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呼吸の要は肺の中の3億個の袋にあり!/Dr.根来の体内向上プロジェクト

根来秀行

根来秀行

1967年、東京都生まれ。医師、医学博士。この連載から生まれた『ハーバード&ソルボンヌ大学 Dr.根来の特別授業 病まないための細胞呼吸レッスン』『ハーバード&パリ大学 根来教授の特別授業 「毛細血管」は増やすが勝ち!』(いずれも集英社)が好評発売中。ハーバード大学医学部客員教授(Harvard PKD Center Collaborator, Visiting Professor)、ソルボンヌ大学医学部客員教授、奈良県立医科大学医学部客員教授、信州大学特任教授、事業構想大学院大学理事・教授。専門は内科学、腎臓病学、抗加齢医学、睡眠医学など多岐にわたり、世界の最先端で臨床・研究・医学教育にあたる。

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いし この猛暑で、ますますぐうたらに拍車がかかっているライターのいしまるこです。暑さにくじけそうな季節ですが、みなさん、朗報です!
ハーバード大学医学部根来秀行教授のweb講座、新企画がスタートしますよ。
では、根来教授〜。出番ですよ〜。

 

 

根来 ご無沙汰しております。根来秀行です。先月まで、ハーバード大学で仕事をしていました。

 

Dr.negoro_photo

ハーバード大学医学部のメイン校舎Gordon Hallのエントランスに佇む根来教授

 

 

いし いいなあ〜。うらやましいなあ〜。
でも、こっちの仕事もよろしくお願いしますよ!
今回の連載テーマは、じゃじゃん。「肺年齢を若返らせる!」です。

 

 

根来 ハイ! がんばります!
初回は肺についての基礎知識をレクチャーしましょう。
早速ですがいしまるこさん、肺の働きといえば?

 

 

いし 呼吸!

 

 

根来 ですね。肺は呼吸にかかわる最も重要な臓器です。
人は生命活動の源となるエネルギーを得るために、体内に空気を取り込んで、栄養素を酸素で燃焼させ、その燃えカスである二酸化炭素を体外に排出しています。この一連の新陳代謝のプロセスが呼吸です。

 

 

いし 何気なく息をしてるけど、新陳代謝だと思うとありがたいですね。
ところで、肺ってかなり大きな臓器ですよね。

 

 

根来 肺は人体最大の容積を持つ臓器です。
重さは男女で多少違いますが、重量は右肺が約600gで左肺は約500g。
容量は右肺が約1200mlで左肺は約1000mlもあるんですよ。

 

 

いし あれ、右肺のほうが大きいんですか?

 

 

根来 はい。左肺が右肺より小さいのは、左肺の近くに心臓があるためです。

 

 

いし なるほど!

 

 

根来 鼻や口から吸い込んだ空気は、気管から気管支を経て、左右の肺に送り込まれます。気管支は肺の中で珊瑚のように細かく枝分かれし、その先端には肺胞がくっついています。

 

 

■肺は総重量約1kg、容量約2L の大型臓器

Dr.negoro_Ill

肺は肋骨の内側、横隔膜の上に乗っかるようにあります。左右1対で、右肺は3つ、左肺は2つのパートから成り、胸膜という薄い膜で覆われています。気管はのどから10cmほど下がると左右に枝分かれして気管支となり、それぞれ左右の肺に入っていきます。分岐前には直径2cmほどもあった気管は、肺の中でさらに何回も枝分かれして細くなります。最終的には直径0.1mmほどの細気管支になり、肺胞の房につながります

 

 

根来 枝分かれした細い気管支の先端にくっついている肺胞は、直径0.1mm以下の小さな袋です。1本の気管支に平均20個ほどくっついているんですよ。

 

 

いし まるで細い枝に実るぶどうの房のようですねぇ。

 

 

根来 その数は2つの肺で合わせて、なんと3億個以上といわれています。

 

 

いし 3億〜。宝くじ以外であまり聞かない数です〜。

 

 

根来 肺胞の表面は、肺動脈や肺静脈につながる毛細血管が網の目のように覆っています。

Dr.negoro_Ill

気管支の先には平均20個ほどの肺胞が、ぶどうの房のようについていて、全部合わせるとなんと3億個以上にも。それら全ての肺胞の表面には、毛細血管が張り巡らされています

 

根来  肺胞は袋状になることで、空気と血液が接する表面積を大きくし、呼吸率を上げています。肺胞をすべて広げると約70㎡、テニスコート並みの広さといわれています。

 

 

いし 肺が臓器の中でも最大級の容積を誇るのは、肺胞のおかげなんですね。

 

 

根来 そして、肺胞ひとつひとつをとりまく毛細血管が、肺におけるガス交換の舞台。肺胞の壁は非常に薄いので酸素と二酸化炭素が毛細血管との間で自由に行き来できます。

 

 

いし 毛細血管は肺でも大活躍ですね!

 

 

■ガス交換の最前線は肺胞の毛細血管

Dr.negoro_Ill

全身を巡って二酸化炭素を回収してきた赤血球は、毛細血管から肺胞中に二酸化炭素を放出し、代わりに吸気によって肺胞へと運ばれてきた酸素を毛細血管を介して受け取り、心臓経由で全身に運びます

 

 

いし こうやって肺のしくみをしると、感謝の気持ちが湧いてきて、自然と深い呼吸になりますね。

 

 

根来 そうでしょ。呼吸法だってただやみくもにやるのと、体のしくみを理解したうえで行うのでは、全然効果が違うんです。
だからこそ、みなさんにもっともっと体のことを知ってほしいんですよ。

 

 

いし わかりました! これからは呼吸をするたびに3億の肺胞に想いをはせます!!

 

 

根来 その肺胞も加齢とともに働きが落ちてくるんですよ。

 

 

いし くぅ〜、肺胞も老化するんですね〜。

 

 

根来 その話は次回に。それではみなさん、今日も素敵な1日を!

 

Dr.negoro_photo

 

(次回は、「加齢とともに肺胞がしなびて肺のキャパが減る!?」です。お楽しみに!)

 

取材・文/石丸久美子 撮影/森山竜男 イラスト/浅生ハルミン

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