「策略」っていうと、いかにも裏工作してるみたいで、なんかすごく悪いことみたいに思われがちだけど、策略も立派な実力だと私は思っています。
というか、成功した人って、戦略的にものごとを考えているし、計算してものごとを進めているから、たいていは策略家ですよ。
もちろん、策略も戦略もなしに成功する人もいるけど、それはいろぉ〰️〰️んな偶然が重なって、ラッキーに次ぐラッキーが働いた場合なので、たいてい一発屋で終わってしまうはず。自分の才能と時代のニーズがうまくあった時に来たチャンスを捕まえれば、まずは成功すると思うけど、問題はその後。その成功を長くキープするには、絶対に策略や戦略が必要だと思います。
私の場合、頭にピンクのヘルメットをかぶって「女性に自由を!」と叫んでいた団体が現れた頃、今のフェミの走りですね、デビューしました!
男尊女卑の崩壊が始まり、だんだんお見合い結婚が少なくなってきた頃、自由を愛する一条にとって喜ばしい時代が!!まさに時代が私の味方をしたって感じでした。
んで、問題はその後。
流行りや読者に媚びないで、自分の描きたい漫画だけを描いていくには【いかに考えていかに行動すべきか!?】ってなことを、いつも考えてました。
気分は戦国時代の軍師だな。私は家康ほど我慢強くないけど、信長ほどイラでもないから、“鳴かぬなら鳴かせてみようホトトギス”戦略で人生かけることにしました。
だって、自分で満足できる作品を描いても人気ゼロでは、さすがに仕事がもらえない。だから読者の人気もそこそこ必要なんですね。じゃあ、それにどう折り合いをつけて、どんなバランスでやっていくか。戦略が実に大事です。クリエイティブな仕事をしている人は、みんなやっていることだと思うな。
そういえば、『ブライド』の萌ちゃんは、なかなかの策略家でした(笑)。
オペラ歌手として成功するために、ありとあらゆることをやったんじゃないかしら。銀座のクラブで働きたいと出向いた時、常連客のおじいさんのゲロを萌ちゃんが両手で受け止めるシーンがあるのよね。
その行為は、計算ではなくて、とっさにやったことなんだけど、その後の応対がすごい!嫌な顔ひとつせず、笑顔で「お召し物が汚れなくてよかったです」って。かくして、萌ちゃんはお金持ちのおじいさんの指名を獲得するわけだけど、これは萌ちゃんの戦略よね。このアイディアを思いついた時、思わず一条ガッツポーズしたわ。
ただ、萌ちゃんはホステスとしては成功できたかもしれないけど、オペラ歌手としてはいまひとつ成功できませんでした。策略を考える時は、目先の成功ばかりを追うのではなく、将来の夢から反れないよう計画をたてないと、寂しい老後が待ってるかも。
最近日本がどんどん貧しくなってきたからか、若者が悲しい傾向にいっているように思います。「今だけ金だけ自分だけ」だって~~~。あ〰️〰️日本の将来が怖いい〰️〰️っ!!!
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取材・文/佐藤裕美
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