前回、脳のはたらきを劇的に変えるのは、「さりげない生活習慣」であること、中でも「早寝早起き」の効果は絶大であることをお伝えしました。
けれども、そうはいっても、「私、朝が弱くて…」という方も多いのではないでしょうか?
朝早く起きても、アタマも働かず、カラダも動かない…。低血圧だから、寝不足だし…と思っている方、もしかしたら、夜、寝る前に、甘いものやお酒をたしなんではいませんか?
そうだとすると、
その「朝だる」の原因は、「低血糖」かも!?
低血糖とは、血液中のブドウ糖が足りていない状態。ブドウ糖は脳の活動に不可欠な成分なので、ブドウ糖が少ない状態では脳の活動が低下し、結果だるくなったり、眠くなったりするのです。血糖値が80mg/dlを下回ってくると、脳内ホルモンが出にくくなって集中力を失い、40mg/dlを下回ると、意識混濁に陥り、そのまま何時間も続けば脳死にも至ります。つまり、
脳が何より怖いのは、低血糖。
だったら、甘いものは脳にいいんでしょう? と思うかもしれませんが、さにあらず。
空腹時、いきなり甘いものを口にすると、一気に血糖値が上昇します。すると、血糖値を下げるホルモン、インスリンが過剰分泌され、ほどなく血糖値が急降下してしまうのです。
つまり、血糖値の急上昇は、血糖値の急降下を招く のです。
例えば夜10時をすぎてスイーツを食べてしまった場合。
⇒30分から一時間ぐらいで血糖値がぐっと上がる。
⇒そのせいで脳が無駄に元気になってうまく眠れなくなる。
⇒午前1時頃、やっと眠れたかなと思ったら、今度はどんどん血糖値がさがって低血糖に。
⇒迎えた朝はゾンビ状態……。
というわけ。
「血糖値の乱高下」は脳内の電気信号のアンバランスを生み出し、
脳の働きを鈍らせ、気分のむらを生み出します。
甘いものを食べた直後は、気分が高揚して元気になりますが、ほどなくだるくなり、眠くなり、ひどいときには、やがてむかついてキレルことも。
もちろん、スイーツを食べてはいけないわけではありません。食べるのなら、血糖値の乱高下を防ぐために、食後のデザートとして。
今は、24時間、甘いものが手に入る世の中。糖の正しい摂取法を知っておくのは、もはや大人の嗜み。自分の脳のパフォーマンスを下げないためにももちろんそうですが、家族や仕事仲間のためにも。気分にむらのある人と一緒にいると、結局時間を取られ、気持ちも削がれてしまいますから。
もっと詳しくお知りになりたい方は、ぜひ本書を!
黒川伊保子さんの新刊
『「ぐずぐず脳」をきっぱり治す! 人生を変える7日間プログラム』
『「ぐずぐず脳」をきっぱり治す! 人生を変える7日間プログラム』
黒川伊保子著
集英社刊 (定価1200円+税)
http://gakugei.shueisha.co.jp/kikan/978-4-08-781604-4.html
ご購入はこちら!
http://books.shueisha.co.jp/CGI/search/syousai_put.cgi?isbn_cd=978-4-08-781604-4&mode=1
黒川伊保子(くろかわいほこ)
人工知能研究者・脳科学コメンテーター
イラスト/sara