東京国立博物館の特別展『国宝 東寺―空海と仏像曼荼羅』を観に行く前に、
寺と神社の旅研究家・吉田さらささんに教わっておきたい
東寺の「仏像&立体曼荼羅」の見どころ案内旅
3月26日~京都・東寺の傑作仏像が東京国立博物館にやってきます。それを近くで鑑賞できるのが、5月に開催予定のMyAge/OurAgeの5周年記念イベントです。
5周年記念企画「黒田知永子さん×吉田さらささん スペシャルトークショー@東寺展」に150組300名様をご招待します!
※イベント詳細や応募方法は、こちらへ。
そこで予習! 寺と神社の旅研究家・吉田さらささんに仏像や立体曼荼羅の意味や楽しみ方を教わりました。
見どころ①
仏様さまのお姿や表情の違いを知ろう
立体曼荼羅がスゴイ理由は?
講堂の中は、美しい如来、華麗な菩薩、異形の明王などがぎっしりと居並ぶ濃密な空間。本物の仏さまの世界に入り込み、何かを語りかけられているような臨場感があります。
空海が構想する仏さまの大宇宙が
立体的に表現されている空間
立体曼荼羅は講堂というお堂に安置されています。先にも述べたように、仏像は一定のチームで祀られることがよくありますが、これほど多くの仏像がひとつのチームとして一堂に祀られることは珍しい。全部で 21 体。今回は、このうち 15 体が出品されます。
講堂内の 21 体の仏像は、前回示した4つのカテゴリー別に整然と配置されています。中央は密教の世界の中心である大日如来。それを取り囲む4体の如来像。この5体の如来を合わせて五智如来といい、密教における5つの知恵を表します。大日如来は宝冠やアクセサリーをつけていますが、ほかの如来は装身具を一切身につけないシンプルな姿。如来はすでに悟った存在なので現世的な飾りは必要ありませんが、宇宙の中心の大日如来だけは別格、きらびやかな姿で表現されます。
装身具や表情の意味を知っておけば
鑑賞するのがもっと楽しくなります
その右側は菩薩グループ。真ん中の金剛波羅蜜菩薩は大日如来の化身、それを取り囲む4体の菩薩も、五智如来に属する如来の化身とされます。菩薩はこれから悟る存在なので、現世的な装身具を身につけています。左側の明王グループは、仏の世界に敵対する者を叱りつけてでも諭す役割を持っているため、威嚇するような表情が特徴です。こちらには不動明王を中心とした五大明王が。不動明王も大日如来の心の中の決意を表す化身です。菩薩の右側と明王の左側には天のグループが祀られます。天にはさまざまな性質の仏さまがありますが、こちらでは、仏の世界の東西南北を守る四天王が四隅に配され、左右の2体の間に梵天と帝釈天が祀られます。どちらもりりしいお顔立ちの美男仏として人気です。
講堂諸尊の配置図
真ん中が如来グループ、その右が菩薩グループ、左が明王グループ、左右の端に天のグループの仏さまが配置されています。
東寺の講堂を拝観する際には、この図を持参すると、どの仏さまがどんな立ち位置にあり、どのような性質なのかがおおまかに理解できます。
ここで基礎的な知識を身につけておけば、ほかの寺を拝観する際にも役立ちます。
東京国立博物館で出会える立体曼荼羅の仏さまたち
21体の立体曼荼羅のうち、15体が上野にやってきます。お寺では仏像の背後を見るのはなかなか難しいですが、特別展では、360度、どの角度からも見られ、現地で拝観するのとは違う魅力も発見できます。如来像4体④、菩薩像4体②③⑪⑫、明王像4体⑤⑥⑧⑨、四天王のうち2体①⑦、帝釈天像⑩。如来像は重要文化財、そのほかはすべて国宝です。如来や菩薩グループの仏さまは静かに座っていらっしゃいますが、明王や天のグループの仏さまは動きが激しく持ち物や表情も変化に富みます。
特別展 『国宝 東寺―空海と仏像曼荼羅』
開催場所 : 東京国立博物館 平成館(上野公園)
開催期間 : 3月26日(火)~6月2日(日)
開館時間 : 9:30~17:00(入館は閉館の30分前まで)
※会期中の金・土曜は21:00まで
休館日:月曜、5/7(火)
(ただし4/1(月)[東寺展会場のみ開館]、4/29(月・祝)、5/6(月・休)は開館)
https://toji2019.jp
5周年記念企画「黒田知永子さん×吉田さらささん スペシャルトークショー@東寺展」に150組300名様をご招待します!
イベント詳細や応募方法は、こちらへ。
※募集期間は終了しました。
次回は、「見どころ2:ビジュアルが面白い!仏さまの下部組織、明王や天」について詳しくご紹介します。
撮影/藤澤由加〈MyAge取材分〉 取材・原文/吉田さらさ 図作成ビーワークス 撮影協力/東寺