きで西洋と日本の美意識の差に気づかされたエピソードを語っています。フランスの友人と富士山の話をしたとき、山はすべて男性名詞の西洋に対し、著者自身無意識のうちに富士山を彼女と呼んだとか。平仮名からロボットまで幅広いテーマで語るのは博学な著者だからこそ。上質な講義を聞いているような充実感があります。
本来の作法は無駄のない動き だからこそ美しい
『日本人の9割が知らない 日本の作法』
小笠原清忠 著/青春出版社 640円
小笠原流三十一世宗家の著者は、800年以上伝えられてきた武家の礼法の本質は、理にかなった所作にあると言います。立つ、歩く、座るという基本の姿勢や動作が大切なのは、武士がお上を守るために、日頃から足腰を鍛える鍛錬法としての意味があるからなのだそう。よい 姿勢で無駄のない機敏な動作は若々しさの鍵。ロコモにならないためにも、日々の暮らしで心がけたいもの。
『二つの母国に生きて』
ドナルド・キーン 著/朝日新聞出版 600円
「生まれ育ったニューヨークよりも日本にいるほうが幸せ」で、ついに東日本大震災を機に日本国籍を取得。かつて敵対したふたつの国を母国とする著者が、日本文学研究者としてのフェアなまなざしと、奥ゆかしい日本の文化をこよなく愛する生活者としての心情で連載したエッセイを基に、このほど文庫本として再版。30年の時を経たと思えない内容に、著者の慧眼が感じられます。
心を表す日本語を 磨いてみたくなる
『美しい日本語』
金田一春彦 著/KADOKAWA 720円
MyAge世代なら誰も学生時代お世話になった国語辞典の編纂で知られる著者が、自戒の意味も込めて、日本語表現の奥深さや変化についてまとめたエッセイ集。説明がうまい人とヘタな人のほんの少しの違いから、日本語に漢字があることの意義など、日本語にまつわるあれこれが、わかりやすい文章で綴られ、日本語研究の第一 人者としての日本語に対する深い思いが伝わってきます。
美容医療について プロの目で徹底取材
『プチ整形の真実』
近藤須雅子 著/講談社 680円
ボトックスやレーザーなど、今や日本はアメリカ、ブラジルに次ぐ美容整形大国。一方で治療件数の増加につれ、トラブルも後を絶ちません。30年にわたり美容業界で活躍、業界の番人と評される美容ジャーナリストの著者は、使命感を持って日本の現状を取材。施術内容から費用、効果やデメリットまで、美容医療が気になる人、 迷っている人、リピーターも、一読の価値があります。
撮影/藤澤由加〈本〉
取材・文/佐野美穗