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くしゃみや咳をしたときなど「ちょいもれ」してしまいます。尿もれパッドを使うしかないでしょうか?(43歳)【更年期のフェムゾーンの悩み】

尿もれの悩みがあると、旅行に行けない、映画を1本通しで見られない、どこへ行っても真っ先にトイレを探してしまう…などQOL(生活の質)を落としてしまいますよね。ひと昔前に比べればわりと気軽に話せるようにはなりましたが、根本解決にはなっていないかもしれません。でも安心してください。八田先生が心強い解決策を指南してくれます!

答えてくださった方

 

八田真理子
八田真理子さん
産婦人科専門医
公式サイトを見る

幅広い世代の女性の診療・カウンセリングを行う地域密着型クリニック「 聖順会 ジュノ・ヴェスタ クリニック八田」院長。著書に『思春期女子のからだと心 Q&A 資料ダウンロード付き』(労働教育センター)、『産婦人科医が教える オトナ女子に知っておいてほしい大切なからだの話』(アスコム)ほか。

 

♦更年期の尿もれは、「GSM」というれっきとした病気です!

以前、「GSM(ジーエスエム)」のお話をしたこと、覚えていますか?

「閉経前後から起こる、腟の乾燥や萎縮、性交痛、尿トラブルなどの症状」をまとめて呼ぶ言葉です。正確には「閉経関連泌尿生殖器症候群」といいます。

まさに尿もれ問題もこれ。れっきとした更年期世代の病気として認められているんです。

 

GSMの具体的な症状は、大きく分けて3つ。

①腟と外陰部のトラブル(乾燥、かゆみ、ヒリヒリした痛みなど)

②尿トラブル(尿もれ、頻尿、膀胱炎など)

③性交トラブル(性交痛や出血・痛みによる性的意欲の低下など)

 

GSMに理解のある医療機関なら、これらの症状は婦人科と泌尿器科、どちらの科でも相談できるようになってきています。

 

さて。

「ちょいもれ」ですが、くしゃみや咳だけではないと思います。

不意に笑ったとき、重いものを持ち上げようとしたときや持ち続けたとき、立ち上がろうとしたとき、長時間歩いているとき、スポーツをしているとき…など、さまざまなシーンで起こることがあります。

 

これは「腹圧性尿失禁」というれっきとした病名(失禁なんて嫌な名前ですけど)がついています。

その名のとおり、お腹に強い圧(腹圧)がかかった際に尿もれしてしまう病気です。

女性ではとてもポピュラーで、約8割の人がこれを経験しているといわれています。

 

そもそも、ヒトはお腹に強い力がかかると、骨盤底筋群という筋肉たちが膀胱と尿道を支えることで、自動的に尿道が締まり、尿がもれるのを防いでくれています。

[正常な排尿の仕組み 膀胱にある程度尿がたまると、脳に信号が届いて指令が出され、膀胱が収縮して尿を押し出します。骨盤底では、普段はしっかり尿道を閉めて尿がもれ出すのを防いでいる「尿道括約筋」が尿道口を緩めるので、尿が勢いよく出ていきます。これが正常な排尿です]

 

ところが、骨盤底筋群の力が弱くなったりダメージを受けていると、尿道のコントロールがきかなくなって尿がもれてしまうのです。これが腹圧性尿失禁ですね。

[腹圧性尿失禁 咳やくしゃみ、重いものを持ち上げるなど、腹圧がかかってついもれてしまうタイプ。骨盤底筋群が衰えるのがおもな原因]

 

骨盤底筋が弱くなったり傷んだりする一番の原因は出産です。

特に大きな赤ちゃんを産んだ人、難産で骨盤底への負担が長時間続いた人、多産で骨盤底筋のダメージの修復が間に合わなかった場合など…。出産後の尿もれはこれらが原因のことが多いものです。

 

♦なぜ更年期になると尿もれしやすくなる?

