昨年7月にオープンした「星のや東京」。
東京の中心地、大手町のビジネス街に進出した日本旅館として話題をさらいながら、その詳細は意外と知られていません。
今回は、長らく秘密のベールに包まれていた「星のや東京」の魅力を2回にわたってご紹介します。
まずは、宿泊編。
お茶の間ラウンジ
「星のや東京」のテーマ「塔の日本旅館」を象徴するのが、客室フロアのスタイルです。
各階の客室フロアには、中央にゲスト専用の「お茶の間ラウンジ」があり、その左右に3室ずつ計6つの客室が並んでいます。
このラウンジは同フロアのゲスト限定。
チェックイン時は、スタッフが丁寧にいれる薫り高い日本茶と、日本橋「長門」の銘菓とともにゆったりと。コーヒー好きには「ミカフェート」のコーヒーや、日本各地の銘茶を飲み比べることもできます。
夕食前後には日本酒や焼酎、ワインなどを、おつまみとともに。お菓子や夜食用のマグカップラーメンも自由に楽しめ、翌朝には、軽めの朝食にぴったりなおむすびと味噌汁をオーダーできます。
ワーキングデスク、ごろごろソファも置かれ、ゲストは24時間自由に自分の部屋の延長として、ダイニングやリビングのように思い思いに過ごせます。コンシェルジュも兼ねるスタッフに、近隣のお店や観光情報をたずねたり、旅の手配も頼めます。
「星のや」らしい落ち着きと密なるサービスが集結し、日本旅館の進化したエグゼクティブフロアともいえるでしょう。
さて、客室の中はどうなっているかというと…
客室
客室は、畳敷きにベッドが違和感なく馴染み、青森ヒバのソファや竹素材のクローゼット、大きな障子や矢羽柄のスタンドライトなど、上質な和の空間。大きな窓から射す麻の葉柄の陰影が、時のうつろいをやさしく告げます。
全体にシンプルでコンパクトな上に、滞在すると実に快適。その理由は、かゆいところに手が届く機能や配慮にあります。
例えば、シースルーのバスルームのスマートな目隠し(ワンタッチでベッドルームと遮断)、ロックオフ付きのオートロック扉(お茶の間ラウンジへ気軽に行けます)、細やかな調光機能(天候や気分にあわせベッドサイドで調整)、やわらかすぎず寝心地の良いベッド(寝具全て「星のや東京」のオリジナル)、組みひもの帯がすてきな滞在着(近隣散歩にもぴったりなキモノ風)などなど。
個人的に印象的だったのが、窓の外に見え隠れするオフィス街の情景。建物は江戸小紋の麻の葉をモチーフにしたデザインに覆われ、一度見たら忘れられない外観ですが、内側から眺めると麻の葉モチーフを通して眼下に広がる東京は、見知った景色とは違って、都心の躍動感をダイレクトに感じて新鮮です。
ちなみに、全84室の客室は3タイプ。
2名定員の約50㎡の部屋が2種類(ダブルとツイン)と、3名定員の約80㎡の部屋が1種類です。
そして朝食は、インルームダイニングとしてこの快適なお部屋でゆっくりいただけます。
朝、ふだんの疲れが癒されたベッドから起き出してのんびり過ごしていると、指定した時間に、朝食が運ばれてきました!
和洋ともに竹の三段重に美しい料理が並びます。
今回は和食を選択。
和食は、切り身の焼き魚、少し甘めの関東風の卵焼きと煮物のほかに、野菜サラダと小鉢、デザート、そして、一人前ごとお釜で炊き上げたごはんと味噌汁。朝食用に入れた日本茶もポットでセットされています。
11時までオーダーできるので(要予約)、ブランチとしてゆっくり楽しむのもいいでしょう。
温泉
「星のや東京」はオフィス街のラグジュアリーな日本旅館、しかも「温泉」ということでも話題をよんでいます。
その浴場は、なんと最上階の17階!大手町の地下1500mから湧き出る源泉を、内湯と露天風呂に引いています。エレベーターを降りると、巨木の切り株のようなオブジェに迎えられるリラクゼーションフロア。ここでは温泉と連動したSPAトリートメントや、就寝前のストレッチも体験できます。
浴場は、採光を抑えた内湯から吹き抜けの露天風呂へと続く、ちょっとミステリアスな雰囲気。
奥の露天風呂の高い天井の先端に、ぽっかりと空が見えます。
都心の空を見上げ温かな湯に浸る、なんとも不思議な浮遊感…。壁の格子から漏れる下界の音も心地よく、開放的な露天風呂とは全く異なる、リラクゼーションを体感します。ほんのり黒くとろんとしたお湯は、含ヨウ素‐ナトリウム‐塩化物強塩温泉。なめるとしょっぱい塩成分の高い泉質で、体の芯まで温め血行を促します。
フロントラウンジ
フロントラウンジのある2階では、雅楽演奏や香道、お茶など、その時々に日本文化と触れ合うプログラムが用意されています。
さて、次回は、料理長・浜田統之シェフの「Nipponキュイジーヌ」を詳細にお伝えします。
次回をお楽しみに!
■星のや東京
東京都千代田区大手町1丁目9番1
星のや総合予約0570・073・066 チェックイン15:00 チェックアウト12:00
1泊1室72,000円~(税・サ込、食事別) 夕食(ダイニング)フルコース1名18,000円(税・サ別)、朝食(インルームダイニング)和洋とも1名4,000円(税・サ別)
※食事を希望する場合は夕食付きプランで予約を。外来夕食は宿泊者優先のため、予約が取れないこともあります。
東京駅丸の内北口より徒歩10分。東京メトロ大手町駅A1もしくはC1地上出口より徒歩2分
文/さとうあきこ