それでも、更年期以降、出産の有無にかかわらず誰でも尿もれリスクが高くなります。

それはなぜでしょう?

 

想像がつくと思いますが、女性ホルモン「エストロゲン」が減るからです。

 

エストロゲンは膀胱や腟の動きをサポートする働きも持っているので、減少することで尿トラブルが起こりやすくなります。

40代以降は、加齢によって筋肉が弱くなっていくのでなおさら!

 

また、更年期には体重が増加する傾向にあることは皆さん感じているとおりです。

骨盤底は骨盤の下側から、内臓や脂肪をハンモックのように支えていますが、体重が増えれば骨盤底筋群によけいに負担がかかります。

つまりハンモックがびよ〜んと伸びて弾力がなくなってしまうため、尿道コントロールがうまくいきません。

 

不意にお腹に圧がかかると、ちょいもれしてしまう理由がわかりましたね。

尿もれには別のタイプもあるのですが、その話はまた次回にでもいたしましょう!

 

ただし、ちょいもれするからといって尿もれパッド(尿もれシート、吸水シート、尿吸収シートともいいます)をつけて終わりにするのはよくありません。私は反対です!

 

 

人生100年の時代、これから年を重ねたらますます骨盤底筋群も弱ります。

あと半分の人生を尿もれパッドやおとなのオムツをつけて過ごすなんて嫌でしょう?

 

つねに尿もれパッドを使っていると、フェムゾーン(デリケートゾーン)のムレやかゆみ、においの原因になります。できればパッドを使うのは外出時や、どうしても、というときだけにしましょう。

これに関しては、以前の質問で回答していますので、もう一度おさらいしてくださいね。

 

知っていてほしいのは、尿もれは軽いうちなら自分自身で改善できるものだということ。

骨盤底筋という筋肉が弱っていくのであれば、鍛えればいいのです。そう、筋トレです。「骨盤底筋トレーニング」です。

 

♦骨盤底筋トレーニングは、いつでもどこでもできる!

これからの女性は、年齢にかかわらず(40代以降なら必ず!)骨盤底筋トレーニングが必須です。トレーニングといっても、いつでもどこでも24時間できるものですし、一度習慣づいてしまえば、無意識にでもできてしまうかもしれません。

 

まずは難しく考えずに。いろいろ方法はありますが、簡単にできる方法を教えましょう。

骨盤底筋の場所の確認ですが、自転車に乗ったとき、サドルに当たっている部分全部、です。タオルなどを筒状に丸めて椅子に縦に置き、その上に座ったとき、タオルに当たっているエリアです。

この骨盤底筋に取り囲まれているのは、前から順に尿道・腟・肛門ですね。尿道・腟・肛門と順番に意識しながら(唱えながらでも!)、全部をお腹に向かってきゅぅ〜〜っと引き上げましょう。寝てでも座ってでも立ってでも大丈夫です。これがトレーニングです。簡単でしょう?

 

私は、どこにいても何をしていてもこれをする癖がつきました。1日80回くらいはやっていると思います。

 

何秒間かキープすることができるようになったら、今度はキュッキュッキュッと、リズミカルに引き上げることが10回はできるように練習を。どちらもできるようになるのが理想です。

 

 

骨盤底筋トレーニングは、尿もれの予防・改善だけでなく、いろいろな効果が見込めます。

下腹がぽっこり出てしまうのにも効果あり。

脚がほっそりしてきたり、O脚改善、反り腰改善(つまり姿勢の改善)、冷え症の改善なども期待できます。万病の予防になるのではないかと思うほど!

もちろん、セックスにもいいことがあるし、続けない手はないでしょう?

 

ただし、尿もれが病的なものでないかどうか、一度は確認しておいたほうがいいと思います。

そのためには、かかりつけの婦人科で相談すること。

かかりつけ医がまだいない人は、何でも話せるかかりつけ医を見つけることから始めましょう。

 

取材・文/蓮見則子 イラスト/内藤しなこ 

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